寺尾 恵介の不動産投資コラム

シリーズ連載: 悩める投資家への「目からウロコが落ちる」アドバイス 誌上チャレンジ面談

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

6.不動産投資の「テクニック」についての持論

こんにちは。11月のコラムに先立って、今日は書籍の宣伝をさせていただきます。
この度、自分にとっては3冊目となる「フツーのサラリーマンですが、不動産投資の儲け方を教えて下さい!」という書籍を出させていただきました。

書籍の概要はこちらのサイトhttp://toushika-keichan.com/futsusara/ で説明していますが、不動産投資の本では珍しい「会話調のやりとり」と「イラストによる説明」が特徴で、一度読むだけでしっかり内容が理解できると思います。
書籍中で、LIFULL HOME’Sさんの「見える!賃貸経営」についても説明していますよ。ぜひ上記サイトをチェックの上、「面白そうだな」と思ったらご購入下さい。

さて、今回は「いつか来るだろうな」と思っていた質問です。

寺尾先生、初めまして。私は●●県で総合病院の医師として勤務しながら不動産投資をしています。
先日、東京の不動産会社が主催するセミナーを受講した後で個別面談を行った際、複数の会社を作って短期間に買う方法についての提案を受けました。さらに、様々なテクニックを駆使することで限られた自己資金でも10億円以上の不動産を買えるということです。
このような方法を寺尾先生は使っていますでしょうか。規模が増えすぎることのリスクはありませんか?

最近話題の「複数法人スキーム」や、ここ数年当たり前のように行われていた「テクニック」についての質問です。
長く不動産投資をされている方、または実際にスキームやテクニックを駆使されている方は慣れてしまったかもしれませんが、最初にこういった話を知った人の反応としては上記の質問はごく自然なものだと思います。普通、引きますよね(笑)

■簡単に概要を説明

この説明が「スキームやテクニックのノウハウ解説」になってしまうのは本位ではありませんが、どういうものかを知らないと是非についての判断もできないと思いますので、簡単にお話させていただきます。

● 複数法人スキーム
物件は法人を作って購入し、一般地銀など個人信用情報に借入情報が載らない金融機関で融資を受ける。違う金融機関で融資を受けようとする場合は、また別の法人を設立して、既存の借入については伏せたまま次の物件を購入する。法人から役員報酬を取らなければ、個人の確定申告書にも保有法人は載らない。「嘘を付くつもりはないけど、聞かれていないから答えていないだけ」というのが、実践している人の主張。

● 「書き上げ」によるフルローン、オーバーローン戦略
不動産を実際より高く買ったように金融機関に見せることで、購入に必要な自己資金を減らすテクニック。嘘の売買契約書を作って提出したり、売買契約書とは別の「覚え書き」を使って決済のあとで購入金額の一部を返金するなどの方法がある。

● 消費税還付による自己資金増加
物件購入で支払った消費税を、決算時期の調整や課税売上割合の意図的な増加によって取り戻す方法。消費税還付自体は「払った消費税の方が、受け取った消費税より多い」というだけで違法性はない。
ただ、課税売上割合の増加で自社の決算書がめちゃめちゃになる(&通常は大幅な赤字決算になる)ことで、その法人ではしばらく追加融資を受けにくい。しかし、上記の複数法人スキームと併用することで、そのデメリットを回避することもできる。

これらのスキーム・テクニックを「併用」することで、高い属性とある程度の自己資金を持ったハイクラスのサラリーマンは、その気になれば数年で数十億レベルの不動産を購入することができていました。

■自分はどうなのか

ぼく自身はこのようなスキーム・テクニックを使っていませんが、「道徳に反するから」などの高尚なものではなく、下記の3つの理由からです。

1.サラリーマン時代は、全ての業界の中で最もコンプライアンスに厳しいと言われる金融機関に勤務し、社内監査や金融庁の検査におびえる日々を送っていましたので、今でも精神的に怖くてできません。といいつつ、上記のスキーム・テクニックは金融機関が黙認しているものも多いのですが(笑)

2.ぼくは社員さんを雇って自分の賃貸業を行っていますので、例えばA銀行さんが事務所に来たときに、「先日のB銀行での借入についてはナイショだぞ」なんて指示をすると、社員さんから冷たい目で見られてしまいそうです。
ましてや「ちょっと、この売買契約書をスキャンして、購入金額5600万円の『6』を画像コピーして隣の『5』と入れ替えて」なんて指示をする勇気はありません。

3.複数法人スキームのデメリットとして「顔や名前と一緒に、保有物件についての情報を出せない」というのがあります。本名や顔出しをしながら複数法人スキームを使っていると、取引銀行の人が見て「あれ?そんなに持っているの?」とバレてしまうからです。 「複数法人スキームで資産●●億だ!」とネット上で発言している全員が、顔出しをせずハンドルネームを使っているのもこのためです。
ぼくは既に本名顔出しでの活動が長いので、仮に複数法人スキームをやりたかったとしても物理的にできません。

■超えてはいけない「一線」はどこか?

上記のスキーム・テクニック全ては、金融機関レベルのコンプライアンスとしては「真っ黒」だと思います。金融機関は金銭消費貸借契約書の「¥」マークでさえ行員の代筆が許されず、債務者に書かせなければならないくらい厳しい業界ですので。

ただ、「他の法人で借入については聞かれなかったので答えていない」「決済の直前で売買金額が変更になった」という理由(言い訳?)は、苦しいながらも論理的には通っているとも思います。
投資初期の苦しい自己資金事情の中、返済比率の増加をものともせず規模拡大を頑張りたいという気持ちも分かります。そういったスキーム・テクニックを使うなら、絶対に賃貸経営を成功させて金融機関に迷惑を掛けないようにしてほしいと思います。

ただし、自分の中で「これは絶対ダメだろう」という一線があります。
それは「金融機関に対して、主体的に嘘を付くこと」です。「黙っていた」のではなく、意図的に嘘を付いてしまうと、何かあった時に言い逃れができません。

具体的には、「複数法人スキームと、書き上げの組み合わせ」がこれにあたります。

1つの法人で1つの金融機関のみから融資を受けると、法人が保有している物件の全てがその金融機関の融資案件となります。そうすると、金融機関が把握している購入金額と「本当の購入金額」との間に差ができてしまうので、それを隠すために「決算書を改竄する」という行為に走る訳です。
決算書の改竄はたまたまそうなったのではなく意図的であり、不動産業者が勝手にやったのではなく自分がやったのであり、言い訳できる要素がどこにもありませんよね。

もちろん、上記以外の手法だからといって推奨することはありません。
コンプライアンスに寛容な(笑)不動産業界もこれからは健全化に向かっていくような気がしています。

【このコラムの著者】

寺尾 恵介

不動産投資・アパート経営の人気ブログを運営する「投資家けーちゃん」
大家さん向けの情報誌「満室経営新聞」の編集長。

1973年愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒業。1996年に住友海上火災保険株式会社(現:三井住友海上火災保険株式会社)に入社し12年間勤務。富山支店在任時代に不動産投資に目覚め、現在までに約110室、家賃年収は6千万円に達する。

一般的には空室リスクも高く、アパート経営に不向きと言われる北陸地方(石川県、富山県)で物件を購入しているにも関わらず、入居率は常に90%以上で推移。管理会社を中心とした「チーム」での運営を得意とするスタイル。

運営ブログ 投資家けーちゃん「ハッピー&リッチBLOG」 http://toushika-keichan.com
メルマガ 投資家けーちゃんの不動産投資メールマガジン(23,000部) http://www.mag2.com/m/0000254056.html
著作 満室チームで大成功! 全国どこでもアパート経営(筑摩書房) http://www.amazon.co.jp/dp/4480863885/
みんなが知らない 満室大家さんのヒミツ(ぱる出版) http://www.amazon.co.jp/dp/4827205612

講演/セミナー実績
 全国賃貸住宅新聞社(賃貸住宅フェア)
 東京都宅地建物取引業協会
 株式会社ビジネスブレークスルー
 日本ファイナンシャルアカデミー株式会社
 北陸電力株式会社
 中部電力株式会社
 株式会社ギブコム
 SBIホールディングス株式会社
 株式会社ネクスト(HOME'S不動産投資フェア)
 健美家株式会社
 株式会社ファーストロジック(お宝不動産セミナー)
 三和エステート株式会社

その他、全国の不動産管理会社様での講演多数

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