北野 琴奈の不動産投資コラム

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

相続税対策大家 vsサラリーマン大家

「賃貸経営は相続税対策として活用される」ことは、皆さんもご存じの通り。
2015年1月に始まった相続増税に伴い、今まで以上に土地活用の話しを伺う機会も多くなりました。この影響もあり、既に需要過多の賃貸市場と思われる地域も出てきています。
一方、土地持ちでも資産家でもないけれど、将来ための資産形成として不動産投資を始める方(いわゆるサラリーマン大家さんに代表される)も増えています。
それぞれ賃貸経営を始める理由は異なりますが、入居者の方から見れば、借りようと思う物件がどちらであっても関係ありません。需要以上に供給が増えれば、単純にその分競合が激化することになります。

一般に、相続税対策を理由に始める方よりもゼロからつくり上げていく方の方が、賃貸の「経営努力」をする傾向があると言われています。というのも、後者は「資産」がまだあまりない状況で借入割合が多く、少しの空室や家賃減少が命取りになる可能性があるからです。
前者は金銭的な余裕が多少ある分、一部を除きフットワーク軽く試行錯誤を繰り返しながら賃貸経営を行う方はそれほど多くないと感じます。
では相続対策で土地の有効活用ができるとすると、どのくらい税金のトクがあるのでしょうか?相続とは関係なく不動産投資・賃貸経営を始められる方にとって、不動産は相続対策になるという知識はあっても、どの程度か?を把握している方は多くないように思います。

実際に例を挙げてみましょう。
例えば前提として、以下を設定します。
母親保有の以下資産を子供2人が相続するとします。(父親は既に他界)

◇保有資産
・現金:1億5千万円
 ・保有土地評価:4,000万円(路線価20万円×200㎡)
 ・保有自宅評価:4,000万円

このままいけば資産の評価は合計2億3千万円となり、相続税額は子供2人合わせて4,200万円程度です。

そこで現金1億5千万円のうち、4,000万円を使用、残り4,000万円を借り入れ建築費総額8,000万円で賃貸住宅を建てるとします。
建物の固定資産税評価額が建築費の6割とすると、相続税額は子供2人合わせて2,600万円ほどとなり、対策をしない場合と比較して1,600万円の違いが出ます。(更に「小規模宅地等の特例」を使うのであれば、相続税額は2,100万円程度に減額されます。)

単純に数字だけ見ると、ゼロから始める人と比較して1,600万円分の余裕を持って以降の賃貸経営に臨むことができるとも考えられます。
設備投資や家賃減額等、その都度状況に合わせて柔軟に対応しやすくなるので、結構なアドバンテージがありますね。
いわゆるサラリーマン大家さんは、この分に相当する工夫が必要とも言えます。金銭面では勝てない分、自身の時間や労力をある程度かけて賃貸経営を行う方が見られる所以でしょう。
ただし、恵まれた環境を当然のように思っていると、どうしても情報等に対するアンテナは低くなりがちです。
自身で考えて動いていくことが少なくなれば、「こんなはずではなかった」ということにもなりかねません。実際、「言われたままに建ててしまったけれど、新築から数年経ったら空室が目立つようになってしまった。」、「サブリース契約だから安心していたのに、家賃減額しなければ契約打ち切りと言われた。」という声も少なくないのです。

どんなマーケットでも、需要過多の状況になればより創意工夫が必要になるのは当然のことです。
2000年当初までとは違い、不動産投資・賃貸経営の裾野が拡大している中、始める理由もそれぞれで多様化しています。
特に全体から見ると現在の日本における賃貸市場は拡大しているわけではないですから、競合物件となりうる他の方の事情も把握しつつ自身の戦略を考えていく必要があると感じます。

【このコラムの著者】

北野 琴奈

ファイナンシャル・プランナー(日本FP協会認定 CFP®認定者)
ワインエキスパート(日本ソムリエ協会認定)

1974年 北海道生まれ。
津田塾大学卒業後、会社員を経て独立。
実践型FPとして資産運用、不動産投資・賃貸経営、キャリアなどに関する講演、執筆、コンサルティング等を行う。

会社員の頃、資産運用の大切さを実感し、ファイナンシャル・プランナーの上級資格である、国際ライセンスCFP®資格を取得。
同時にロバート・キヨサキ著『金持ち父さん貧乏父さん』を読んだのをきっかけに、夢実現の手段として不動産投資・経営をはじめ、東京を中心に計104室まで保有。海外にもチャレンジし、アメリカの物件購入に到る。

TBS「かっちりマンデー!!」、「がっちりアカデミー!!」、BS11デジタル「不動産王」、BSジャパン「日経プラス10」、日経CNBC「不動産投資AtoZ」等にコメンテーターとして出演。その他メディア出演・取材協力多数。
一方、ワイン好きの趣味が高じて「ワインエキスパート」の資格を取得、ワインに関する講座を務める。
著書に、『逆算で夢をかなえる人生とお金の法則』、『47テーマで学ぶ家計の教科書』、『はじめての人のJ-REIT 基礎知識&儲けのポイント 』がある。

HP: http://www.kotonakitano.com/
blog: http://blog.livedoor.jp/kotonakitano/

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