北野 琴奈の不動産投資コラム

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

民法改正と賃貸経営、ここに注意!

「民法改正」 今年に入り、見聞きする機会も多くなったのではないでしょうか。
なんと120年ぶりの改正とのことなので、明治時代以来。
民法は一般市民の生活に関わる法律ですから、当然賃貸経営にも影響があります。そのため、業界紙だけではなく、一般の新聞雑誌やネットメディアでも記事をちょくちょく見かけます。
いくつかある改正点の中、以下の3点は特に意識しておいた方が良さそうだと感じます。

1、賃借人の連帯保証人が責任を負う限度額の記載が必須に

賃貸契約を交わす際、賃借人は連帯保証人を立てることも少なくありません。(代わりに保証会社を使用する場合も増えていますが。)連帯保証人には、これまでも賃借人の債務を負担する責任はありました。ただ、契約書に「限度額」は記載されていないことが大半です。
改正により、今後実際の負担額を明記されるようになれば、保証人になることを拒否というケースが多くなるでしょう。滞納賃料だけではなく、場合によっては荷物撤去や原状回復が必要になることもあり得るので、「限度額」が高額になることが考えられるためです。
だとすれば、連帯保証人の代わりに保証会社を使用する人が増えると予想されます。入居者の方にとっては入居時の初期費用がアップすることにもなり、その影響で、敷金、礼金等、入居条件で交渉が増える可能性もありそうです。

2、居室設備が使用不可の場合、賃料減額に

経年などにより、居室の設備が故障し使えなくなることは日常的に起こります。現場から報告があり修理や交換といった対応をすることになりますが、急ぎの場合もあります。例えば、夏場のエアコンや冬場の給湯器における不具合は典型例ですね。
これまでも生活に支障をきたす場合、当事者の話し合いにより、使用不可であった分について賃料を減額するなどのケースはありました。
今回の改正で注意したいのは、入居者の方から指摘がない場合でも賃料の減額をしなければならなくなるということです。
ただし免責日が設けられており、目安としては、例えばエアコン作動しない:3日、電気使用不可:2日、水道使用不可:2日などのようです。(参考:日本賃貸住宅管理協会)

大家側としては、これまで以上に入居者の方からの問い合わせには迅速に対応する必要が出てきそうです。管理を委託している方も多いと思いますが、金額負担が発生する場合は大家の判断をあおぐこともあるでしょう。決断を早くしなければなりませんね。
もしくは、緊急を要する場合は管理会社さんに一任する契約にしておく選択肢も。現在でも例えば、「緊急時、修理代〇〇円までは、管理会社の判断で手配できる。」といった内容の契約になっている場合もあろうかと思います。

3、原状回復費用の賃貸人負担が明文化

退去時の原状回復費用について、入居者の方の負担はどこまでなのか?が明記されることになります。
原則としては、通常使用による損傷や経年変化によるものは、大家側の負担で修繕する必要があるということ。例えば、テレビ・冷蔵庫を置いた後部壁面の黒ずみや、家具設置による床・カーペットのへこみ、日照等による壁紙の変色、ルームクリーニングといったものが該当します。
逆に入居者の方の負担になるものとしては、喫煙等により壁紙が変色したり臭いが付いてしまっている場合、日常的な清掃を怠ったことによる台所の油汚れ、落書きやひっかき傷などが挙げられます。

ただし原状回復の費用負担については、今でも国土交通省がガイドラインを出していますし、東京都についてはそのガイドラインを元にした「東京ルール」というものもあります。大半の大家さんはそこに則った賃貸経営をされていると思われますから、実際には大きな変更というよりも「民法改正」により改めて確認という感じでしょう。
とはいえ、これで民法の「お墨付き」ができるわけですから、これまで以上に、厳格な線引きを求める入居者の方が増えることは考えられますので、想定しておくと慌てずに済みそうです。

民法改正法案の公布は2017年6月2日。施行日は原則、「公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日」とされています。
今後、話題にのぼることも増えてくるでしょうから、アンテナを張り、情報のアップデートや早めの準備を心掛けておきたいところです。

【このコラムの著者】

北野 琴奈

ファイナンシャル・プランナー(日本FP協会認定 CFP®認定者)
ワインエキスパート(日本ソムリエ協会認定)

1974年 北海道生まれ。
津田塾大学卒業後、会社員を経て独立。
実践型FPとして資産運用、不動産投資・賃貸経営、キャリアなどに関する講演、執筆、コンサルティング等を行う。

会社員の頃、資産運用の大切さを実感し、ファイナンシャル・プランナーの上級資格である、国際ライセンスCFP®資格を取得。
同時にロバート・キヨサキ著『金持ち父さん貧乏父さん』を読んだのをきっかけに、夢実現の手段として不動産投資・経営をはじめ、東京を中心に計104室まで保有。海外にもチャレンジし、アメリカの物件購入に到る。

TBS「かっちりマンデー!!」、「がっちりアカデミー!!」、BS11デジタル「不動産王」、BSジャパン「日経プラス10」、日経CNBC「不動産投資AtoZ」等にコメンテーターとして出演。その他メディア出演・取材協力多数。
一方、ワイン好きの趣味が高じて「ワインエキスパート」の資格を取得、ワインに関する講座を務める。
著書に、『逆算で夢をかなえる人生とお金の法則』、『47テーマで学ぶ家計の教科書』、『はじめての人のJ-REIT 基礎知識&儲けのポイント 』がある。

HP: http://www.kotonakitano.com/
blog: http://blog.livedoor.jp/kotonakitano/

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