北野 琴奈の不動産投資コラム

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

不動産売却の際に知っておきたいこと

昨今の不動産市況活況を受け、保有する不動産があれば売却を検討したり、実際に動いている方も多いでしょう。
特に個人名義の購入で5年超保有していれば、長期譲渡所得になり譲渡益に対する税率が39→20%と軽減されることも考えると、築年数が古い物件などは売却も有効な選択肢のひとつになります。この機に、資産整理をするという方もおられるでしょう。
今回は、これまで私が売却をいくつか経験してきた中で知っておかれた方が良いと思う点がありますので、こちらでまとめておきたいと思います。

<ローン一括返済に関する違約金>

通常、固定金利で組んだローンは、繰り上げ返済を行う(含売却)場合、「違約金」を金融機関に支払うことになることが大半です。実需においては、違約金がかからない、またはかかっても数万円程度の手数料ということが多いのですが、固定金利で賃貸不動産購入の場合は現在、違約金がかかるケースがほとんどと言えます。

不動産を購入時、仮に将来の金利上昇に備えようと中長期の固定金利で組んだとします。当初は、しばらく売却を予定していなかったのが、途中で不動産市況が変わりやはり売却も検討したいと思うようになった場合。違約金は発生するが、期間満了まで待つとなると売り時を逃すかもしれない・・・そのようなジレンマを抱えることになります。
確かに違約金を払いたくないのはやまやまなのですが、市況や保有不動産の状況などを含め、総合的に判断する必要があります。
違約金は多額になる場合も考えられるので、売却を検討する際には同時にこの部分も含めて検討することが必須です。

ちなみにこの違約金は一般に、満了までの残存期間が長いほど、また借入をした当初よりも市場の金利が低下するほど増える可能性が高くなります。
違約金の計算は各金融機関によるので、金額を知りたい方は金融機関に聞いてみるのが一番早いでしょう。ただし、「売却」や「借り換え」を検討しているのだな、と悟られる可能性は大いにあります。(聞かれた際の「返答」を準備しておいた方がよろしいかと思います。)
自分で計算するという方は契約書でも確認可能ですが、けっこう複雑な計算になるので、その計算で合っているのかの判断は難しいはずです。

<管理会社へ伝えるタイミング>

まずは、今お世話になっている管理会社さんとの契約書を見てみましょう。というのは、解約の条件として、告知から契約終了までの期間が設定されていることも少なくないからです。1ヵ月前程度であればそれほど問題なさそうですが、例えば3ヵ月前となると、まだ売却話しがしっかり固まっていないことも多いはずです。場合によっては、申込みは入っているがまだ契約前といったデリケートな状況もありえます。
満室が続いていればまだ良いのですが、タイミングによっては、入居募集に少なからず影響が出る可能性もあります。供給が多いマーケットでは、人気物件でもない限り、近いうちに契約終了となる物件に積極的に入居を進めてもらえることは少ないのではないでしょうか。もちろん大人同士ですから、「あからさまに」というわけではないと思いますが・・・

ただし、新しいオーナーになっても管理契約が引き継がれるということであれば、従来通りの対応も期待できそうです。
また、自身が複数の仲介会社さんとパイプを持ち、常日頃から入居募集に深く関わっているのであればこの限りではないでしょう。
一見、管理は売却に直接関係ないように思えるかもしれませんが、事前にケアしておく必要はあると感じます。

<預り金等の処理>

現在、入居募集時の条件設定は多様化しています。例えば敷金・礼金ゼロの物件では、退去時のリフォーム代を事前に一定額もらっておくというものもよく見かけますが、代金はオーナーではなく管理会社さんの方で預かる契約になっていることがあります。入居から退去までその管理会社さんで全て完結するのであれば問題ないのですが、途中で会社を変えた場合、預り金は入居者にもオーナー側にも引き継がれないことになっていることがあるのです。(元々の管理会社さんに帰属するということ。)
ということは、売却により管理会社を変えるのであれば(新)オーナーの金銭的負担が増すことになります。ですから特に戸数が多い物件では、売却価格自体や契約の条件等に影響がありそうです。

もしくはこのような管理の細かい点は、買主と踏み込んで話しをすることがなければ話題として上らないこともありえますので、後々トラブルとして出てくるかもしれません。
それぞれ独自の管理システムを導入している会社もありますので、一度確認しておくと良いと思います。

売却を検討する際には、どうしても売却価格のことに目が行きがちだと思いますが、その他の細々としたことが最終的に影響してくることは意外とありますので、当初から気を配っておくと良いかと思います。

【このコラムの著者】

北野 琴奈

ファイナンシャル・プランナー(日本FP協会認定 CFP®認定者)
ワインエキスパート(日本ソムリエ協会認定)

1974年 北海道生まれ。
津田塾大学卒業後、会社員を経て独立。
実践型FPとして資産運用、不動産投資・賃貸経営、キャリアなどに関する講演、執筆、コンサルティング等を行う。

会社員の頃、資産運用の大切さを実感し、ファイナンシャル・プランナーの上級資格である、国際ライセンスCFP®資格を取得。
同時にロバート・キヨサキ著『金持ち父さん貧乏父さん』を読んだのをきっかけに、夢実現の手段として不動産投資・経営をはじめ、東京を中心に計104室まで保有。海外にもチャレンジし、アメリカの物件購入に到る。

TBS「かっちりマンデー!!」、「がっちりアカデミー!!」、BS11デジタル「不動産王」、BSジャパン「日経プラス10」、日経CNBC「不動産投資AtoZ」等にコメンテーターとして出演。その他メディア出演・取材協力多数。
一方、ワイン好きの趣味が高じて「ワインエキスパート」の資格を取得、ワインに関する講座を務める。
著書に、『逆算で夢をかなえる人生とお金の法則』、『47テーマで学ぶ家計の教科書』、『はじめての人のJ-REIT 基礎知識&儲けのポイント 』がある。

HP: http://www.kotonakitano.com/
blog: http://blog.livedoor.jp/kotonakitano/

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