寺尾 恵介の不動産投資コラム

シリーズ連載: 悩める投資家への「目からウロコが落ちる」アドバイス 誌上チャレンジ面談

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

2.ぼくがやってる「区分マンション投資」を教えますが・・・

今に始まった話ではありませんが、「最近の不動産価格は高くて購入できるものがない」
というお悩みをよく聞きます。
買い時かどうかという話も含めて、あまりこの手の話題は好きではありませんが、
ぼくなりの考えを簡単に説明するとこんな感じです。

・高くなった不動産は、フルローンが出る中古RC物件。
・資金も経験も乏しいうちは、そういった物件を買っていくしかない。「以前に比べて高い」のと「この値段で買ったら損を出す」との間にはかなりの差があるので、あるものの中で買うしかない。
・実績がついてきたら、空室が多かったり古かったりする物件でも買えるようになるので、それまで以上の利回りが得られる可能性が高い。

さて、今日の質問回答は、
ぼくがブログその他の媒体で紹介している「区分マンション」についてのノウハウです。
ライバルの多い一棟ものを避けたいという意向から、他の投資法に興味を持つ人が増えたのだと思います。
何度も紹介しているのに実践している人が少ないのは理由があるのですが、
まずは頂いたメールをご紹介しましょう。

投資家けーちゃん(寺尾 恵介)様
いつも楽しく拝見しています。またいつも為になる情報ありがとうございます。
今後も期待しています。
教えていただきたいことは、区分の中古分譲マンション投資について、
メリットと注意した方が良いポイントです。
よろしくお願いします。

始めにお伝えしておきますが、
この質問を採用して区分マンションについて説明するのは、区分マンション投資をお薦めするためではありません。
何度も説明している「投資スタンス」や、冒頭でお話した「不動産が高くて買えない」という点で躊躇されている人に向けたメッセージです。

■多くの点で一棟ものを上回りメリットが

まずは、質問メールでご要望いただいた通り、メリットと注意点についてお話します。
ぼくが購入している区分マンションは、全て賃貸中のファミリータイプ物件です。
目安としては2LDK以上、専有面積50㎡以上の条件を満たす賃貸中の区分を探して、一定以上の利回りで購入するというものです。

利回りは時期によって、またエリアや築年数によって購入基準を変えていますが、
一番多く買っている横浜市内の駅徒歩圏であれば、
家賃から管理費と修繕積立金を差し引いた「ネット家賃」での利回りが7%以上というのが一応の目安です。

・・・以上。ですね(笑)それ以上のノウハウは特にありません。

あとは別の媒体や区分投資の本に載っているように、修繕積立金の残高が十分にあるかを調べたり、
現地に行って掲示版や郵便受け、ゴミ置き場などをチェックして管理状態が適正かどうかを確認したりということをします。
利回りのもとになっている家賃が適正かどうかは、ミスしやすいところなので注意してください。
1戸しかないので、その家賃が相場と乖離していても気づきにくいのです。

そして、メリットは以下の3点ではないかと思います。

・賃貸中の投資物件と、空室リフォーム済み状態で実需向けに販売されている物件では、同じ部屋でも価格が違います。その差額はリフォーム代を上回ることが多く、出口で安定した収益を取ることができる。
・購入前に積み立てられた修繕積立金を無税で引き継げる。外壁や給排水設備などの共用部を他人のお金で修繕することができ、コストの安定化につながる。
・シングル物件と比べて入居期間が長くてマナーも良いことが多い。家賃滞納も少なく、手間の掛からない賃貸経営ができる。また、賃貸用の一棟ものに比べて立地的に優位であることが多いので、高い入居率が期待できる。

ネット利回り7%が一応の購入基準だと書きましたが、
同じエリアと築年数の一棟ものRCで探すと表面利回り7%でも滅多に見つかりません。
区分マンションは長い間「収益性はイマイチだけど、安定しているし運営が楽だよね」という認識でしたが、いまや収益の面でも一棟ものを超えつつあるのが現状です。

■購入状況と収支の公開

ただし、もちろん良いことばかりではありません。
一例として、6月末現在でぼくが保有している区分マンションのデータをご紹介します。

保有戸数  29戸
購入総額  4億7580万円
家賃月額  3,619,150円
借入総額  3億8970万円

年換算した家賃を購入総額で割ると、表面利回りが9.1%くらいであることが分かります。
ほぼ全ての物件が、横浜や都区内などの大都市の駅から徒歩圏にあることを考えると、上述の通り一棟ものよりはるかに高い水準の利回りを維持しています。

しかし、購入総額と借入総額の差に注目してください。
購入諸経費を除いて9千万円近い自己資金を投入して、ようやくこれだけの規模が得られているんですよね。
諸費用を入れれば1.2億円程度のお金を出しています。
区分マンションはどうしても、「販売価格>金融機関の評価額」になってしまうので、フルローンでの購入がしづらいです。
強引に融資を出してもらうと与信を毀損するので、今後は次の融資が受けづらくなってしまいます。
たくさん買うなら、都度の自己資金投入が必須です。

また、29戸の区分マンションから得られるキャッシュフローは、平均で月額25万円程度と極めて少ないのが実情です。
評価の低い区分マンションで多くの部屋を購入していこうとすると、耐用年数以内の返済が必須なので必然的に返済期間が短くなり、ネット家賃の8割以上を返済に回さないといけないことがその理由です。
一棟もののRC物件を5億円近く購入すれば、フルローンであっても80~100万円のキャッシュフローが毎月得られることを考えると、かなり効率が悪いですね。

ただし残債の減りはそれだけ早いですし、売却時にはまとまった金額が一気に手元に入ります。
利益はしっかり得られます。そのタイミングが「投資の終了時」であるというだけなのです。

■メリットばかり追っては買えない。

ここまでご覧いただいて「よし!じゃあ区分マンション投資をやっていこう」と考える人って、
ほとんどいないと思うんです。

以前のぼくも含めて、コラムをご覧になっている多くの方は「少ない自己資金で多くの物件を買って、
できるだけ早く給料と同じくらいのキャッシュフローを得たい」と考えていますので、区分マンション投資はスタンスとして適切ではないのです。
区分マンション投資は、「既に十分なキャッシュフローと一定額以上の金融資産がある人が、
規模拡大ペースはゆっくりでいいので、安定して収益を取りたい」という場合に良い投資スタンスだという訳ですね。

そして、「少ない自己資金で多くの物件」を狙っているのは、
不動産投資をしている人の大半と言っていいくらい多いので、
それを実現できる中古RC一棟ものに人気が集中する、
つまり価格が上がるのは当たり前というものです。
それでもご自身の目標に妥協したくないのであれば、買い時かどうかや購入できる水準の物件がないとかグダグダ言ってないで、良いモノを探してさっさと買えよ!
・・って話をしたくて、あえて区分の説明からマインド系の話に持っていったという訳です。

【このコラムの著者】

寺尾 恵介

不動産投資・アパート経営の人気ブログを運営する「投資家けーちゃん」
大家さん向けの情報誌「満室経営新聞」の編集長。

1973年愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒業。1996年に住友海上火災保険株式会社(現:三井住友海上火災保険株式会社)に入社し12年間勤務。富山支店在任時代に不動産投資に目覚め、現在までに約110室、家賃年収は6千万円に達する。

一般的には空室リスクも高く、アパート経営に不向きと言われる北陸地方(石川県、富山県)で物件を購入しているにも関わらず、入居率は常に90%以上で推移。管理会社を中心とした「チーム」での運営を得意とするスタイル。

運営ブログ 投資家けーちゃん「ハッピー&リッチBLOG」 http://toushika-keichan.com
メルマガ 投資家けーちゃんの不動産投資メールマガジン(23,000部) http://www.mag2.com/m/0000254056.html
著作 満室チームで大成功! 全国どこでもアパート経営(筑摩書房) http://www.amazon.co.jp/dp/4480863885/
みんなが知らない 満室大家さんのヒミツ(ぱる出版) http://www.amazon.co.jp/dp/4827205612

講演/セミナー実績
 全国賃貸住宅新聞社(賃貸住宅フェア)
 東京都宅地建物取引業協会
 株式会社ビジネスブレークスルー
 日本ファイナンシャルアカデミー株式会社
 北陸電力株式会社
 中部電力株式会社
 株式会社ギブコム
 SBIホールディングス株式会社
 株式会社ネクスト(HOME'S不動産投資フェア)
 健美家株式会社
 株式会社ファーストロジック(お宝不動産セミナー)
 三和エステート株式会社

その他、全国の不動産管理会社様での講演多数

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