猪俣淳の不動産投資コラム

シリーズ連載: 猪俣淳の「不動産投資の正体」

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

投資に求めるものは年齢で変わる?

念願かなって、スタートを切った不動産投資・賃貸経営業も年月が経てば中身を見直す時が来ます。(本当は毎年というか、いつもですが)
最近、若い個人投資家の方が、70歳代の親御さんを個別相談にお連れになるというケースが多いです。
不動産投資の方法はさまざまです。

例えば、短いローンを組んで土地値の物件を購入。
1.資本改善と運営改善で出費をしながらバリューアップし売却益で儲ける。
あるいは、
2.ローンを完済しキャッシュフローがきっちり出るようになるまで、じっと我慢で赤字に耐える

というのは、「キャッシュフロー」や「ROI(CCR)」にばかり目が行きがちな多くの投資家の選から漏れやすいですから、ゆっくりと物件を選んで投資に取り組むなんていうことができます。
1000万円投資して、キャッシュフローが5年間ゼロでも最後に1500万円の売却手取りがあればIRRは8.45%です。
でも、これは「じっと我慢ができる」ひとに限ります。

自分の給与収入や、別の物件のCFに対して規模が大きすぎれば、持ちきれません。
あるいは、キャッシュフローをすぐに使いたいという場合も目標・目的にそぐわないです。
一般的なイメージからすると、若い人はローン期間を長く。年配の人はローン期間を短く・・・というのが常識だと思います。
住宅ローンなどはまさにそうですね。

でも、こと不動産投資に関しては逆の場合が多いです。
若いかたは、物件やポートフォリオの構成を考えながら、長いローン期間の新築や、短いローン期間の築古をとりまぜていくことになりますが、
年金生活なので、キャッシュフローをすぐに生活費に充てたいという場合は長めのローンを組んでキャッシュフローを厚くすると希望条件にあった投資になります。

年齢的にそんな長いローンが組めるか?
新築で、若い世代のお子さんが保証人になれば大抵の金融機関はOKを出します。
それから、昔から持っている収益物件があるかたであればローンを完済していたり、あるいは残りわずかになっていますので投資の中身がすっかり変わっている場合が多いです。

例えば、2億円で売れる物件を持っていて、表面利回り8%とすれば1600万円の家賃ということです。
空室損と運営費で25%とすれば、正味の収入は1200万円(と、いうことはキャップレート6%ということ)。
20年前に2億円の融資を年利2%30年返済で借りていれば、年間返済額は約900万円なので、税引前キャッシュフローは300万円ということです。
残債は、8000万円といったところです。
50歳で始めた不動産投資が、70歳の時点で・・・キャッシュフロー300万円でローン残8000万円。
もしも、この投資を組み替えるとどんな風になるかというと

売却価格 2億円
売却経費 800万円
残債    8000万円
譲渡税  仮にゼロとします(20年前は高かったですから)
売却手取り1億1200万円

この物件と同様のキャップレート6%で買える物件に組み替えると、今と同じキャッシュフロー300万円を得るためには5000万円の物件を現金買いでこと足ります。諸費用を入れて総額で5400万円といったところでしょう。
50歳で始めた不動産投資を、70歳の時点で入れ替えて・・・
キャッシュフロー300万円でローン残ゼロ。
そして、5800万円の現金が残ります。

もちろん、あと10年頑張れば、ローンを完済してキャッシュフローは1200万円になりますが、80歳ですからね・・・
しかもその間、2億円サイズの物件であればそれなりにお金もかかりますから、改修で2000万円かかりましたなんていうことになれば7年分位のキャッシュフローは飛びます。

そのあいだは、年金だけ?
現金で5800万円も残したら相続税評価の軽減がないので宜しくないということであれば、もうひとつ同じようなものを現金買いしてもいいですね。
50歳で始めた不動産投資を、70歳の時点で入れ替えて・・・
キャッシュフロー600万円でローン残ゼロ。
現金は400万円位手元における・・・という感じでしょうか。
そして、築20年は新築に、なんだかんだと維持管理・修繕にお金がかかる大型物件は、運営がラクな手ごろなサイズの物件に。

今お若い皆さんも、歳を重ねればきっとその感覚がわかると思います。
毎年毎年、季節が巡るたびに自分もいつのまにかそこそこの年齢になっていました。
50歳過ぎると、人生逆算になりますよw

【このコラムの著者】

猪俣淳

猪俣 淳(いのまた きよし)1961年生れ横須賀市出身
株式会社アセットビルド 代表取締役

不動産・建築分野で30年以上働き、不動産管理・不動産売買・建築・投資・金融・保険の各分野における26の資格を持ち、みずからも収益物件の購入・売却・運営・資本改善を行う実践不動産投資家。
著書に「不動産投資の正体」「誰も書かなかった不動産投資の出口戦略・組合せ戦略」(住宅新報社)など多数。
新聞・雑誌への寄稿(ビジネス専門誌・一般週刊誌・海外も含む業界誌)、年間70件を超える全国での講演活動、ラジオ・TVなどへの出演もある。
また、IREM-JAPAN(米国不動産管理協会日本支部)の理事を兼任し、日本で数人のファカルティ(講師)資格を持つ。
ブログ「不動産投資にまつわる100の話」(人気ブログランキング最高位1位)。

保有資格:
一級建築士・米国認定不動産投資顧問資格(CCIM)・米国認定不動産経営管理士(CPM)・同講師(ファカルティ)資格・同MPSA試験採点官(グレーダー)資格・不動産証券化協会認定マスター・不動産コンサルティングマスター・不動産アナリスト・日本FP協会認定AFP・ファイナンシャルプランニング技能士・相続アドバイザー・相続対策専門士・宅地建物取引主任者・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士・賃貸住宅査定主任者・震災建物応急危険判定士・住環境測定士補・防火管理者・貸金業務取扱主任者・損害保険リテール資格・生命保険募集人資格・ハウジングライフプランナー・住宅メンテナンス診断士・住宅インスペクター・事業承継スペシャリスト

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