猪俣淳の不動産投資コラム

シリーズ連載: 猪俣淳の「不動産投資の正体」

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

投資としての共用部改修

依頼された一棟マンションの共用部改修が終わりました。
ビフォーはこんな感じ。

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(Before)

平成築ですがそれなりに年数が経っていますので、デザイン的には時代を感じさせます。
大人の街としてブランド力のあるエリアですから、このあたりで分譲される新築マンションでよく使われる、上質な和モダン的なコンセプトにすることにしました。

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(After)

黒い壁の部分は、ジョリパットの墨色を櫛引仕上げにしています。

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収益物件の改修を投資として考えると、
1)メンテが繰り延べされていて、放っておくと問題が大きくなるものを是正することにより、被害を最小にする。
2)改修により、賃料維持(又は上昇)、入居者の継続居住インセンティブ、成約率アップ、
3)営業純利益(NOI)の上昇と、物件のリスク軽減による市場価値の増加
といった効果が期待されます。
時々、不動産投資の記事で「改修工事は家賃の〇か月分以下に押さえる」といったのを見かけますが、投資としてとらえたほうが良いと思います。
また、防水や給排水管の劣化など放っておくと、大きな被害や危険が予想される部分は、投資とは関係なく可及的速やかに実施する必要があることはいうまでもありません。
投資としての改修の投資効率がより高くなるのは、下記のようなケースになります。

(1)賃料単価の高い物件
坪単価10万円の改修工事を行う場合、6坪(約20㎡)のワンルームであれば60万円の予算を組むことになりますが、家賃6万円(坪単価1万円)の部屋であれば、賃料の10か月相当で回収することができますが、家賃1万5千円(坪単価2,500円)であれば40か月を要します。

(2)期待利回り(キャップレート=R)の低い地域・物件
60万円の改修により、年間6万円の営業純利益(NOI)が増加した場合、期待利回り5%の地域・物件であれば、NOI 6万円÷ R 5%=120万円の価値上昇となり、投資を上回る価値上昇を得られますが、R=20%であれば、NOI 6万円÷ R20%=30万円の価値上昇で、価値上昇による投資回収が得られません。

(3)共用部の改修工事においては、世帯数の多い物件
今回は、エントランス周りと階段・廊下など共用部を主に改修工事を行いましたが、仮にエントランス部分に300万円の予算を掛けた場合、総戸数が6戸の物件であれば戸当たり@50万円の投資になります。10戸であれば@30万円、15戸であれば@20万円。30戸であれば戸あたりわずか@10万円の投資ということになります。

この物件は、都心のブランドアドレスにありますので、賃料単価は@15,000~17,000(!)/坪。 戸数も30戸近くありますので、改修工事の投資効率は非常に高いといえるでしょう。

予算が限られていますので、2階以上は基本的に触っていません。

広い道路に面して、遠くから視認できる建物は上層階まで目立ちますが、狭い路地沿いに建つ物件は近くに寄って見ますので、下の方にしか視線がいかないのです。
人の眼の高さは、地上140cm。 意識しないで普段見ている視野は上下左右120度。・・・ということを知っておくと良いでしょう。

ただし、共用廊下・階段の長尺シートは劣化が激しかったのでやりました。
道路側から目立つ階段室の照明器具も劣化していましたので、シンプルな白熱灯色のLEDに変更しています。それまでは、白色蛍光灯で冷たい感じでしたが、明かりがともると、落ち着いた感じになります。

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(Before)

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(After)

狭い道沿いの物件なので、通行車両が建物敷地に乗り上げることが多く、タイルが破損しています。
そこはかとないスラム感を醸し出しますので、この先同じ目に合わないように重量物が乗っても大丈夫な天然石のブロック舗装に変更しました。

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(Before)

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(After)

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(Before)

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(After)

素材感があります。

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エントランスの庇部分はガラスで明かりを取るようになっていましたが、鉄部が腐食してずぶずぶになっていましたので、上部も軒裏も新たにカバーして保護しました。軒裏部分は木目のアルミ製桟とダウンライトを組合せて立体感を出しています。

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(Before)

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(After)

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(Before)

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(After)

道路から見ると、

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(Before)

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(After)

ステンレス製のポストも大分傷んでいましたので、マットブラックの新製品を入れてみました。

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(Before)

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(After)

深すぎて、色んなものが捨てられていた1階部分の廊下側壁は、土を入れてかさ上げしたのち、洋砂利を入れました。

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(Before)

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(After)

こちらの壁はブロック塀ですが、目地を潰して、やはりジョリパッドで墨色にあわせ少し茶の入った白にしてあります。仕上げ方法も変えてありますが、下地が目立たないようにボリューム感のあるものにしました。

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古い、人工芝がなぜか貼られている部分なんかも見逃しません。

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(Before)

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(After)

草ぼうぼうになってしまう、外周部にも砂利を・・・

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(Before)

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(After)

エクステリアや外構は、ちゃんとすると雰囲気が変わります。

あとは、階段とか・・

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(Before)

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(After)

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(Before)

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(After)

踊り場とか・・・

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(Before)

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(After)

共用廊下とか・・・

あとは、屋上やバルコニーの防水とかいろいろやっています。
予算組みや、予算配分(お金を掛けるところと掛けないところがあります)、投資計算、資金調達なども関係してきます。

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投資判断は、
1)現状で売却した場合に、手元に残る金額を「投資基礎」として算出
2)現状・改修・建替・買替での税引後キャッシュフローを計算
3)どれが最も効率が良いかを判断
という3ステップで出すことができます。

【このコラムの著者】

猪俣淳

猪俣 淳(いのまた きよし)1961年生れ横須賀市出身
株式会社アセットビルド 代表取締役

不動産・建築分野で30年以上働き、不動産管理・不動産売買・建築・投資・金融・保険の各分野における26の資格を持ち、みずからも収益物件の購入・売却・運営・資本改善を行う実践不動産投資家。
著書に「不動産投資の正体」「誰も書かなかった不動産投資の出口戦略・組合せ戦略」(住宅新報社)など多数。
新聞・雑誌への寄稿(ビジネス専門誌・一般週刊誌・海外も含む業界誌)、年間70件を超える全国での講演活動、ラジオ・TVなどへの出演もある。
また、IREM-JAPAN(米国不動産管理協会日本支部)の理事を兼任し、日本で数人のファカルティ(講師)資格を持つ。
ブログ「不動産投資にまつわる100の話」(人気ブログランキング最高位1位)。

保有資格:
一級建築士・米国認定不動産投資顧問資格(CCIM)・米国認定不動産経営管理士(CPM)・同講師(ファカルティ)資格・同MPSA試験採点官(グレーダー)資格・不動産証券化協会認定マスター・不動産コンサルティングマスター・不動産アナリスト・日本FP協会認定AFP・ファイナンシャルプランニング技能士・相続アドバイザー・相続対策専門士・宅地建物取引主任者・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士・賃貸住宅査定主任者・震災建物応急危険判定士・住環境測定士補・防火管理者・貸金業務取扱主任者・損害保険リテール資格・生命保険募集人資格・ハウジングライフプランナー・住宅メンテナンス診断士・住宅インスペクター・事業承継スペシャリスト

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