伊藤 英昭の不動産投資コラム

シリーズ連載: 伊東英昭氏の不動産投資コラム

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

vol.8 不動産だけに責任が限定される「ノンリコースローン」とは

不動産投資市況の活況とともに「ノンリコースローン」が一般の投資家の間でも注目され始めています。「ノンリコースローン」とは直訳すると非遡及型融資とよばれ、不動産の収益性に着目し、担保として提供された不動産のみを担保に融資する商品です。かつてはプロの投資家や大きい資金で不動産を運用する私募ファンド、REITなどが、その運用形態の特殊性から活用していた資金調達手法でしたが近年は比較的小額の物件であってもノンリコースローンを扱う金融機関が登場したことから一般投資家の間で注目され始めました。

では、ノンリコースローンとはどのようなものなのか、通常の不動産担保融資と比較して考えてみましょう。

1.通常の不動産担保融資(リコースローン)

img08_1金融機関から融資を受ける場合、債権者である金融機関は、万一、借入金が返済されなかった場合に備え、連帯保証人などの人的担保や不動産などの物的担保を求めます。借入金の返済が約束どおりなされなかった場合は連帯保証人に返済を求めたり、担保として提供された不動産を強制的に売却(競売)して債権(融資金)の回収をします。
不動産価格の下落などにより債務者が不動産の売却をもってしても借入金を全額返済できない場合、残った債務は当然に返済義務を負うことになります。場合によっては自宅などの他の資産を売却し返済しなければなりません。通常の融資は「人」の信用に基づいているため、担保とは無関係にその「人」に対して返済義務を生じさせています。これを遡及型融資「リコースローン」と呼びます。

2.ノンリコースローン(非遡及型融資)

img08_2ノンリコースローンは通常の融資のように「人」や「会社」の信用に融資するのではなく、不動産事業そのものに融資しているのです。したがってあくまで、担保とする不動産の収益性に着目し、万一、返済不能に陥ったとしても、その不動産を売却する以外は返済義務は生じず、他の資産に責任は一切及びません(遡及しない)。このような事から非遡及型融資(ノンリコースローン)と呼ばれています。
このように借主のリスクがその不動産のみに限定されていることから、今後、ノンリコースローンが一般にも普及していくと思われます。しかし、通常の融資とは異なり貸し手である金融機関が資金回収のリスクを負うことから、金利などの条件は若干高くなることが多いようです。また、ノンリコースローンを受ける場合はSPC(不動産の保有のみを目的とするペーパーカンパニー)などを設立する必要がありますのでその分コストも発生します。

担保をその不動産のみに限定し、金融機関がリスクをとっているといえども、金融機関もバブルの反省と資金回収のリスクを最小限に抑えた上での金利設定、融資額の設定となりますので、状況によって、ノンリコースローンが有利であるかどうかは慎重に検討する必要がありそうです。

【このコラムの著者】

伊藤 英昭

ナレッジバンク株式会社 代表取締役
CPC認定者・FP協会認定講師/一級ファイナンシャルプランニング技能士/宅地建物取引主任者/不動産コンサルティング技能登録者

■略歴
昭和44年 青森県出身
平成6年
公認会計士・税理士、山田淳一郎事務所(現税理士法人山田&パートナーズ)入所後、グループ会社である株式会社ユーマック(現TFP不動産コンサルティング)に出向。
おもに土地資産家に対する相続対策、底地借地の権利調整、物納、不動産投資、収用に伴う行政との交渉、買換え、土地活用、空室相談、固定資産税の軽減など、土地資産家の持つ、ありとあらゆる問題解決のコンサルティングを行う。また日本特有の借地、底地の問題に着目し、底地専門に投資する私募ファンドの組成に携わり、ファンドマネージャーの一員として1年間に13%の高配当を実現。 コンサルティング業務の傍ら、中立公正な不動産知識情報を配信するサイト「ホームナレッジ」を作成、運営し、コンテンツの内容が評価され多くのポータルサイトにコンテンツを提供する。 実務経験を生かし、FPの講師や金融機関・不動産会社などに対するコンサルティングセミナーや勉強会を数多くこなした。 平成14年同社取締役就任、平成16年8月同社退社平成16年11月ナレッジバンク株式会社を設立、代表取締役に就任

■講演
りそな銀行、埼玉りそな銀行、三井住友銀行、野村證券、いちよし証券、東京海上火災保険、積水ハウス、兵庫県宅建協会、日税不動産、NPO法人日本地主家主協会 など

■著書
大和證券資産管理読本、税会計法務の羅針盤(大蔵財務協会)共著、FPマニュアル96~98年(きんざい)共著 など

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