橋本秋人の不動産投資コラム

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

「不動産」と「負動産」の違いとは? ~マイホームは「負動産」か?~

新年度になり、今年も不動産の所有者には嬉しくない季節がやって来ました。そろそろ固定資産税納税通知書が送られてくる時期です。早ければもう手元に届いていると思いますが、遅くても5月中旬までには送られてくるはずです。分かってはいても、やはり気が重くなります。

3月27日に国土交通省が発表した2018年1月1日時点の全国の公示価格(全用途の平均)は3年連続で上昇しました。

実際に不動産の売却を考えている人や不動産ビジネスに関わる企業には好ましい傾向だと思いますが、全体から見れば少数です。多くの人は不動産をマイホームとして所有しているので当面売却の予定はありません。

固定資産税評価額は公示価格の概ね7割の水準に設定されているので、公示価格の動向は当然、固定資産税評価額に反映されます。つまり公示価格が上がるということは、不動産を持ち続ける人にとっては、毎年の固定資産税等の負担が増えるだけでしかありません。

そこで「自宅は負動産だ」という話題がよく出てきます。
多くの住宅購入者は、長期の住宅ローンを返済し、固定資産税や保険料、住宅維持費も支払いながら自宅に住み続けます。購入費用やLCC(ライフサイクルコスト)を合計すると大きな金額になります。
また当然ながらマイホームからは収入は生まれません。

そのため、「マイホームは老後貧乏の入口」、「マイホームを持つ前に収益物件を持とう」などの主張も出てくるわけです。

ロバート・キヨサキの著書が代表的ですが、書店には同種の不動産投資本がたくさん並んでいます。(確かに私自身の不動産投資のきっかけもロバート・キヨサキでしたが。)
しかし果たしてそれだけで本当にマイホームは負動産と言い切れるのでしょうか。

私は、マイホーム購入には、お金の物差しだけでは測れない2つの大きなメリットがあると考えています。
ひとつは、マイホームが購入者にとって前向きに生きるエネルギーになり得るということです。
マイホームは家族の集いの場でもあります。マイホームを通じて家族の絆を強くし、家族共通の思い出を作り、多くの経験を得ることも大きなメリットではないでしょうか。

私は初めて購入した住宅に家族で引っ越しした日の嬉しさを今でも鮮明に覚えています。
在職当時、多くの顧客からも「毎日家に帰るのが楽しみ」「マイホームを購入したら気持ちが前向きになった」、「仕事にも精が出るようになった。」「自宅を建てたら病気をしなくなった」という言葉を実際によく聞きました。これらは偶然ではなく、やはりマイホーム購入により、こころの状態が上向き、それが体にも表れてくるのではと理解しています。

もうひとつは、マイホーム購入が、ライフプランの再確認や、家計収支の見直しのきっかけになっているということです
以前に比べて、マイホーム購入者のFP相談も増えてきました。供給者側からの情報だけではなく、専門家からのセカンドオピニオンを取り入れることにより、より計画的で安心な住宅購入が可能になります。
またライフプランの見直しにより、夫が仕事を頑張る、妻が仕事を始める、家計のスリム化を図るなど具体的に家計収支を改善し早期に住宅ローンを完済できた、という話もよく耳にします。

このような住宅は少なくとも、精神的には「負動産」ではありませんし、家計にメリットを与えることさえあり得ます。
ライフプランを組み立てることもなく、自己の属性も理解しないまま、いきなりおいしい不動産投資話に飛びつくほうが、よほど負動産リスクが高くなるのではないでしょうか。

ただし、これからの時代、マイホームを取得する場合は、出口戦略も検討しなければいけません。
・住宅ローンは何歳までに繰上げ返済できるか?
・この家を継いでくれる子がいるのか?
・将来もこの家に住み続けるのか?
・この家に住まなくなったときに活用できるのか?
・将来、売却するときに良い条件で売れるのか?
・将来に渡り価値を残せる住宅を建てることはできるか?
出口戦略までを見通した計画が、将来自宅が負動産になるリスクを下げることにつながります。

一方、空き家や空き地など、収益を生まない不動産は、自宅とは異なり望んで取得したものばかりではなく、負担を感じやすくなります。
特に、今後空き家の増加により、その処分や活用についての悩みが増えることは容易に想像できます。
これらの不動産は、ただ保有し続けることで「負動産」になり得るため、早期の処分や活用を検討することが必要です。

ひとことで「負動産」とは、精神的にも経済的にもマイナスになる不動産のことではないでしょうか。

果たして固定資産税等の支払い額は、その不動産を所有することに対して見合った価値があるのだろうか?
この季節、あまり問題意識を感じていなかった人は、納税通知書を見ながら、一度じっくり考えてみることをお勧めします。

【このコラムの著者】

橋本秋人

ファイナンシャル・プランナー 不動産コンサルタント
1961年東京都出身
早稲田大学商学部卒業後、住宅メーカーに入社。

長年、顧客の相続対策や資産運用として賃貸住宅建築などによる不動産活用を担当。
また、自らも在職中より投資物件購入や土地購入新築など不動産投資を始め、早期退職を実現した元サラリーマン大家でもある。

現在は、FPオフィス ノーサイド代表としてライフプラン・住宅取得・不動産活用・相続などを中心に相談、セミナー、執筆などを行っている。

保有資格:
・ファイナンシャル・プランナー(CFP®認定者・1級FP技能士)
・公認不動産コンサルティングマスター 
・宅地建物取引士
・住宅ローンアドバイザー
・福祉住環境コーディネーター2級
・終活アドバイザー(終活アドバイザー協会)

平成27年度日本FP協会「住宅活用相談」相談員
平成29年度日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員

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