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不動産投資が抱える流動性(換金性)リスク 不動産独自の流通マーケット

不動産投資をはじめ、株式や債券、預貯金など投資にはどれくらいの利益、利回りが得られるかという収益性が重要視されていますが、投資した資金がいざというとき迅速に現金に換えられるか、ということも非常に重要な指標となります。これを流動性といいます。 今回は不動産投資における流動性についてお話いたします。

投資商品と流動性

流動性とは如何に迅速に資金化、現金化できるかという尺度です。現金化できる時間が短いほど流動性は高く、現金化できる時間が長いほど流動性は低いと言えます。
預貯金、株式、不動産の流動性すなわち現金化できる期間は以下のとおりです。
投資商品 現金化できるまでの期間
預貯金・MRF・MMFなど 即日
上場株式・金・保険金(解約金)など 4日前後
不動産 物件により異なる
流動性という観点で投資商品のリスクを考えると、流動性が高い商品はリスクが低く、流動性の低い商品はリスクが高くなります。一般的にリスクとリターンは比例しますので、別の言い方をすれば流動性の高い商品は短時間で現金化できることから流動性リスクが低く、リターン(利回り)が低いといえるでしょう。一方、流動性の低い商品は現金化するのに時間がかかるため、流動性リスクが高く、その代わり比較的、高いリターンが望めるといえるでしょう。
値動きの激しい上場株式などはハイリスク、ハイリターンと言われますが、流動性が高いため、株価の下落局面などの場合、すぐに売却できるということからリスクを回避することが可能となります。
chart

マーケットと流動性

投資商品の流動性はマーケットと密接な関係をもっています。上場株式の場合、主要都市に「証券取引所」という市場が存在し、毎日、数多くの投資家が参加し、株式が取引され、値段が付けられております。したがって株式を売却する場合、現在、その株式がいくらで取引されているかということを知ることができ、その取引価格に近い値段で売却し、換金化することが可能です。ただし、上場株式のなかでも発行株式数そのものが少ない銘柄や、市場で人気のない銘柄は取引数が少ない為、発行済み株式数が多く、毎日たくさんの取引がされている銘柄に比べ、取引価格が不安定となり、一般的にリスクが高いといえるでしょう。
上場株式のようにマーケットが存在し、取引の参加者が多い投資商品は流動性が高く、流動性に関するリスクが低いといえるでしょう。
さて、不動産投資の場合はどうでしょうか。

不動産独自の流通マーケット

不動産流通のマーケットはどのようになっているのでしょうか。現状では不動産を売却、換金したい場合、不動産会社に依頼し、不動産会社が購入者を探してくるという仕組みが一般的となっております。不動産の情報は、不動産会社の店頭や営業マン、インターネット、新聞広告、折込チラシなどを通じて市場に流通します。
また、不動産業界独自の流通網を通じて他の不動産業者に情報が流通するしくみになっています。
不動産流通の仕組み
このように不動産には流通マーケットが存在しますが、流通システムがまだまだ閉鎖的であり、且つ属人的に情報が流通していることから流通網という観点では、まだまだ流動性が高いといえないでしょう。

不動産の取引相場

不動産を売却して現金化する場合、いくらで売却できるかということが重要になります。上場株式などの場合はマーケットを通じて現在の取引価格を知ることが可能であり、かつ、その価格で換金することが可能となります。
不動産の場合は、取引価格を公表するためのインフラがまだ十分に整っていないことからその時点、時点での取引価格を把握することは難しくなっております。近隣の取引事例などを参考にして、おおよその換金価格を知ることができますが、不動産は同じものが2つとなく非常に個別性が強いことや、相対取引であり、売主、買主の個別の事情がおおきく取引価格を左右することなどから、必ずしも相場に近い価格で売却、現金化できるとは限りません。

まとめ

このように不動産は他の投資商品と比較して、まだまだ不透明なマーケットであること(株式市場のような流通マーケットが存在しない)および投資単位が大きい事、不動産一つ一つの個別性が非常に強い事などから流動性が低い投資商品といえるでしょう。したがって、いざというときに、すぐ現金化するというような流動性を重視した投資には適さないといえます。不動産投資はあくまで長期的な投資スタンスをもつことが重要なポイントです。

伊藤 英昭
伊藤 英昭
ナレッジバンク株式会社 代表取締役
CPC認定者・FP協会認定講師/
一級ファイナンシャルプランニング技能士/
宅地建物取引主任者/
不動産コンサルティング技能登録者

略歴

昭和44年
青森県出身
平成6年
公認会計士・税理士、山田淳一郎事務所(現税理士法人山田&パートナーズ)入所後、グループ会社である株式会社ユーマック(現TFP不動産コンサルティング)に出向。

おもに土地資産家に対する相続対策、底地借地の権利調整、物納、不動産投資、収用に伴う行政との交渉、買換え、土地活用、空室相談、固定資産税の軽減など、土地資産家の持つ、ありとあらゆる問題解決のコンサルティングを行う。また日本特有の借地、底地の問題に着目し、底地専門に投資する私募ファンドの組成に携わり、ファンドマネージャーの一員として1年間に13%の高配当を実現。 コンサルティング業務の傍ら、中立公正な不動産知識情報を配信するサイト「ホームナレッジ」を作成、運営し、コンテンツの内容が評価され多くのポータルサイトにコンテンツを提供する。 実務経験を生かし、FPの講師や金融機関・不動産会社などに対するコンサルティングセミナーや勉強会を数多くこなした。 平成14年同社取締役就任、平成16年8月同社退社平成16年11月ナレッジバンク株式会社を設立、代表取締役に就任

講演

りそな銀行、埼玉りそな銀行、三井住友銀行、野村證券、いちよし証券、東京海上火災保険、積水ハウス、兵庫県宅建協会、日税不動産、NPO法人日本地主家主協会 など

著書

大和證券資産管理読本、税会計法務の羅針盤(大蔵財務協会)共著、FPマニュアル96~98年(きんざい)共著 など

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