寺尾 恵介の不動産投資コラム

シリーズ連載: 悩める投資家への「目からウロコが落ちる」アドバイス 誌上チャレンジ面談

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

5.ぼくの失敗を知りたい人も多いので・・・。

9月も終わって今年も残り3ヶ月になりました。
2017年も昨年と同じくらいのペースで購入ができていますし、売却も1件利益を出せました。
社員さんも育ってきていまして、特に所有不動産の管理と経理面のクオリティが上がっています。
(経理がしっかりしていることは、継続的に融資を受けるための大事なポイントです)

さて、今回のコラムに向けてメールマガジンの読者さんに質問を募ったところ、ぼくの失敗談について教えてほしいというご意見を複数の方からいただきました。

同様の意見は、満室経営新聞の読者さんからもよく頂くのですが、ぼくは基本的に失敗談を知っても得られるものは少ないと考えています。理由としては

1.失敗には成功以上に個別性が高く、失敗談と同じことをして成功する人がいる場合も多い。失敗談を断片的に知ることで、逆に自分の選択肢が狭まる可能性がある。
2.誰がどうやっても圧倒的に失敗するような事例は、普通に勉強していれば学べるものであり、わざわざ個別ケースを知る必要もない。
3.多くの人は、普遍的で本当の意味で役立つ「失敗するポイント」には興味がなく、単純に「リアルに失敗したお話」が好きなだけだから。

他人の失敗を知って溜飲を下げるような人たちは、例えばぼくが以前書いたコラムシリーズ「失敗編」のようなものを読んでも、面白くないんですよね。
「自分が失敗するかもしれない話」ではなく「他人が失敗した話」が好きなのです。

ぼくはこのコラムでは、「読み物として面白いもの」より「役に立つもの」をお届けしたいと思っているので、今回は上記のニーズ(笑)も踏まえた上での役立つ失敗談をご紹介したいと思います。

■築古物件での、ありがちな失敗事例。

最初の失敗は、もうかれこれ12年くらい前になりますが、築古のRCマンションを購入したことです。
当時で築30年くらいでしたので、今の基準だとさほど古くもないのですが、12年前の築30年は違います。
2DKの間取りはどちらも和室。日本の家の水回りは昭和60年~平成元年くらいを境に大きな転換を経ていて、それ以前の建物は

・洗浄便座という概念がないので、トイレにコンセントがない。
・キッチンは流し台と湯沸かし器。給湯器という概念がない。
・だからお風呂もバランス釜。キッチンの流し台は建物完成後に「置いている」のに、なぜか風呂釜だけは浴室に埋め込まれている。

という感じで、今の建物に比べるとリフォームしづらいのが特徴です。
ぼくが不動産投資を始めた頃は、「リフォームなんてものは地場の土建組合に頼めば激安でやれる」
「古くても、ダサくても、場所が悪くても、とにかく利回り」という風潮があったので、それを真に受けて利回り「だけ」高い物件を買ってしまいました。

そして、地方の築古物件(このマンションは富山にありました)の特徴として、単位面積あたりの賃料単価が非常に安く、納得のいくリフォームをしようとすると、それこそ家賃2年分くらいの費用が飛んでしまうことも分かりました。
土建組合の人だってタダでやってくれる訳ではないし、工賃はリーズナブルでも資材の費用はちゃんと掛かります。TV番組の「ビフォア・アフター」の悪影響で、「リフォームで何でも解決する」と思い込んでいたことが失敗の原因ですね。

この件に限らず、「価値を上げるためにはいくらの費用が掛かるか」を購入前に把握できるスキルは、これから不動産投資をしていくにあたって非常に大切ではないかと思います。

■勤務先リタイアは計画的に。

次に失敗だと思えることは、当時勤務していた会社を退職するにあたっての準備不足ですね。

予定よりも1年半くらい早く退職をすることになったこともありますが、サラリーマン投資家としての規模拡大のみに特化した取り組みをしていたので、退職後に事業者としての融資を受けづらくなったり、退職してから4ヶ月の間に2棟の物件を新規購入したりで自己資金がゼロ以下になったりと散々でした。

事業化移行の失敗については、以前のコラムで説明していますね。(以前のコラムはこちら)
その反省を踏まえて、今は自分の資産管理法人を早めに設立して黒字の決算実績を作っておくようにアドバイスしています。

お金については・・・なかなか危ない状況でした(笑)
普通は会社を退職するときに退職金をもらえるものですが、ぼくは自分の投資物件を買うために勤務先の融資制度を利用してお金を借りていたので、退職時にそれを一括返済することで退職金の何倍ものお金が出ていくことに。
さらに、良い物件が続けて出て来たこともあってムリをして購入した結果、入居者さんから預かっている敷金の総額よりも、自分の貯金が少ないという時期さえありました。
勤務先を退職するというイベントは中々良いものではありますが、その前に資金面やその後の規模拡大について目処をつけておくことが大切ですね。

■都会と地方のリノベは違う。

最後にご紹介するのは「自己満足リノベーション」についての失敗です。
当時は富山県に住みながら、東京や大阪の大家さんの事例を参考に賃貸経営をしていましたが、大家歴2年目に購入したマンションの一室で豪快なリノベーションにチャレンジし、そして失敗しました。

リノベを施したのは元々オーナー(=売主さん)が住んでいた部屋で、広さが100㎡以上もありました。それでも、管理会社さんの査定では7万円くらいの家賃しか取れないとのこと。
奮起したぼくは200万円以上の費用を掛けて「水回り全交換」「ウォークインクローゼットの新設」などのリノベによって、10万円の家賃を頂くことを目標にしました。
リノベ自体は大成功。部屋は見違えるように生まれ変わり、費用も安く抑えることができました。

しかし、10万円の家賃では検索すらされず、9万円に減らしても家賃交渉の問い合わせが来るだけで内見はゼロ。結局、1年近くも空室を続けた上に7万5千円の家賃でようやく成約することができたというガッカリな結果となりました。
都市部の特殊な賃貸物件を除けば、エリアと部屋の面積で取れる家賃の限界値は決まっており、いくら設備を増強してオシャレにしたところで、その限界値は超えられないようです。

普通の原状回復費用が50万円だったとして、リノベとの差額150万円以上を投じて5千円の家賃アップしかできていません。リノベ利回りは「6万円(年間の家賃増加額)÷150万円」でわずか4%。失敗以外の何者でもありませんね。
これ以降、ぼくは「最低限のリフォームでお安く住んでもらう」ということを心がけるようになりましたが、かなり時間が経った今でも悔いが残る失敗です。

ということで、失敗事例の中から「これなら参考事例になるな」というものについてご紹介しました。コラムをお読みの皆さまは同じ失敗をされませんよう。

【このコラムの著者】

寺尾 恵介

不動産投資・アパート経営の人気ブログを運営する「投資家けーちゃん」
大家さん向けの情報誌「満室経営新聞」の編集長。

1973年愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒業。1996年に住友海上火災保険株式会社(現:三井住友海上火災保険株式会社)に入社し12年間勤務。富山支店在任時代に不動産投資に目覚め、現在までに約110室、家賃年収は6千万円に達する。

一般的には空室リスクも高く、アパート経営に不向きと言われる北陸地方(石川県、富山県)で物件を購入しているにも関わらず、入居率は常に90%以上で推移。管理会社を中心とした「チーム」での運営を得意とするスタイル。

運営ブログ 投資家けーちゃん「ハッピー&リッチBLOG」 http://toushika-keichan.com
メルマガ 投資家けーちゃんの不動産投資メールマガジン(23,000部) http://www.mag2.com/m/0000254056.html
著作 満室チームで大成功! 全国どこでもアパート経営(筑摩書房) http://www.amazon.co.jp/dp/4480863885/
みんなが知らない 満室大家さんのヒミツ(ぱる出版) http://www.amazon.co.jp/dp/4827205612

講演/セミナー実績
 全国賃貸住宅新聞社(賃貸住宅フェア)
 東京都宅地建物取引業協会
 株式会社ビジネスブレークスルー
 日本ファイナンシャルアカデミー株式会社
 北陸電力株式会社
 中部電力株式会社
 株式会社ギブコム
 SBIホールディングス株式会社
 株式会社ネクスト(HOME'S不動産投資フェア)
 健美家株式会社
 株式会社ファーストロジック(お宝不動産セミナー)
 三和エステート株式会社

その他、全国の不動産管理会社様での講演多数

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