北野 琴奈の不動産投資コラム

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

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アメリカ不動産の確定申告~日本不動産を含めた損益通算と節税の考え方

2月もあっという間に下旬となり、賃貸経営をしていると確定申告真っ只中の時期ですね。
そこに入退去の繁忙期も重なって大忙しという方も多いでしょうか。

ここ数回アメリカ不動産についての話しをしていますが、ちょうどこの時期によく聞かれるのは、
「アメリカ不動産を買ったら、確定申告ってアメリカでするんですか?」
ということです。
その通りではあるのですが、日本居住者の場合、確定申告は両国でする必要があります。
たまに、アメリカで申告するんだから日本では必要ないのでは、と思われている方もいらっしゃるようですが・・・
というと、税金を2回も取られるの?とも聞かれますが、外国税額控除の制度があり、国内・国外とで二重課税されるのをある程度是正できることになっています。

アメリカの納税期限は基本的に4月15日なので、諸々の処理は日本の確定申告と同時にやっています。
余談ですが、税金の納付期限は4月15日なのに確定申告書の提出期限は延長が可能でペナルティもないのです。(納税は、遅れると延滞税を取られます。)
「申告書は後でもいいけど、税金だけはしっかり期日に払ってね。」
というのは何とも不思議なシステムだなぁと。

両国で確定申告をするにあたり、数字的に大きな違いは、前回コラムでも取り上げました減価償却費に関してです。
たとえば、アメリカで築25年の木造居住物件を3,000万円で購入したとします。
(わかり易く、$1=100円、全て円換算で表記。)

日本で確定申告をする場合耐用年数は過ぎていますから、4年で償却になります。
建物部分が8割だとすると1年で償却できるのは、2,400万円÷4=600万円です。
一方アメリカではどんなに古くても居住物件の減価償却年数は購入時新たに27.5年で設定し直されるので、償却費は1年当たりおおよそ2,400万円÷27.5≒87万円。
当初、こんなに古い物件でも建物部分が8割?と驚きましたが、アメリカでは土地の評価が2、3割で建物評価が7、8割ということがよくあります。

確定申告はそれぞれの国の税制度に基づきおこなうので、上記例の場合、減価償却費は日本では600万円、アメリカでは87万円となるのです。
経費の金額がこれだけ違うのは、ずいぶん大きな差ですよね。
もちろん、日本側では償却期間が4年で終わってしまうのでその後税額が大きくアップすることには注意が必要です。

更に、日本で確定申告時には日本の不動産所得や給与所得等と合算するので、損益通算が可能になります。
減価償却費を大きく取り、出た損失を日本の不動産所得の利益や給与所得にぶつけるということです。
「海外不動産の築古物件を購入すると節税になる」というのは、このことを指していることが多いはずです。
日本で築古物件を減価償却費目的で購入するというのと同じような感じですね。

とはいえ減価償却費を大きく取ると、売却時に利益(手残りではなく課税対象となる「利益」)が上がりやすくなり税金が多くなる場合も。
ただし保有5年超での売却は税率が20%なので、所得税・住民税の税率がこれを超える場合は減価償却費による節税メリットが大きくなります。
アメリカ不動産を売却した場合、日本での確定申告は譲渡所得で分離課税となり、他に分離課税の譲渡所得があれば合算します。これも国内不動産売却時と同様です。
アメリカ不動産は基本的にキャピタルゲインを得る前提で購入をすること、また上記のように減価償却費を大きく取っているため利益が上がりやすくなります。
一方、この利益と譲渡損が出る保有不動産売却とのタイミングを合わせ、損益通算も可能です。

このように、海外不動産を含めることで今後のプランに選択肢がいくつも出てきます。
それらと市況、為替を見据えてどう組み合わせていくのかは、個人のスタンスによって変わります。
ひとつひとつの材料は同じ「点」ですが、それを使ってつくった「線」の形は人によって違うものになるのです。

※税制は変わりますので、常に注視しておく必要があります。具体的に動かれる場合は、都度、専門家に確認してください。

【このコラムの著者】

北野 琴奈

ファイナンシャル・プランナー(日本FP協会認定 CFP®認定者)
ワインエキスパート(日本ソムリエ協会認定)

1974年 北海道生まれ。
津田塾大学卒業後、会社員を経て独立。
実践型FPとして資産運用、不動産投資・賃貸経営、キャリアなどに関する講演、執筆、コンサルティング等を行う。

会社員の頃、資産運用の大切さを実感し、ファイナンシャル・プランナーの上級資格である、国際ライセンスCFP®資格を取得。
同時にロバート・キヨサキ著『金持ち父さん貧乏父さん』を読んだのをきっかけに、夢実現の手段として不動産投資・経営をはじめ、東京を中心に計104室まで保有。海外にもチャレンジし、アメリカの物件購入に到る。

TBS「かっちりマンデー!!」、「がっちりアカデミー!!」、BS11デジタル「不動産王」、BSジャパン「日経プラス10」、日経CNBC「不動産投資AtoZ」等にコメンテーターとして出演。その他メディア出演・取材協力多数。
一方、ワイン好きの趣味が高じて「ワインエキスパート」の資格を取得、ワインに関する講座を務める。
著書に、『逆算で夢をかなえる人生とお金の法則』、『47テーマで学ぶ家計の教科書』、『はじめての人のJ-REIT 基礎知識&儲けのポイント 』がある。

HP: http://www.kotonakitano.com/
blog: http://blog.livedoor.jp/kotonakitano/

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