寺尾 恵介の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資の事業化計画

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

11.スタッフ活用はメリットだらけ。

購入総額10億円以上となると、家賃単価が高いものばかりを扱っていても200戸を超える戸数を管理・運営する必要があります。
それだけの戸数があれば、家主として対応しなければならないことも増えますし、空室の数も増えるので(入居率95%でも10戸が募集されている状態)どんどん忙しくなってきます。

その状況からさらに規模を拡大しようとしたり、昨今のように売却活動も積極的に行っていったりということであれば、当然ひとりでできる業務量を超えてしまいます。
また、このような規模まで拡大できている投資家さんは、経済的にも十分に豊かな状態であることがほとんどなので、
自分の時間は仕事だけではなく他の有意義なことにも割きたいと考えることも多いでしょう。

そういう訳で、メガ大家規模の投資家さんのほとんどが何らかの形でスタッフを活用しています。
しかし、そこから先のやり方は人それぞれで、雇用形態や人数はもちろん受け持ってもらう業務や権限も各人それぞれの考えがあるようです。

◆スタッフ活用の「損益分岐点」は?

一人大家さんをやってきた方がスタッフ採用で最初に考えてしまうのが、やはり人件費でしょう。
「今でも何とかひとりで回せている。スタッフを採用することで、最低でも100万円くらいの人件費が発生する。100万円って言ったら5千万円の物件を買ってようやく得られるキャッシュフローじゃないか。それでは本末転倒だ」みたいな感じでしょうか(笑)

しかし、スタッフの人件費についてはあまり心配することはありません。
これは自分の経験からも言えることです。理由は以下の3つ。

1. 間接業務のみに従事するなら、人件費はそもそも非常に低廉である。
2. スタッフ採用が収益に直結することも多い。
3. 人件費は100%損金になるので、実質負担はその6~7割程度。

ちょっと高めの時給1200円で、簡単な雑用を任せたとしましょう。
100戸保有している投資家さんでも、週3回4時間ずつで十分仕事が回せます。
必要な人件費は月額6万円程度。
これくらいのお仕事なら事務所の近隣に住んでいる人を採用できるでしょうから、
交通費負担も低額です。

月額6~7万円という金額は、家賃収入5千万円の投資家さんにとっては入居率1%ちょっとの差でしかありませんから、スタッフを採用したことで空室対策に注力する時間が増えて入居率が改善すれば、人件費は完全にペイできることになります。
また、雑務に時間を取られなくなったことで情報収集を徹底できるようになった結果、
ひとつ良い物件が買えたとしたら、そこからの利益だけで永久に人件費が賄えます。
この規模になっている投資家さんなら、
月額10~15万円程度の人件費は確実にプラス収支になると思って間違いありません。

◆最初のスタッフがする仕事とは?

銀行に提出する確定申告書や決算書のコピーを取る。法務局へ行って登記簿を取ってくる。
郵便物を開封して振り分ける。書類のファイリングをする。記帳に行く・・・。
このような雑務はスタッフを採用した直後から任せられますので、
そのためのパートタイム社員を雇うという選択肢もあるでしょう。

フルタイムの社員であれば、まだ時間に余裕があるはずですが、
その先になにをしてもらうかはスタンスが分かれるところです。

一人目のスタッフが従事する雑用以外の業務として一番多かったのが「経理」です。
領収証をまとめて会計ソフトに入力する。通帳のコピーを取って税理士さんに郵送する。
銀行窓口で、固定資産税や取得税の支払いをする。
このような業務は慣れてしまえばさほど難しいものではありませんし、
定期的にほとんど同じ作業が必要なルーティンワークですから、
スタッフに委任する業務として適しています。
他人にお金を扱わせるのが心配であれば、振込や引出だけは自分でやるという手もあります。

次に多い委任業務が、「所有物件の管理」です。
家賃収入が5千万円を超えてくると、管理費として管理会社に支払う費用で、
フルタイムの社員さんを雇用できるようになります。
家賃の入金確認、更新業務、退去の立ち会いと精算、リフォームの発注、
そしてもちろん客付け営業など、管理会社が行っている仕事を全部自社でまかなうことも可能です。
管理費を節約した費用と人件費が同じだったとしても、やり方次第でリフォームの費用を削減できたり、
入居者が加入する損害保険を取り扱うなどの副収入が発生したりするので、
総合的に大きな収益を生むことが多いようです。
所有物件が割と近くにあり、外出仕事に抵抗がないスタッフを採用すれば、
自社にとって大きなメリットになりそうですね。

ちなみに2人目以降のスタッフからは、かなり戦略的な取り組みが可能になります。
「物件情報を収集するための営業マン」を雇用することも可能ですね。
固定給割合を減らして高めの成果報酬で報いるようにすれば、
万一何の成果も出なかった場合でも損失を最小限に抑えることができます。
スペシャルな物件情報を年に1棟入手するだけで、十分に利益を出せるでしょう。

外回りの歩合給という形では採用が難しいという場合は、
そういった営業活動(仕入れ活動)と大量の物件情報が届くような仕組みを作るのは自分で行い、
玉石混淆の情報を精査・査定するためにスタッフを活用するという方法もあります。

◆どうやって募集するか。

募集媒体として一番多いのは、やはりハローワークでした。無料で求人を募集できる上に、
多くの求職者がチェックしている媒体ということもあり、無視できない存在です。

ただし、社会保険や労働保険の加入がない事業所は求人募集ができませんし、
業務内容や給与待遇を事前に決めて明記する必要があるので、
「応募してくれた人に応じて臨機応変に対応しよう」というような場合は、
かなり使いづらいのも事実です。
リクルートをはじめ、求人広告を有料で掲載する会社がたくさんあるのも頷けます。
また、ネットで求人広告出稿の検索をしようとしても、
出てくるのは職を探している人向けのサイトばかりなので、
「出したくても出せない!」という状態でイライラします。

ぼくが最近使っているのは「indeed」というサイトです。

びっくりするくらい簡単に求人広告(掲示板のようなもの)を出すことができますし、
掲載するだけなら無料です。
数千円の広告費を使って、より多くの表示をさせることができます。
http://jp.indeed.com/

求職の方からみると非常に怪しいイメージに取れそうですが、
ちゃんとした人から応募がありますのでご安心を。
自社や業務内容の説明を、しっかり書くのがコツです。

ということで、スタッフ採用についてお話してきました。
自分の時間を増やし、より生産性の高い業務に集中するためにも、
ぜひ早めに検討されてはいかがでしょうか。

【このコラムの著者】

寺尾 恵介

不動産投資・アパート経営の人気ブログを運営する「投資家けーちゃん」
大家さん向けの情報誌「満室経営新聞」の編集長。

1973年愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒業。1996年に住友海上火災保険株式会社(現:三井住友海上火災保険株式会社)に入社し12年間勤務。富山支店在任時代に不動産投資に目覚め、現在までに約110室、家賃年収は6千万円に達する。

一般的には空室リスクも高く、アパート経営に不向きと言われる北陸地方(石川県、富山県)で物件を購入しているにも関わらず、入居率は常に90%以上で推移。管理会社を中心とした「チーム」での運営を得意とするスタイル。

運営ブログ 投資家けーちゃん「ハッピー&リッチBLOG」 http://toushika-keichan.com
メルマガ 投資家けーちゃんの不動産投資メールマガジン(23,000部) http://www.mag2.com/m/0000254056.html
著作 満室チームで大成功! 全国どこでもアパート経営(筑摩書房) http://www.amazon.co.jp/dp/4480863885/
みんなが知らない 満室大家さんのヒミツ(ぱる出版) http://www.amazon.co.jp/dp/4827205612

講演/セミナー実績
 全国賃貸住宅新聞社(賃貸住宅フェア)
 東京都宅地建物取引業協会
 株式会社ビジネスブレークスルー
 日本ファイナンシャルアカデミー株式会社
 北陸電力株式会社
 中部電力株式会社
 株式会社ギブコム
 SBIホールディングス株式会社
 株式会社ネクスト(HOME'S不動産投資フェア)
 健美家株式会社
 株式会社ファーストロジック(お宝不動産セミナー)
 三和エステート株式会社

その他、全国の不動産管理会社様での講演多数

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