寺尾 恵介の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資の事業化計画

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

10.事業化大家に必要なのは「得意技」だ!

コラムをお読みの皆さん、新年あけましておめでとうございます!

今年の目標、どんな感じになりましたでしょうか。
ぼくも年末年始でいろいろ考えましたが、やはり2017年のうちに保有総額10億円の「メガ大家」になるべきだと思いました。
日経新聞やNHKでも「メガ大家」という言葉が採り上げられ、その度に記者の方が取材にいらっしゃるのですが、言葉を考えた本人がメガ大家の基準を満たしていないというのは、記者さんに対して何とも格好悪いものです(笑)
自分は利回りの高い物件を購入しているので、家賃の年額換算で1億円を超える水準ではあるのですが、現在の保有は7億円。あと3億、何とか今年中に・・と決意した次第です。

そこで新年1本目の事業化コラムは、事業者としてどんどん規模を増やしていくために必須の考え方である「得意技を持つ」ことについてテーマにしてみました。

◆ワンパターンな投資から卒業する時期

このシリーズで何度もお話しているように、「サラリーマン投資家」と「賃貸経営の事業者」とは金融機関のとらえ方や審査基準が全く異なり、それぞれのステージに合った戦略を採っていくことが重要です。

事業化シリーズ第1回のコラムで採り上げた、
「サラリーマン大家なのに、事業者の真似をしようとする」のは、
投資活動を頑張っているのに成果が出ない方の典型的なパターンのひとつですね。
どれだけ賃貸経営の知識や行動力があっても、融資審査上のプラス材料にはなりません。
未経験やそれに近い「兼業投資家」のうちは、誰が所有しても同じような運営結果になるような物件に融資をするのが金融機関の考え方です。

その原則を理解して、「サラリーマン投資家向きの物件」を買い進めることができる人が、自己資金が限られている状況でも規模の拡大に成功していくのですが、サラリーマン投資家のステージを終了して事業者として買っていくべき状況になっても、同じ価値観を捨てきれないままではいけません。

全国の県庁所在地で。平成築の鉄骨かRCで。もちろん事務所や店舗ではなく住居で。入居率が90%以上あって。積算評価が高そうな物件・・・。
こういうのを探しているけど見つからず、珍しく見つかっても融資の審査スピードで負けてしまう。そんなことを繰り返すうちに規模拡大のモチベーションが落ちてしまったという方もいらっしゃることでしょう。

◆事業者の融資審査は時間が掛かる。

最初は手取り足取り教えてくれて、投資分析も融資審査も代わりにやってくれた不動産業者さん。
しかしキャッシュフローが給与の額面を超える頃には、そういった業者から見たあなたは「融資を通すのが面倒な客」になっているのです。

ぼくが最初に物件購入資金の融資を申し込んだとき、属性の審査として必要な書類は源泉徴収票3枚と給与の振込口座として使っている通帳1冊でした。
しかし今、ぼくが新規の金融機関に融資の審査を申し込むと、関与している会社(今は4つ)×3年分の決算書に、個人の確定申告書も3年分が必要です。
さらに、保有物件全部の固定資産税納付案内と既存融資の返済表も求められることが多く、コピー代だけで7千円以上掛かる量の資料を提出しなければなりません。

資料だけでもこの違いですから、そりゃ審査にも時間が掛かるというものです。

しかし、事業者にはサラリーマン投資家にはない「経験と実績」が評価されるという強みがあります。
そこを活用して、「サラリーマン投資家では融資が付きづらい物件」を買っていくことが、着実な規模拡大における必勝法のひとつです。
要するに、サラリーマン投資家が扱いづらい物件を、自らの「得意技」として事業のスタイルにしていくという戦略ですね。

◆得意技を持つには「武器」が必要。

具体的に「サラリーマン投資家には融資が付きづらい物件」を見ていきましょう。

1.空室率が高い一棟ものアパート・マンション
いわゆる「物件再生」「リニューアル投資」と呼ばれる手法。
これまでの賃貸経営で高い入居率を維持できていれば、融資が付きづらいと言われる「空きだらけ物件」を購入できるチャンスがあります。
サラリーマン投資家と競合しにくいだけでなく、通常よりも高い利回りで物件を購入できる可能性が高いので、事業者としての投資法としてお薦め。
実際、多くの大規模大家さんが、このスタイルを得意としています。

2.築古の土地値物件
HOME’Sコラムを書かれている石渡浩さんの書籍で、広く知られるようになった投資法ですが、土地値に近いということは建物の価値が低いということで、上物の築年数は古めであることがほとんどです。
サラリーマン向けに融資をする金融機関は物件の耐用年数をシビアに判断することが多いため、古い物件への融資は積極的ではありません。
しかし、建物の維持管理について知識やノウハウがあると金融機関から判断された事業者であれば、融資を受けることも可能です。

これら2つの投資法に共通して必要なのが、「高い運営力」です。
空室が多い一棟ものであれば、空室が続く要因を見つけて改善していくための知識やノウハウがなければ入居率は改善しません。
築古物件は確かに安いですが、築年数分だけ入居競争力も低くなっていきますし修繕費用も高額になりがちです。
「運営力で勝負する」ことは、事業者として規模を拡大するための強力な武器であると言えるでしょう。

3.土地から新築するアパート・マンション
そもそも新築物件は、情報が出てから契約に至るまでのスピードがゆっくりしているので事業者向きではあるのですが、建売ではなく土地を自分で見つけてプランニングをして・・という手法は、まさに事業者らしい不動産投資だと思います。
ある程度は建築の知識が必要だったり、建築会社への分割支払いに対応する金融機関を見つけたりという障壁があるため、経験の少ないサラリーマン投資家には手がけるのが難しい投資です。

4.そもそも融資が付きにくい物件
事業者であろうとなかろうと、融資が付きづらい物件というものはあります。利回りは高いけど積算評価がでにくい商業物件であったり、周りが田んぼばかりの郡部に所在する物件であったり、逆に場所が良すぎて利回りが低い物件であったり。
収益の出る不動産と融資が付きやすい不動産は一致しない場合があります。そのギャップを利用して、融資割合が低くても躊躇なく購入していく投資家さんも、サラリーマン投資家とは競合しないで優良物件を手に出来るという訳です。

3と4のパターンは、資金力や専門知識といった、初心者が不動産投資の本を読んで一生懸命頑張るだけでは太刀打ちできない武器を活用した投資スタンスです。
こういった得意技を持っていると、もはやサラリーマンの頃の投資スタイルには魅力を感じなくなってしまうことでしょう。

ということで、さらなる規模拡大を目指す投資家さんは、「自分の武器になるものはなにか」を考えた上で、その武器を活用した「得意技」を持つことを考えてみてください。
その得意技は金融機関からみた「主となる事業スタイル」として評価され、競争の少ない状態で良い物件を購入できるようになっていくはずです。

【このコラムの著者】

寺尾 恵介

不動産投資・アパート経営の人気ブログを運営する「投資家けーちゃん」
大家さん向けの情報誌「満室経営新聞」の編集長。

1973年愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒業。1996年に住友海上火災保険株式会社(現:三井住友海上火災保険株式会社)に入社し12年間勤務。富山支店在任時代に不動産投資に目覚め、現在までに約110室、家賃年収は6千万円に達する。

一般的には空室リスクも高く、アパート経営に不向きと言われる北陸地方(石川県、富山県)で物件を購入しているにも関わらず、入居率は常に90%以上で推移。管理会社を中心とした「チーム」での運営を得意とするスタイル。

運営ブログ 投資家けーちゃん「ハッピー&リッチBLOG」 http://toushika-keichan.com
メルマガ 投資家けーちゃんの不動産投資メールマガジン(23,000部) http://www.mag2.com/m/0000254056.html
著作 満室チームで大成功! 全国どこでもアパート経営(筑摩書房) http://www.amazon.co.jp/dp/4480863885/
みんなが知らない 満室大家さんのヒミツ(ぱる出版) http://www.amazon.co.jp/dp/4827205612

講演/セミナー実績
 全国賃貸住宅新聞社(賃貸住宅フェア)
 東京都宅地建物取引業協会
 株式会社ビジネスブレークスルー
 日本ファイナンシャルアカデミー株式会社
 北陸電力株式会社
 中部電力株式会社
 株式会社ギブコム
 SBIホールディングス株式会社
 株式会社ネクスト(HOME'S不動産投資フェア)
 健美家株式会社
 株式会社ファーストロジック(お宝不動産セミナー)
 三和エステート株式会社

その他、全国の不動産管理会社様での講演多数

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