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新たに始まる「住宅ストック循環支援事業」は特色のある制度に

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HOME’S PRESS記事より引用 (2016年 10月31日 11時09分 掲載記事)
(※引用元の記事内容は、修正される場合があります)

既存住宅に重点をおいた「住宅ストック循環支援事業」

国土交通省による「住宅ストック循環支援事業」がスタートする。
2016年度の第2次補正予算が10月11日に成立したことを受けて実施されるものだ。「住宅のエコリフォーム」「良質な既存住宅の購入」「エコ住宅への建替え」を対象に補助金を交付する制度である。

「エコリフォーム」は以前に実施された「省エネ住宅ポイント」などの制度におけるリフォームの要件をベースにした内容となっているが、今回は「良質な既存住宅の購入」のように「既存住宅だけ」を対象にした制度を取り入れた点が注目されるだろう。

制度開始にあたり10月18日から31日まで、全国9会場で国土交通省による説明会が開催された。東京で開かれた説明会では、事前申込みの受付開始からほどなく定員2,000名を超える申込みが集まり、急遽、追加開催が決定されたようだ。参加者の多くは業界関係者だろうが、その関心の高さも伺える。

制度の詳細な内容や手続き方法については「住宅ストック循環支援事業事務局」のホームページ(http://stock-jutaku.jp)をご覧いただくとして、ここでは今回の制度の特色や注意点などについて確認しておくことにしよう。

国土交通省による説明会(東京)では、定員2,000名の会場がほぼ埋まった

国土交通省による説明会(東京)では、定員2,000名の会場がほぼ埋まった

「住宅ストック循環支援事業」の予算額は250億円

第2次補正予算で認められた「住宅ストック循環支援事業」の費用は250億円だ。制度内容は異なるが、2010年以降に実施された「住宅エコポイント」「復興支援・住宅エコポイント」「省エネ住宅ポイント」の各制度における予算額が、それぞれ2,442億円、1,446億円、905億円(追加予算分を含む)だったことを考えれば、今回の制度が小ぶりな印象は否めない。

そのため、「住宅のエコリフォーム」「良質な既存住宅の購入」「エコ住宅への建替え」のいずれも、工事請負契約や売買契約を締結したうえで2017年6月30日までに補助金の交付申請を済ませることが必要となる。ただし、過去の「住宅エコポイント」などにおける経緯を考慮すれば、今回の「住宅ストック循環支援事業」も前倒しして締め切られることがありそうだ。

また、それぞれの制度において「補助事業者」となるリフォーム事業者、インスペクション事業者、宅地建物取引業者、建設業者は2016年11月1日から2017年3月31日までの間に「事業者登録」をしたうえで、登録後に契約をすることが求められる。宅地建物取引業者が売主となる既存住宅(買取再販)およびエコ住宅では、2016年12月12日から2017年3月31日までの間に物件に関する「事業登録」をした後に販売することになる。この「事業登録」があった住宅については交付申請期限まで予算が留保されるため、予約制度と考えて差し支えないだろう。

さらに、リフォーム工事、建築工事などをした住宅は、注文者、購入者などへ引渡したうえで、2017年12月31日までに補助事業者から事務局へ「完了報告」を済ませることが必要だ。受付期限で考えれば実質的に半年あまりの制度期間であり、ゆっくりと検討する余裕はあまりないだろう。だが、補助金を受けることに意識が向くことで焦って妥協し、想定外の失敗をすれば本末転倒だ。もともとこのタイミングでリフォームや住宅購入を考えていた、という消費者に対する支援措置だと考えるべきなのかもしれない。

国土交通省説明資料をもとに作成

国土交通省説明資料をもとに作成

「住宅のエコリフォーム」は従来の制度内容を踏襲

「住宅のエコリフォーム」は、おおむね従来の「住宅エコポイント」や「省エネ住宅ポイント」制度における「リフォーム住宅」の内容を踏襲したものとなっており、補助限度額は1戸あたり30万円(耐震改修工事を実施する場合は45万円)だ。従来と大きく異なるのは、ポイントによる地域産品や商品券などとの交換から、今回は補助金の交付になった点である。

ただし、細かな部分でいくつか要件が見直されているほか、従来は認められた「借家のリフォーム」が対象から外れ「自ら居住する住宅」のみとなった。なお、補正予算成立日である2016年10月11以降に購入した既存住宅(自ら居住するもの)においてエコリフォームを実施する場合も対象となる。

なお、従来の制度と同じくエコリフォーム対象工事の内容や部位に応じて補助額の「単価」が定められ、その積上げによって補助額が決定される。工事請負金額にもとづく算定ではないことに注意しておきたい。また、一定の対象工事について補助額の合計が5万円を下回る場合は申請が受付けられないことにも注意が必要だ。

「良質な既存住宅の購入」の対象者は40歳未満に

「住宅ストック循環支援事業」で補助制度に加えられた「良質な既存住宅の購入」では、購入者の要件が「40歳未満」となっている

「住宅ストック循環支援事業」で補助制度に加えられた「良質な既存住宅の購入」では、購入者の要件が「40歳未満」となっている

今回の「住宅ストック循環支援事業」で補助制度に加えられた「良質な既存住宅の購入」では、購入者の要件が「40歳未満」となっている。これは事業のもととなった「未来への投資を実現する経済対策」(2016年8月2日閣議決定)において、「若者による既存住宅の取得を支援する措置を新設する」とされていたためである。
この「若者」を「40歳未満」としたわけだが、40歳未満か否かは補正予算の成立日で判断されることとなった。つまり2016年10月11日時点で40歳未満の購入者が補助の対象者だ。10月11日までに満40歳の誕生日を迎えた人は不満を感じるかもしれない。1月1日時点、あるいは4月1日時点を判断基準にしてもよさそうだが、制度設計上の複雑な事情もあるのだろう。

ちなみに、国土交通省が実施した「平成27年度住宅市場動向調査」によれば、注文住宅および分譲住宅の取得者は40歳未満が過半数を占めるのに対して、既存住宅の購入者は40歳未満が4割に届かず、リフォームにいたっては40歳未満が1割にも満たない。「若者」による既存住宅の購入やリフォームの支援は、現状で少ないニーズの掘り起こしといった側面もありそうだ。

それはさておき、「良質な既存住宅の購入」では個人が売主の場合と、宅地建物取引業者が売主となる買取再販物件の場合があり、そのどちらも所定のインスペクションの実施と既存住宅売買瑕疵保険への加入が要件となる。補助額はインスペクション費用に対して1戸あたり5万円で、エコリフォームの内容に応じて加算され、50万円(耐震改修工事を実施する場合は65万円)が上限となる。築年数が浅い既存住宅など、もともとリフォームが不要な物件を購入する際には補助額が5万円にとどまることに注意しておきたい。

個人の売主から既存住宅を購入して自らエコリフォームを実施する場合には、2017年6月30日までに工事請負契約(補助金の交付申請)をすることも求められるため、スケジュール面で厳しいケースも多いだろう。宅地建物取引業者がいったん買い取ってエコリフォームを実施した既存住宅を購入するほうがスムーズかもしれないが、物件数は少なく選択肢がかぎられる。

既存住宅の流通を対象とする、これまでになかった新制度として注目されているが、一定の効果を上げるためには来年度以降の予算による制度の延長や恒久化にも期待したいところだ。

「エコ住宅への建替え」は、耐震性のない住宅の除却が前提に

従来の「住宅エコポイント」制度などでも一定の基準を満たす新築住宅が対象になっていた。しかし、今回の制度では「耐震性を有しない住宅」の除却が前提条件とされたことが大きな特色である。住宅の耐震化率を高めることと、住宅ストック総数を増やさないことの両面が考慮されているようだ。

除却する住宅の解体工事の施主と、新たに建てるエコ住宅の建築主が同一であれば、両者の敷地の同一性は問われない。原則として、1戸除却すれば1戸建てることができる(1戸が補助対象となる)というイメージで考えればよいだろう。

除却した住宅の建築確認が1981年5月31日以前、あるいは表示登記が1983年3月31日以前であれば、補正予算成立日の1年前にあたる2015年10月12日以降に除却済みの場合も対象になる。それ以外の場合は、建築士が耐震性のないことを確認した後に除却しなければならない。

補助額は建替え後の住宅の省エネ性能レベル(一次エネルギー等級、断熱等性能等級、トップランナー基準、BELS:建築物省エネルギー性能表示制度における星の数、長期優良住宅認定の有無)の組合せに応じて1戸あたり30万円、40万円、50万円のいずれかとなる。

分譲住宅の場合には、宅地建物取引業者の「事業者登録」、物件の「事業登録」とともに、2017年3月31日までに旧住宅の解体工事に関する請負契約が締結されていることも求められる。補助金の対象となる分譲住宅は一部にかぎられるため、売買契約の前によく確認しておくことも必要だ。

「エコ住宅への建替え」は、耐震性のない住宅の除却が前提となっている

「エコ住宅への建替え」は、耐震性のない住宅の除却が前提となっている

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