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不動産投資のチェックポイント(投資計画~契約) 契約の最終段階でのチェックポイント

今回は不動産の売買契約におけるチェックポイントについて説明します。

売買契約書に一旦サインをすると、すべての約束事は売買契約書にもとづいて処理、実行されます。
契約書は売主、買主間の不動産売買における約束事を書面にし、互いの意思確認の意味で当事者が記名・押印します。売買契約書には売買代金や引渡しの時期などのように最低限記載しなければいけない事項に加え、契約違反した場合の約束事を書面に記載します。
売主買主ともに不動産の売買に伴う約束を実行できれば特に問題ありません。また誰しも、約束を破るという前提で契約はしません。しかしながら故意・過失を問わず、約束が守られないことも、少なからず発生する可能性があります。その時になって売買契約書が大きな意味をなすのです。
売買契約書は「互いの約束を守る」という確認の意味よりも、「万一、約束が守られなかった場合どうするか」ということに重点を置いてチェックすべきです。

売買契約書でチェックするのは概ね以下の項目です。 売買契約書におけるチェック事項

売買対象物件の表示、面積など

売買契約書には売買の対象となる不動産の表示を記載しなくてはなりません。
物件を特定するために、土地建物ともに不動産登記簿に記載された事項を記載します。
●チェックポイント
土 地
所在・地番地目・地積
建 物
所在・家屋番号・種類・構造・床面積
なお土地建物ともに登記簿に記載されている所在、地番は住居表示(住所)とは異なりますので注意が必要です。
また、土地の面積については不動産登記簿上の面積(公簿面積)と実際に測量をした場合の面積(実測面積)と異なる場合がありますので、公簿面積で契約するか実測面積で契約するか、また公簿面積で契約した上で引渡しまでの間に測量を実施し、面積の増減が出た場合には実測面積で代金の精算をするのか、面積の増減があっても一切精算しないのか、などを契約書において明確にしておくことが望ましいといえるでしょう。

売買代金の額、支払い時期などの定め

対象不動産の売買代金の総額、売買代金の内訳と支払い方法についても契約書にて明記します。内訳は土地、建物、建物にかかる消費税になります。
建物の価格は、消費税の額や不動産所得を計算する上での税務上のコストである減価償却費の額に影響をおよぼします。

売買代金の支払い時期は、一般的に売買契約締結時に手付金を支払い、物件の引渡しおよび所有権移転と同時に売買代金から手付金を差し引いた残額を支払う、というように2回に分けるのが一般的です。手付金の額に特に定めはありませんが、売買代金の5~10%前後が一般的のようです。
支払い時期
方 法
手付金(売買代金に充当)
売買契約締結時 現金、預金小切手
中間金(売買代金に充当)
当事者の協議による 現金、預金小切手
残代金
物件引渡し、所有権移転登記申請時 現金、預金小切手
また売買代金の支払いは、現金(または現金振込み)が原則です。
しかし、多額の現金を用意すること、持ち歩くことは危険を伴いますので、金額が大きくなる場合は現金と同じ取り扱いとなる「銀行振り出し小切手」(預金小切手)にて支払います。
預金小切手は振出人(小切手を発行し現金に換える最終責任者)が銀行ですので、どこの銀行に持ち込んでもすぐに現金に換えることが可能です。(「銀行渡り」の線が引かれている場合は受取人の取引銀行)

同じ小切手でも個人や企業が振出人となる小切手(パーソナル小切手)と預金小切手とは異なりますので確認が必要です。

契約解除の定めと違約金の額の定め

不動産の売買契約書では通常、売主、買主のいずれかが契約違反をした場合、(例えば、引渡しの期日を守らない、残代金支払いの期日を守らない場合など)その相手方に対して一定の催告期間をおいて契約を解除し、損害賠償または違約金を求める旨が定められています。
不動産取引においては個々の事情により損害の額を算定することが困難であるため、通常は売買代金の20%以内で違約金を定めます。(不動産会社が売主の場合は違約金の額は売買代金の20%を超えてはならないものとされています)
この場合、仮に相手方の損害が20%を超えるような場合でも、逆に20%を下回る場合でも損害の程度に関係なく違約金の額は売買代金の20%となります。
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(1)手付金による解除(手付け解除)
売買契約締結時に手付金を支払う場合、当事者で契約書に別途定めのない限り、契約の相手方が履行に着手するまでは、買主の場合手付金を放棄して、売主の場合は受領した手付金に手付金と同額の金銭を加えて買主に返還することにより(手付け倍返し)契約を解除することが可能となります。
これを手付け解除とよびます。これは前述した契約違反の有無にかかわらず当事者に認められている権利です。
しかし手付け解除は「相手方が履行に着手するまで」となっておりますので、相手方が既に履行に着手した場合には、「手付け解除」ではなく「違約」となり多額の違約金(通常、売買代金の20%)を支払わなければなりません。
このようなことから手付け解除がなされる場合は、この「履行の着手」をめぐってトラブルになりかねません。
したがって当事者間では契約時に「何をもって履行の着手とするのか」また「手付け解除のできる期限を日にちによって明確にする」などの工夫が実務上必要になってきます。
(2)融資利用の特約による白紙解除
購入資金に金融機関の融資を活用する場合、万一、融資が否認された場合は、購入代金を支払うことが不能となり、契約違反となってしまいます。
融資の申し込み、本審査は通常、売買契約を締結した後に行われます。
事前の相談レベルで融資が受けられるという内諾を得ていたとしても、売買契約締結後の本審査で融資が下りない可能性もゼロではありません。
これでは購入者が売買契約締結から融資決定まで不安定な立場に立たされるため、このように不動産購入資金に融資を活用する場合は、「万一、融資が受けられなかった場合は契約を白紙解除する」という特約を付けるのが一般的です。
これを「ローン特約」と呼びます。


不動産の契約には、売主、買主双方の自助努力で約束が果たせるものと、ローン特約のように自助努力だけでは約束を果たせないものがあります。
当然ながら前者のように自助努力によって約束が果たせるにもかかわらず約束違反した場合は違約金の対象になりますが、後者のように自助努力だけで約束が果たせない可能性がある場合は、白紙解除できるようにしておくのが、買主にとってのリスク回避の手段であり、一般的な契約解除の条項の考え方となります。

危険負担

売買契約締結から売買代金の支払い、物件の引渡しを受けるまでに相当の期間がある場合、契約から引渡しまでの間の不動産の管理、および天災などによって建物が焼失、倒壊した場合の責任を売主、買主のどちらが負担するのか、という定めを「危険負担」とよびます。
一般的には「売主がその危険を負担する」ことが契約書でうたわれていますが、明確にしておかないと万一の場合トラブルになりかねませんので注意が必要です。(契約書に明記しなければ買主がその危険を負担することとなります)
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瑕疵担保責任

購入した不動産に欠陥(これを瑕疵とよびます)が見つかった場合、その責任を誰が負うのか、というのが「瑕疵担保責任」です。
瑕疵担保責任の取り決めを明確にしなければ後日、欠陥が見つかった場合にトラブルになりかねませんので注意が必要です。
個人間のルールを定めた民法では、買主が瑕疵を発見した日から1年間は売主に対して損害賠償を請求できることとなっておりますが、不動産の場合、売買契約書によって原則、当事者間で自由に取り決めをすることができます。
しかし、売主、買主の属性によって以下のように扱いが異なりますので注意が必要です。
売 主
買 主
瑕疵担保責任の取り扱い
個人・法人
(不動産会社以外)
個人・法人 自由
(瑕疵担保を負わない旨の特約も可能)
不動産会社 個人・法人
(不動産会社以外)
引渡し後最低2年間は瑕疵担保責任を負う
※宅地建物取引業法による
不動産・建設会社 個人・法人 新築住宅(共同住宅含む)の場合は
引渡しから10年間の瑕疵担保責任を負う(主要構造部分)
※住宅の品質確保に関する法律による
事業者
(不動産会社以外の事業者、法人であるか否かを問わない)
個 人 瑕疵担保責任は一切負わない、など
消費者に一方的に不利となる契約は無効となる
※消費者契約法による

抵当権等の負担の除去抹消

購入する物件が借入金の担保の対象となっており、抵当権が設定されている場合は、残代金支払いの日までに、権利を抹消してもらう必要があります。抵当権とは、万一借入金の返済ができなくなった場合、競売により、その担保の対象となっている不動産を強制的に売却できる権利です。
抵当権を抹消するためには原則、借入金の全額を返済しなければいけませんので、通常は売買代金を充当して、売買代金の受領と同時に抹消してもらう事を契約書に明記することが必要です。
また、抵当権以外でも、不動産を運用する上で支障がでるような権利がその物件にある場合はすべて解消してもらうよう、併せて契約書にて約束します。
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地位の承継、各種負担金や精算金の定めなど

物件の引渡し、所有権の移転と同時に当事者間で精算すべき金額がある場合は、残代金の支払いの時に精算します。
不動産の場合は固定資産税都市計画税などの税金や管理費、光熱費、賃料、敷金や保証金などを精算します。
精算の取り決めは契約書により明記し、当事者間で自由に決めて構いませんが、通常は物件の引渡しの日を境に、前日までの分は売主の負担または収入とし、引渡し日以降の分は買主の負担または収入とするのが一般的です。

まとめ

今回は不動産売買契約における留意点をご説明しましたが、不動産の売買契約は常に「万一の場合どうするか」ということを念頭において入念にチェックする心構えが必要です。
不安な要素がある場合は契約書に明記し、納得するまで契約書を何度でも修正する必要があります。

これまで26回にわたり不動産投資の基礎からさまざまなリスク、そして購入にいたるまでご説明してまいりましたが、不動産投資は自助努力により多くのリターンが望める可能性がある反面、非常に高額なリスク商品であり、投資の最終責任は自分です。
不動産投資、不動産取引について少しでも多くの事を学び、研究し、後悔しない資産運用ができるよう、自分ごととして努力することが投資成功の鍵となります。今回の連載が少しでも皆様の参考になりましたら幸いです。

伊藤 英昭
伊藤 英昭
ナレッジバンク株式会社 代表取締役
CPC認定者・FP協会認定講師/
一級ファイナンシャルプランニング技能士/
宅地建物取引主任者/
不動産コンサルティング技能登録者

略歴

昭和44年
青森県出身
平成6年
公認会計士・税理士、山田淳一郎事務所(現税理士法人山田&パートナーズ)入所後、グループ会社である株式会社ユーマック(現TFP不動産コンサルティング)に出向。

おもに土地資産家に対する相続対策、底地借地の権利調整、物納、不動産投資、収用に伴う行政との交渉、買換え、土地活用、空室相談、固定資産税の軽減など、土地資産家の持つ、ありとあらゆる問題解決のコンサルティングを行う。また日本特有の借地、底地の問題に着目し、底地専門に投資する私募ファンドの組成に携わり、ファンドマネージャーの一員として1年間に13%の高配当を実現。 コンサルティング業務の傍ら、中立公正な不動産知識情報を配信するサイト「ホームナレッジ」を作成、運営し、コンテンツの内容が評価され多くのポータルサイトにコンテンツを提供する。 実務経験を生かし、FPの講師や金融機関・不動産会社などに対するコンサルティングセミナーや勉強会を数多くこなした。 平成14年同社取締役就任、平成16年8月同社退社平成16年11月ナレッジバンク株式会社を設立、代表取締役に就任

講演

りそな銀行、埼玉りそな銀行、三井住友銀行、野村證券、いちよし証券、東京海上火災保険、積水ハウス、兵庫県宅建協会、日税不動産、NPO法人日本地主家主協会 など

著書

大和證券資産管理読本、税会計法務の羅針盤(大蔵財務協会)共著、FPマニュアル96~98年(きんざい)共著 など

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