寺尾 恵介の不動産投資コラム

シリーズ連載: 悩める投資家への「目からウロコが落ちる」アドバイス 誌上チャレンジ面談

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

7.不動産投資の「やめどき」はいつ?

2017年最後のコラムになりました。1年間、本当にあっという間です。

個人で物件をお持ちの方は、今月で事業年度が終了となります。家賃収入と経費を早めにまとめて今年の課税収入を予測しておき、ふるさと納税などを活用して上手に1年を締めくくりましょう。
また、物件の売却を予定している場合は、利益が出るなら決済を年明けに延期したほうがお得です。今月発生した売却益は4ヶ月後の来年3月に納税しなければいけませんが、年明け1月に決済を延ばすことで、納税を1年遅らせることができます。

ぼくは今年、一棟ものと区分マンションを合わせて2.7億円くらいの物件を購入し、区分を2戸売却することで2千万円くらいの売却収入を得ました。
不動産投資についてネガティブな意見が出るご時世ですが、まだまだ儲かるビジネスではないかと思っています。

そんな中、質問をいただいたのはまさにネガティブなテーマについてです。

いつもメールマガジンなどで情報を提供いただきありがとうございます。新刊も購入して勉強させていただきました。ブームになっている不動産投資ですが、オリンピック後は物件価格も下がり利益が出なくなると思われます。少子化や高齢化など、投資環境は悪化するばかりだとも思います。
そこで、投資の撤退時期についてはどのようにお考えでしょうか。オリンピックまで持たないという意見もあり迷っています。

まず、新刊をお読みいただいたことに感謝申し上げます!
※新刊の内容は、こちらのサイト(http://toushika-keichan.com/futsusara/)からお読みいただけます。

ぼくは、経済動向などの大きな話をあまり好まないので、著書でもご質問いただいたような内容には触れていません。
(よろしければ、過去コラムをご参照ください。「森を見て木を見ず」

このような質問をされる方の多くは、不動産投資を「投資」として考えすぎています。
そもそも「投資」というのは、一定の自己資金を拠出して対象となる何かを購入または出資し、その価値が上がることで利益を得るというものです。

しかし、国内不動産において純粋な意味の「投資」として成立する物件は多くなく、ほとんどが「物件を賃貸することで得る家賃収入」と、「入居率向上やリフォームによる価値向上」が利益の源泉となっています。
つまり、便宜上「不動産投資」という言葉を使ってはいるものの、やっていることは「事業」に限りなく近いものであり、そういった意味では無数にある他のビジネスと環境的には同じです。
子供や喫煙者を顧客にするビジネスはさらに厳しい環境ですし、例えば紙媒体雑誌の市場規模が縮小するスピードは、不動産賃貸業のそれに比べてはるかに早いです。
そういう意味では、不動産賃貸業は他業種に比べてまだまだ環境的には「緩い」のではないでしょうか。

そして不動産賃貸業というビジネスは、他業種で探してもほぼ確実に見つからない、とてつもない有利な前提があることに注目してほしいと思います。

それは「やる気もスキルもない経営者が、続々と新規参入してくる」ということです。

不動産賃貸業は、「更地をそのままにしておくと固定資産税の課税評価が高い」とか、「借金をしてマンションを建築することで、相続税の節減になる」など、本来の事業目的とはまったく違う理由で開業する人が大勢います。
経営者が死亡することで物件を相続し、突然賃貸業の経営者になる人もいます。こういった経営者は、やる気もスキルもありませんよね。
おそらく今日も、何名かの「やる気&スキルなし経営者」が日本のどこかで誕生しているはずです。

これは他業種で例えると、「税金を節約する目的で、調理経験のない人が飲食店を開業する」のと同じです。未経験で売上が心配なので、店舗のプロデュース会社が一定期間の売上保証をしてくれたりします。

でも、そんなお店ですから美味しい料理が提供できるはずもありません。
接客も失礼でクレームだらけ、掃除をしようという気もないのでお店はどんどん汚れていくことでしょう。そもそも場所と業態が合っていないようなお店が大半で、悪い業者の口車に乗って開業費用も相場以上の支払いをしているために、損益分岐点が異様に高いのも特徴です。

当然のことながら、そういったお店はすぐに潰れていくことになります。
残った店舗は「居抜き物件」として、既存のお店を成功させている「やる気とスキルのある経営者」が、安く購入して利益を上げることになるでしょう。そしてまた、今日もダメダメな経営者のお店がオープンする。

・・と、こういう例え話が現実に起こっているのが不動産賃貸の業界です。なんか、すごくないですか?(笑)

もちろん、こういった「やる気&スキルなし経営者」は地主系の大家さんに限りません。「ローンが付くから」「セミナーで不労所得だと言われたから」といった理由で、考えもなしに割高な物件を買うサラリーマン大家さんにも当てはまるでしょう。土地資産がない分、さらに失敗の確率が高いかもしれません。

安易に参入して損失を被った経営者には悪いけれども、そのおかげで普通の経営者が簡単に利益を上げられているのも事実です。
こういう環境が解消されない限り、不動産賃貸業という業界においてマジメにやっている大家さんの優位性は高いままですから、オリンピック前後での物件価格の高騰や下落を見越して撤退時期を考えるような必要もないのではないか・・と思う訳です。

もし、全国の大家さん全てが勉強熱心で高度な経営スキルを持つようになれば、物件を安く取得することも、地方で高い入居率を維持することも難しくなりますので、撤退を考えるとしたらそういう状況になった場合でしょうか。
あとは(個人的にはないと思っていますが)金利が異常に高くなり、キャッシュフローや利益を大きく圧迫するような状況が発生した場合。賃貸業から撤退することはありませんが、規模の拡大を一時ストップして借入金の返済に全力を注ぐようにはなると思います。

【このコラムの著者】

寺尾 恵介

不動産投資・アパート経営の人気ブログを運営する「投資家けーちゃん」
大家さん向けの情報誌「満室経営新聞」の編集長。

1973年愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒業。1996年に住友海上火災保険株式会社(現:三井住友海上火災保険株式会社)に入社し12年間勤務。富山支店在任時代に不動産投資に目覚め、現在までに約110室、家賃年収は6千万円に達する。

一般的には空室リスクも高く、アパート経営に不向きと言われる北陸地方(石川県、富山県)で物件を購入しているにも関わらず、入居率は常に90%以上で推移。管理会社を中心とした「チーム」での運営を得意とするスタイル。

運営ブログ 投資家けーちゃん「ハッピー&リッチBLOG」 http://toushika-keichan.com
メルマガ 投資家けーちゃんの不動産投資メールマガジン(23,000部) http://www.mag2.com/m/0000254056.html
著作 満室チームで大成功! 全国どこでもアパート経営(筑摩書房) http://www.amazon.co.jp/dp/4480863885/
みんなが知らない 満室大家さんのヒミツ(ぱる出版) http://www.amazon.co.jp/dp/4827205612

講演/セミナー実績
 全国賃貸住宅新聞社(賃貸住宅フェア)
 東京都宅地建物取引業協会
 株式会社ビジネスブレークスルー
 日本ファイナンシャルアカデミー株式会社
 北陸電力株式会社
 中部電力株式会社
 株式会社ギブコム
 SBIホールディングス株式会社
 株式会社ネクスト(HOME'S不動産投資フェア)
 健美家株式会社
 株式会社ファーストロジック(お宝不動産セミナー)
 三和エステート株式会社

その他、全国の不動産管理会社様での講演多数

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