北野 琴奈の不動産投資コラム

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

人生で必要なお金はどのくらい?

今回はいつもと切り口を少し変え、「人生を送る上で、一体どのくらいのお金が必要なのか?」についてお話ししようと思います。
ここ数年、個人が行う資産運用に対して国のサポート体制が手厚くなっており、人生におけるマネープランを本気で考えることを促す姿勢が伺えます。
具体的には、iDeCo(個人型確定拠出年金)対象者の拡大、NISA(小額投資非課税制度)にジュニアNISAや積立NISAとバリエイションが増えたなどです。
「ある程度お膳立てはするから、あとは自分で何とかして欲しい。」という、少子高齢化や財政難を抱える国からのメッセージでしょう。
残念ながら「不動産投資」に対しての直接的な優遇はないのですが・・・
少々解釈を広げるのであれば、不動産投資信託REITはNISA口座で購入できるということくらいでしょうか。

このような環境の中、「お金」について真剣に考え取り組まれる方もじわじわと増えてきています。
しかしながら、提示されたリターンのみに期待し、あまり自覚なく簡単にリスクの大きいものに資金を入れている方も見受けられます。
そのような事態を極力回避するには、最初に「人生でどのくらいのお金が必要なのか?」を認識して地道な運用を継続していくことが大切です。
というわけで、まずは家計の大きな流れを考えてみましょう。以下、イメージしやすいように数字を挙げますが、あくまで「仮」ものです。実際は一人一人違ってきますので、その点ご承知おき下さい。

<現役時代の収支>

30歳~60歳までの30年間の平均値として、仮に世帯年収が額面で700万円、手取りが560万円だとします。30年間の収入は560万円×30年=1億6,800万円です。
一方30年間の支出については、ここでは①生活費 ②住居費 ③教育費に分けて考えます。

①住居費と教育費を除いた生活費が毎月22万円だとすると、30年で7,920万円。

②3,800万円の住宅を自己資金800万円、ローン3.200万円(金利1.5%、30年)で購入したとすると、総返済額が3,980万円。
 固定資産税や管理・修繕費等のランニングコスト込みでおよそ6,000万円。

③子供2人が幼稚園から大学まで国公立に通ったとすると、合計およそ2,000万円。
 (進学先別による学費については、こちらをご参考ください。
 文科省 「子供の学習費調査」
 日本政策金融公庫 「教育費に関する調査」

①~③の支出は計1億5,920万円で、30年の収支はざっと、1億6,800万円-1億5,920万円=880万円。仮に退職金が1,500万円だとすると、60歳時点で2,400万円程度の貯蓄となります。

<リタイア後の生活費>

ここで、リタイア後の生活費について考えてみましょう。
夫婦二人の場合、最低日常生活費として毎月22万円が必要というデータ(生命文化センター『生活保障に関する調査』)を用いると、60歳から90歳までの30年間で必要な金額は、7,920万円です。
一方、もらえる年金が65歳から夫婦合わせて月に22万円(厚生労働省報告書より、40年間会社員+専業主婦の平均額)だとすると、自身で用意する金額の目安は1,320万円。ただしこれは、あくまで「最低日常生活費」です。趣味や旅行等にかける支出や、介護にかかるお金も考えると、リタイア後に必要な金額として3,000万円前後をひとつの目安としたいところ。(年金制度の動向にも左右されますが・・・)

<ライフプランと運用>

現役時代30年間の収支は、先ほど計算し2,400万円でした。これを3,000万円に近づけるためには、収入を増やす、生活費や住居費を削る、運用するといった選択肢を組み合わせて検討します。
例えば「運用」することを考えてみます。
30~60歳の収支差額(≒貯蓄)880万円を月々に換算すると、毎月2.5万円です。これを積み立て、例えば年利回り2%で30年複利運用ができたとすると、元利合計で1,230万円、3%であれば1,470万円程度になります。(税引き前)
退職金と合わせて3,000万円前後が見えてきそうです。

「そんな地道さよりも、手っ取り早くお金を増やしたい。」という思いをお持ちの方もおられます。ただし、期待利回りが高くなれば当然リスクも大きくなります。価格の振れ幅が大きく、場合によっては元本部分が大きく毀損したり、最悪ゼロになる可能性もあるわけです。
そのようなリスクがあっても、自身の人生で必要な金額なのかどうか、というように天秤にかけ、取捨選択していくことが必要です。
ちなみに、通常の金融商品で期待利回り3%程度のものでも価格振れ幅は年間、-10~+15%程度あることは普通です。

大雑把ではありますが、お金の大きな流れということでイメージをつかんでいただければと思います。もちろん実際には、想定以上に教育費がかかる、年金額が少ない、などといったことは起こりますが、大きなお金の流れを把握しておけば、軌道修正しやすいはずです。
自身の現状と将来必要な額を出してみて、その乖離をどう埋めていくのか、どう考えても埋まらないようであれば、何らかの修正も必要です。
マネープランを検討する際には、やりたいことの実現法を考えることと同時に、冷静な視点を持つことも大切です。
運用を考える際は、リターンばかりに目を向けるのではなく、リスクはどこにあるのか、それは自分が許容できるものなのかは常に意識して忘れないようにしたいところです。
個人の資産運用に対する国のサポートが増えてきているこの機会に、自身のライフプラン・マネープランを見直し、ポートフォリオについて検討してみてはいかがでしょうか。

【このコラムの著者】

北野 琴奈

ファイナンシャル・プランナー(日本FP協会認定 CFP®認定者)
ワインエキスパート(日本ソムリエ協会認定)

1974年 北海道生まれ。
津田塾大学卒業後、会社員を経て独立。
実践型FPとして資産運用、不動産投資・賃貸経営、キャリアなどに関する講演、執筆、コンサルティング等を行う。

会社員の頃、資産運用の大切さを実感し、ファイナンシャル・プランナーの上級資格である、国際ライセンスCFP®資格を取得。
同時にロバート・キヨサキ著『金持ち父さん貧乏父さん』を読んだのをきっかけに、夢実現の手段として不動産投資・経営をはじめ、東京を中心に計104室まで保有。海外にもチャレンジし、アメリカの物件購入に到る。

TBS「かっちりマンデー!!」、「がっちりアカデミー!!」、BS11デジタル「不動産王」、BSジャパン「日経プラス10」、日経CNBC「不動産投資AtoZ」等にコメンテーターとして出演。その他メディア出演・取材協力多数。
一方、ワイン好きの趣味が高じて「ワインエキスパート」の資格を取得、ワインに関する講座を務める。
著書に、『逆算で夢をかなえる人生とお金の法則』、『47テーマで学ぶ家計の教科書』、『はじめての人のJ-REIT 基礎知識&儲けのポイント 』がある。

HP: http://www.kotonakitano.com/
blog: http://blog.livedoor.jp/kotonakitano/

他のコラム著者も見てみる

不動産投資家によっても違いは様々。
LIFULL HOME'Sが厳選した不動産投資家や専門家のコラムから色々な不動産投資スタイルを吸収してライバルに差をつけよう!

金井規雄

シリーズ連載: アメリカ不動産投資のすべて

最新コラム: アメリカ不動産の優位性

橋本秋人

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

最新コラム: 「不動産」と「負動産」の違いとは? ~マイホームは「負動産」か?~

LIFULL HOME'S PRESS

シリーズ連載: HOME'S PRESS編集部

最新コラム: 新たに始まる「住宅ストック循環支援事業」は特色のある制度に

田中圭介

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

最新コラム: 【No.20】 各国の不動産投資の現状 〜ベトナム編 その 4 ホーチミンの不動産で狙うべき場所は?

佐藤益弘

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

最新コラム: 国の空き家対策から考える 生き残る賃貸住宅の基準

菅井敏之

シリーズ連載: 誰も教えてくれなかった「銀行」~その傾向と対策~

最新コラム: 【第四回】必ず行っておきたい、銀行との「コミュニケーション」

LIFULL HOME'S不動産投資フェア

シリーズ連載: 2017/9/23 LIFULL HOME'S不動産投資フェア出展企業インタビュー

各出展企業インタビュー記事はこちら

LIFULL HOME'S マーケティング部 データ編集担当

シリーズ連載: ユーザーの本音から探る不動産投資

最新コラム: 将来性を秘めた街 『都心』エリア

鈴木 学

シリーズ連載: 海外物件の管理

最新コラム: 第五回「業者のいう想定賃料を鵜呑みにしてはいけない理由」

石渡 浩

シリーズ連載: 不動産投資に有益な融資を受けるための知識

最新コラム: 第4回 税引後キャッシュフロー偏重の盲点 銀行は決算書のここを見る(後編)

猪俣淳

シリーズ連載: 猪俣淳の「不動産投資の正体」

最新コラム: 担保評価が出ればいい物件か?

右手 康登

シリーズ連載: CPM®流「相続・不動産経営 実践術」 右手 康登のコンサル「みぎからひだりへ」

最新コラム: 島国の中での常識 VS グローバルスタンダードを知ることの重要性

末永 照雄

シリーズ連載: 失敗しない不動産投資の法則

最新コラム: 新興国の将来利回りに期待する。ベトナム不動産投資(3)

寺尾 恵介

シリーズ連載: 悩める投資家への「目からウロコが落ちる」アドバイス 誌上チャレンジ面談

最新コラム: 10.かぼちゃの馬車と交通事故の共通点

伊藤 英昭

シリーズ連載: 伊東英昭氏の不動産投資コラム

最新コラム: vol.13 マンションと高級車

不動産投資・収益物件を検索するなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】賃貸経営[マンション経営・アパート経営]をお考えなら、まずは掲載中の投資物件[投資用マンション・売りアパート・一棟売りマンション]を地域や価格帯、会社で検索して、価格や想定利回りで絞り込み!気になる投資物件を見つけたら物件の周辺情報を調べたり、収益シミュレーションを使って実際の運用をイメージ出来ます。不動産会社へはメールか電話でお問い合わせ・相談が可能です(無料)。不動産投資による資産運用をお考えなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】

ページトップへ