北野 琴奈の不動産投資コラム

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

REITリノベ―ションのコンペに参加!今後の賃貸経営のヒントも。

以前コチラでも記事にしたことのある、レジデンス系REITのリノベーション学生コンペ。今回ご縁があり、同じREITが主催する第2回の公開コンペに参加してきました。
学生から募集したデザインの中から作品を選び、実際に工事を行います。
2016年春からはじまったというこの試み、第1回の物件は芝浦にある築25年のマンション。そのうちの1室をリノベするもので、「都心の水辺を住みこなす」というテーマが設定されていました。
2016年秋に行われた第2回のお題は、「麻布十番に暮らす」。対象物件は麻布十番にある築16年の9階建てマンションの1室(ワンルーム25.27㎡・現賃料12.2万円)でした。
私が見学したのは、一次審査に通った5組の方々がプレゼンをする公開最終審査です。各組の持ち時間は20分で、リノベ物件の説明&審査員の方々からの質問に答えるという形式でした。審査員は、同REITの管理を行っている社長の他、建築設計事務所や実際のリーシングのマーケティングを手掛ける会社の社長です。

<総合的な視点が必要>

こちらのコンペはあくまでREITの物件ですから、部屋を貸し出し、賃料収入を得るという数字上の計画が成り立たなければなりません。
というわけで、デザイン性だけではなく、実際のターゲット層の生活を想定した使い勝手や入居募集方法、また工事費・賃料等を含めた事業計画に現実性があるかどうかの総合的なバランスが大切になります。その中で、どう着地させるか。
学生の方々の新鮮な視点と、現場を知る審査員からの鋭い指摘。出品者がそれにどう答えるか等、興味深いやり取りも見受けられました。
5組の皆さんの提案はそれぞれ特徴があり、同じ物件でも解釈はいろいろできるのだなと感じます。そこが、不動産の面白いところでもあるでしょうか。麻布十番という町が持つ多様性も影響していると思いますが。
ターゲット・コンセプトから考えていく部屋づくりは頭ではわかっているつもりでも、実際に現場で全てできているかと言われると・・・(汗)。改めてその大切さを感じた次第です。

<キャリア女性をターゲット層に設定にした間取り>

ターゲット層の一例としては、土地柄を考慮して、単身のビジネスマン、外国人、キャリアを持つ女性等が挙がっていました。
キャリア女性をターゲットとした提案には、審査員から「女性を想定しているわりにはキッチン周りが比較的シンプルですね?」という指摘がありました。
間取り図を見ると確かに、料理をするというよりは、ちょっとお湯を沸かしたりさっと簡単に調理をする程度の設備。出品者からは、「実はこのプランを作るにあたり、実際ターゲットにぴったりの女性に話しを聞いた。普段は仕事が忙しくて外食が多い。仮に家で食べるとしても、簡単にできるものや買ってきて、ということがほとんどだそう。」という話しがありました。
25㎡くらいの広さで全てを満足させるのは難しいものです。実際のライフスタイルから優先順位で重視したのは、キッチンではなく帰宅後にくつろぐスペースということでした。
「女性向け=キッチン周りの充実」という一般論ではないわけですね。
賃料高め(リノベ前 25㎡&12.2万円)→比較的年収の高いキャリア女性を想定→平均的なものだけ考えていると見落としてしまうことがあるということでしょう。
立地からくる特性も踏まえ、ターゲット層をリアルに設定していくことが通常の借家でも必要だと改めて感じます。

<「原状回復に疑問」の発想>

また別作品でコンセプトのひとつとして面白いと感じたのが、「退去の際に行われる「原状回復」を疑問に思う」という提案です。そこから考えたのが、「使いつがれていく家具」。中でも収納を重視してリノベに取り組むというアイディアです。
対象となるのは、数種類の形がある可動式の収納箱。これらをパズルのように床いっぱいに敷き詰めます。(床が全て収納のようになっている。普段の生活は、敷き詰めた収納箱を床に見立てて。箱の高さ調節も可能。)
各収納箱は入居者の生活に合わせて配置換えが可能です。入居者が変わっても、メンテナンスしながらそれぞれに合わせたレイアウトで、愛着を持って「使いついでいく」ということです。
貸家において使いつがれていく家具という考え方は新鮮で、聞いていてなるほどーと思いました。賃貸業界側からは、あまり出ない視点ではないでしょうか。シンプルな考え方なので印象にも残りやすい。新しいアイディアは、当たり前、当然だと思われていることを一度疑ってみるところから生まれるのだと感じました。
もちろん実現性の検証等はそこからですが、少なくとも今の若い世代がこのような視点を持っていることを知ったのは、今後の賃貸市場を考える上で興味深いところです。

【このコラムの著者】

北野 琴奈

ファイナンシャル・プランナー(日本FP協会認定 CFP®認定者)
ワインエキスパート(日本ソムリエ協会認定)

1974年 北海道生まれ。
津田塾大学卒業後、会社員を経て独立。
実践型FPとして資産運用、不動産投資・賃貸経営、キャリアなどに関する講演、執筆、コンサルティング等を行う。

会社員の頃、資産運用の大切さを実感し、ファイナンシャル・プランナーの上級資格である、国際ライセンスCFP®資格を取得。
同時にロバート・キヨサキ著『金持ち父さん貧乏父さん』を読んだのをきっかけに、夢実現の手段として不動産投資・経営をはじめ、東京を中心に計104室まで保有。海外にもチャレンジし、アメリカの物件購入に到る。

TBS「かっちりマンデー!!」、「がっちりアカデミー!!」、BS11デジタル「不動産王」、BSジャパン「日経プラス10」、日経CNBC「不動産投資AtoZ」等にコメンテーターとして出演。その他メディア出演・取材協力多数。
一方、ワイン好きの趣味が高じて「ワインエキスパート」の資格を取得、ワインに関する講座を務める。
著書に、『逆算で夢をかなえる人生とお金の法則』、『47テーマで学ぶ家計の教科書』、『はじめての人のJ-REIT 基礎知識&儲けのポイント 』がある。

HP: http://www.kotonakitano.com/
blog: http://blog.livedoor.jp/kotonakitano/

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