橋本秋人の不動産投資コラム

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

FP的不動産投資の基本的考え方①~不動産投資を始める前にライフプランの確認を~

不動産投資の目的は?

私は今、ファイナンシャル・プランナー(FP)として活動しています。多くの方のご相談を受け、またセミナーでライフプラン・終活・不動産などの話をしたり、記事を書いたり、実行支援をしています。

その中で、昨今の不動産投資ブームからか、賃貸物件購入に関する相談も数多く受けます。

相談を受けながらよく感じるのは、不動産投資の入口で誤った理解をしている方も多いのではということです。

ロバートキヨサキの著書の影響か、溢れる広告の魅力なのか、ラットレースから抜け出すために、自宅などは購入せず、まずは賃貸物件からという希望もよく聞きます。

しかしライフプランニングの見地からは、自宅購入も不動産運用も真剣に検討すべき重要なライフイベントなのです。

そこで今回から2回にわたり、FPとして不動産投資の基本的なあり方について考えたいと思います。

ライフプランニングにおける不動産投資の位置づけや、投資にあたりに押さえておくべきポイントをできるだけ具体的にお伝えします。

特にこれから不動産投資を始めたい方、始めたばかりだがこれから更に拡大を図りたい方、その前に不動産投資の基本的な考え方を整理してみましょう。

さて、皆さんはなぜ不動産投資を始めたい、または始められたいのですか?

投資には不動産以外にも様々なものがあります。

一般的には資産運用ということばを用いますが、株式、投資信託、外貨、FX、金など数多くの種類がありますね。
最近話題の個人型確定拠出年金(iDeCo)も資産運用のひとつです。

FPの立場から見ると、それらはライフプランを実現するための手段のひとつで、不動産投資も例外ではありません。

そして今、資産運用の重要性が増しています。それはなぜでしょうか。

少子高齢化により増す自助努力の重要性

日本では、社会保障制度が次々と見直されています。

年金制度自体は将来も維持されますが、年金だけでは老後の生活費が賄えません。
つまり老後資金の足りない分は自分で確保しなければならない時代になったのです。
その背景には、急速に進んでいる少子高齢化の問題があります。

日本人の平均寿命は男性80.75歳、女性は86.99歳と世界的にもトップクラスです。

(図表1)主な年齢の平均余命

出典:厚生労働省平成27年完全生命表

平均寿命というのは、ある年に生まれた0歳の子が平均してこれから何年生きるのか?
つまり0歳児の平均余命のことです。

平均余命というのは、ある年齢の人がその後平均的に生きる年数のことをいいます。

例えば図表1で、50歳男性の平均余命は32.36年、つまり50歳男性の平均寿命は50歳+32.36歳=82.36歳になり、0歳の平均寿命よりも長くなります。
このように平均寿命は年齢が上がるに従い伸びていきます。

次に、特定年齢生存率のデータを見てみましょう。(図表2)
特定年齢生存率とは、100人の内、何人がその歳まで生きているかという割合のことです。

(図表2)特定年齢生存率

出典:厚生労働省平成27年簡易生命表の概況

平成27年においては、女性の内90歳まで生きる人の確率は2人に1人、なんと4人に1人が95歳まで生きることになります。

また男性も4人の内1人が90歳まで生存します。

しかも平均余命、特定年齢生存率ともに毎年数値が上がっています。

ちなみに現在100歳以上の日本人は6万人以上もいます。

つまり多くの日本人は、長い人生を生き、長い老後を生きていくのです。

一方、老後の家計バランスはどうなっているのでしょうか。

平成27年度の総務省統計局「家計調査報告」によると、高齢夫婦無職世帯の家計収支は以下の通りです。

■平成27年度総務省統計局「家計調査報告」
毎月の支出額  約27.5万円
毎月の収入額  約21.3万円(うち年金等19.5万円)
毎月の不足額  約6.2万円
1年間の不足額 約74.4万円

年金だけでは、生活費を賄えず、不足が生じます。

仮に65歳女性の平均余命約25年間(図表1から)で計算すると、亡くなるまでに約1,860万円の不足が生じます。そして不足分は、他に収入がなければ金融資産から取り崩していくことになります。

そのためこのケースでは65歳時には平均約2,000万円近くの蓄えが必要になるということです。

もちろん現在の諸条件の元での計算ですから、将来の年金受給額や受給開始年齢の変更、インフレ、想定外の支出発生等により不足額が更に増加する可能性があります。

ここまでのポイントは

(1)日本人は、より長生きになる。
(2)少子化により年金制度を支える現役世代の割合が減るので、相対的に受け取る年金は減っていく。

したがって、必要になるお金は自分たちで確保する必要があるということになります。

資産運用が必要な時代に入った

家計収支の改善策としては

(1)収入を増やす (2)支出を減らす (3)運用する

の3つの方法があげられます。

(1)の方法としては、少しでも長く働く、転職をする、共働きをする、年金受給開始年齢を遅らせるなどがあります。(ちなみに年金の受取り開始を1年遅らせる毎に受給額は8%増えます。最長5年遅らせて70歳から受取り開始にすると42%増やすことができます。)

(2)については、家計支出の見直しということですが、支出の削減は大幅にできるものではなく、また節約ばかりでいろいろなことを我慢し続けることは楽しいことではありませんね。

実は(3)こそが、私たちが今後検討するべき改善策なのです。

前述のように資産運用には多くの方法がありますが、その中で、不動産投資も他の投資同様「運用」のひとつとしてあげられます。

不動産運用を上手に行うことにより、「じぶん年金」として老後の年金の不足額を補うことが可能になります。

ただ、やみくもに始めるわけではありません。また全ての人が不動産投資を行えるわけでもありません。
まず現在の自分の状況=立ち位置を理解しておく必要があります。

キャッシュフロー表を作成しよう

そのために「キャッシュフロー表」を作成することは、たいへん役に立ちます。キャッシュフロー表により、現在から将来に渡り、年単位での家計収支と金融資産の増減をチェックすることができ、不足額や余剰額が具体的に見えてきます。

(図表3)キャッシュフロー表の作成例

※収入および基本生活費は変動率1%/年にて計算

そして金融資産がマイナスに転じないようにするため、つまり老後を安心して暮らすためにはいくら資産を増やさなければいけないか、それに必要な収入額を確保するにはどのような運用をすれば良いか、という戦略を立てます。

そこでは不動産投資ありき、というスタートではありません。

他の資産運用とも比較しながら、その結果、不動産投資が運用方法のひとつして選択されれば、そこから具体的な計画(物件、投資規模、資金計画、キャッシュフローの確認)を立て実行に移してください。

次回は不動産投資を進めるにあたり、メリットとリスク、そして具体的な投資判断の基準についてお伝えします。

【このコラムの著者】

橋本秋人

ファイナンシャル・プランナー 不動産コンサルタント
1961年東京都出身
早稲田大学商学部卒業後、住宅メーカーに入社。

長年、顧客の相続対策や資産運用として賃貸住宅建築などによる不動産活用を担当。
また、自らも在職中より投資物件購入や土地購入新築など不動産投資を始め、早期退職を実現した元サラリーマン大家でもある。

現在は、FPオフィス ノーサイド代表としてライフプラン・住宅取得・不動産活用・相続などを中心に相談、セミナー、執筆などを行っている。

保有資格:
・ファイナンシャル・プランナー(CFP®認定者・1級FP技能士)
・公認不動産コンサルティングマスター 
・宅地建物取引士
・住宅ローンアドバイザー
・福祉住環境コーディネーター2級
・終活アドバイザー(終活アドバイザー協会)

平成27年度日本FP協会「住宅活用相談」相談員
平成29年度日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員

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