今月からHOME’S不動産投資コラムを担当することになりました、ファイナンシャル・プランナーの橋本秋人です。
私は30年以上ハウスメーカーに勤務し主に不動産活用、相続対策等の実務に携わってきました。
会社員時代は420棟を超える建築のお手伝いをしてきましたが、その間FP資格を取得、その後早期退職し現在は独立系FPとして活動しています。
特に相続対策や不動産運用設計についてのご相談も多く、その分野での実務経験は豊富です。
また私自身も2回の住宅購入、4回の住宅ローン借換え、数回の不動産投資、売却を行うなど不動産に関わる数多くのイベントを経験してきました。
本コラムでは経験に基づくさまざまな事例や情報をお伝えするとともに、FPの立場から、ライフプランニングを意識した資産形成について提案していきたいと思います。
本サイトには、メガ大家さん、専業大家さん、ベテラン大家さんから、まだ始めたばかり、不動産投資に興味がある、これから不動産投資を始めたいという初心者まで幅広い読者の方々がいらっしゃると思います。
第1回目は、特に初心者の方向けに、自己紹介も兼ね、私自身の不動産投資と早期退職・独立までの経緯をひとつの事例としてご紹介します。
■きっかけ・マンションの隣の部屋を購入
私は平成3年、埼玉県内に持家としてマンションを購入しました。購入して15年後のある日、お隣さんから、他県に引っ越すことになったのでお隣さんの部屋を買わないかという話をいただいたのです。
当時わが家は3LDK、お隣は4LDK。子供が3人、そろそろ独立した子供部屋が欲しくなっていたわが家には渡りに船のお話。
実は私がマンションを購入したのは、バブル真っただ中。不動産価格も絶頂期で、なんとか3LDKの部屋を購入しましたが、お隣は角部屋4LDKで30帖以上の広いルーフバルコニー付き、マンション内でも最も高い部屋。
新築時は高くて手が届きませんでしたが、バブルも弾けて15年、不動産相場も大きく下落し、わが家も購入価格の3分の1に下がりましたが、お隣も同じく3分の1に。
これならと購入することにしました。
無事契約、お隣の部屋への引越しが終わると、今まで住んでいた部屋をどうするかという次の展開へ。
売却して、新たに借りた住宅ローンの一部繰上げ返済に充てるという選択肢もありますが、それは真っ先に消去。
なぜなら、確かに住宅ローンの返済額は減りますが、単にそれだけで、その先の展開が期待できなかったからです。
当然最初に考えたのは、住んでいた部屋を賃貸にして家賃収入を得ることでした。
でも、私はそうせずに、別の方法を選びました。そしてその選択が、その後の進むべき道を大きく変えました。
土地を購入して1棟目のアパートを建築
最終的に元の住まいは売却し、その資金を元に融資と組合せ、将来性が見込める土地を購入し、4戸のアパートを新築しました。中古物件も探したのですが希望に合ったものがなく、利回りは少し劣りますが競争力の強い新築という手法を選択しました。
因みに、なぜ元の住まいを賃貸にしなかったか? ご承知のようにマンションは月々の管理費・修繕積立金・駐車場代などの負担があり、それらを家賃収入から差し引くとキャッシュがたいして残らないのです。
また、たまたま所有している不動産の活用なので、立地を選ぶこともできません。
結果的に、マンションの部屋を賃貸した場合と比較して約3倍のキャッシュフローを確保できました。
ここで、売却時の税金についても少し触れておきます。実は自宅の売却に際しては、税制の恩恵を大いに受けています。
簡単に言うと、自宅を売って損失が出た場合、その損失額は3年間総所得金額から繰越控除できるというものです。
自宅の売却額が、購入価格の3分の1だったのは前述した通りですが、居住用資産の譲渡損失にかかる税金の特例を受け、3年間で数百万円の所得税が戻ってきました。
確かに損失もかなりの額でしたが、3年間は所得税を支払わずに済みましたし、住民税もほぼ0となりました。これは売却時に見込んでいたことでしたが、やはり嬉しいことでした。
そして戻ってきた税金と1棟目のアパートのキャッシュフローを元に次のアパート取得へと進んでいったのです。
少しずつ物件数を増やし早期退職・そして独立
一定額のキャッシュフローを確保できるようになると、ライフプラン上も次の展開へと進むことができます。
元々会社員で給与収入はあるのでアパートのキャッシュフローを使う必要もなく、それを元手に少しずつ新たな収益物件を取得し9年。
賃貸経営が生み出すキャッシュフローで生活のベースもできたので、当時まだ下の2人の子は大学生でしたが、妻の理解も得、会社を早期退職することができました。
そして現在はFP、不動産コンサルタントとしての活動を行っています。
不動産投資は目的ではない
さて、皆さんはなぜ不動産投資を行いたい(行っている)のですか?
私は、初めは自分の年金づくりのために、その後は早期退職を実現するために不動産投資を選びました。
つまり不動産投資はライフプランを実現するための有効な手段の一つなのです。
しかし不動産投資ならではのリスクも存在しますし、資産運用の方法は不動産投資だけではありません。
皆さんがそれぞれのライフプラン、自己の属性、リスク許容度等を正しく分析しながらどのような資産運用がご自身に合っているのかをきちんと見極め、それぞれに適した手段を選択して下さい。
皆さんのライフプランの実現のために、不動産投資を上手に活用してください。