金井規雄の不動産投資コラム

シリーズ連載: アメリカ不動産投資のすべて

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

不動産投資スタイル

セミナー開催のお知らせ
金井規雄氏による新刊『アメリカ不動産投資の実態。』出版記念セミナーを開催
日程:6月30日(土)14:00~
料金:無料
定員:80名
会場:八重洲ブックセンター 本店8階ギャラリー
詳細:http://www.yaesu-book.co.jp/events/talk/14144/

 

不動産投資は、物件を購入し賃貸に回し所有期間のキャッシュフローを享受し、その後売却して売却益を得るというのが一般的なスタイルですが、それ以外にも、いろいろな不動産投資スタイルがあります。

1 Fix-Upper(Flipping)

これは、状態が良くない物件を購入し、改装など手を加えて状態を良くして売却し、短期収益を上げる投資手法です。購入金額に改装代を加えたコスト(各種手数料含む)と売却可能価格との差額が利益になります。たとえば、通常50万ドルで売買されている物件と同様の状態の良くない物件が40万ドルでマーケットに出ていたとします。50万ドルで売却できる状態にするには、3万ドルの改装代がかかるとします。そして売買手数料などを2万ドルとしますと、売却益は5万ドルになります(50万ドルー40万ドルー3万ドルー2万ドル=5万ドル)。

実際には予備費を計算に入れますので、この場合予備費を1万ドルとしますと、利益は4万ドル~5万ドルになります。現実的には、このような物件を探すのが大変難しいのです。また、状態が良くない物件ですから、銀行はローンを出しません。ローンがどうしても必要な場合、こういった場合に貸し出す金融機関はありますが、金利が高いため、購入から改装そして売却までの期間をできる限り短くすることが重要になります。その期間が長くなれば、せっかくの利益が減少します。このような物件を探し出す方法として、オークションがあります。

それで、オークションなどで状態の良くない物件を見つけて購入するのは、意外と難しいのです。詳細は次のオークションの項目で説明します。

では、いかにこのFix-Upperで利益を追求するかといいますと、最も簡単な方法は、購入する物件は特に状態が悪い物件である必要はなく、普通の物件を購入し、1部屋(そしてできれば1バスルームも)増やすのです。たとえば、2ベットルーム・1バスルームの1軒家を購入し、ベッドルームとバスルームを1つずつ増やし、3ベッドルーム・2バスルームの物件に仕上げるのです。当然ながら、3ベッドルーム・2バスルームの物件は、2ベッドルーム・1バスルームよりも高く売却できます。そして、できるだけ優良ロケーションの物件を購入します。あまり高額物件のロケーションになりますと狙っているインベスターも多く、購入コストが高くなりがちですので、中流のロケーションが適切です。

こぼれ話6 ブームと少数派
不動産のみならず、投資のブームは必ず来ますが、ポイントは、その時はすでに天井を打っているかその直前である場合が多いのです。ネット、テレビ、新聞などで一般に知れわたる時は、もう遅いのです。こういう時は、必ず少数派に属したいものです。投資の要諦といいますか心構えとして、有名なウォーレン・バフェット氏がこういうことを言っております。
「投資のルールはシンプルで、他の人が欲張っている時には恐れを抱き、他の人が恐怖にさいなまれている時に強欲になることだ」
要するに、少数派でいなさい、ということと、勇気を持つ、ということと思います。アメリカ不動産の浮き・沈みは、7年サイクルといわれています。一番トップに行って底に達するまでに7年かかり、底からトップまでにまた7年かかる、ということです。つまり、元に戻るには14年かかるということです。
市況の上がり・下がりを勉強することは大事ですが、一番は投資の心構えといいますか、スタンスが最も大事です。アメリカ日系人の不動産投資家で、ネット利回りが5%未満の物件は一切手を出さないという方針を貫いている方もいます。また、Capital Gain(売買差益)を狙うことや、節税が目的、という考えもあります。要するに、明確な投資スタンスをもって投資および物件を探せば良いということになります。

 

2 オークション

オークションには、大きく分けて2種類あります。1つは抵当権流れの物件オークションとTax Seles オークションというものがあります。Tax salesオークションとは、固定資産税を滞納・未払いの物件を郡当局がオークションします。抵当権流れやTax Salesの物件は、未払いのための物件の状態が良くありません。したがいまして前記1のFix-Upperで購入し改装して利益を上げることができます。ところが、オークションで、安く購入できると思われがちですが、平均的なロケーション以上の物件は競り上がって結局マーケットレベルとさほど変わらない価格になります。もちろん安く買える物件もありますが、ロケーションが良くない物件で、大変な「お荷物」を背負うことになりかねません。

ではどうやって「オークション価格」で安く購入するのか?答えは、オークションの前に購入するのです。オークション物件は、オークションの数日前、たいてい1ヶ月前に公表されます。公表された物件をチェックして、購入したい物件を選定しその物件の内容、たとえば所有者名、ローン残高、銀行名などを調べます。それから、所有者に直接コンタクトし、オークション前の売買交渉をします。つまり、現所有者から買い取って、ローン残額または固定資産税を支払えばいいのです。

ローン残高とどれくらいで売却したいか、がポイントになりますが、たいていの所有者は、引越しをして次のところに住める(アパートを賃貸できる)ほどの金額が手に入れば、売却する傾向にあります。本人たちは、早く追い立てられる状況から逃れたいのと、自分たちのクレジット悪化をできるだけ最小限に留めておきたいことから、オークション前に売却できればと願っています。

抵当権流れのオークションは、ローン残高を銀行が回収するために行いますので、金額が大きい場合が多いのですが、Tax Salesは固定資産税の数年間の金額ですので、かなり安く買えることが可能です。難点は、購入したい物件が極端に少ないということです。固定資産税の未払いだけで優良物件を手放す人は少ないからですが、必ず数件は出てきます。

このTax Salesは年に1回で、オークションの物件公表は、ロサンゼルス郡の場合10月頃に、オレンジ郡の場合2月頃にあります。物件リストを入手して物件をチェックし優良物件を探し出して所有者にいち早く交渉します。

実はこのTax Salesですが、アメリカ全州の郡当局が行うのですが、オークションで物件そのものを購入することもあれば、滞納分の固定資産税だけを支払って、Tax Lien保持者になる方法もあります。

Tax Lienとは、固定資産税特権という質権で、ローン債権(第1順位抵当権)よりも順位が上になります。Tax Lienを取得しある一定の期間後、フォークローズし、回収することも可能ですが、たいていの場合、物件所有者は少額でフォークローズされるのを阻止するため、滞納の固定資産税全額とペナルティ・利息やTax Lien解除の費用などすべて払うことになります。この金額がTax Lien保持者の利益になるのですが、利回り年率6%から20%ぐらいになるときもあり、大変安全で高利回りな投資手法になります。

こぼれ話7 Buy High, Sell Low?(高く買って、安く売る?)
不動産投資の唯一といっていい欠点は、流動性です。売れるまで、すぐに換金できません。それで、この「高く買って、安く売る」ということを念頭においていただきたいと思います。投資は、当然安く買って、高く売らないと、儲けが出ません。これは当然です。ここでいう「高く買って、安く売る」というのは、物件を買うときは、その時の相場レベルよりも高く買うということで、とにかく早く買ってしまうのです。売るときはその時の相場レベルよりも安く売るのです。

たとえば、数年前に50万ドルで購入した物件を不動産市況が上がっているので、売りたいとします。マーケットでは、60万ドル~62万ドルレベルで売れているとします。その時、59万ドルで売りに出せば、すぐに売れてしまいます。62万ドルで売りに出ているのに、どうして59万ドルで売るのか?早く売って現金に換えてしまうのです。もちろん、62万ドルで売れれば良いですが、どれだけ待てばわからない場合はその分換金が遅れるわけです。もちろん62万ドルでもすぐに売れるというマーケットになっていれば62万ドルで強気に攻めていけば良いと思います。このあたりの値付けもマーケットを見極める必要があります。

 

3 Deed of Trust(不動産担保信用証書)

不動産投資は、物件を購入しなくても他の方法でもできるのが、このDeed of Trust(担保信用証書)の投資です。

(1)ローン資金投資
ローンの資金を提供し、貸手つまりローン債権者になるのです。銀行と同じ立場です。この不動産担保ローンは、当該不動産が担保になっていますので、ローンの未払いがあれば、物件を差し押さえ競売にかけて資金を回収すればいいのですが、なかにはその物件の所有者になる人もいます。

今仮に50万ドルの物件を購入したい人がいたとします。その購入者は何らかの理由で銀行からのローンが取れないとします。借り入れたい金額は30万ドル。借入比率は60%です。金利は銀行金利より3~5%高い金利で、仮に8%とします。返済は金利のみでローン期間は3年。3年後に元本30万ドル全額返済。貸手としては、1年で2万4000ドルの利息収入、3年かんで7万2000ドル。3年後に元本30万ドルを回収。ここで問題は、本当にローンが返ってくるのか、ということです。これは、借り手が銀行からローンを借り入れなかった理由がポイントになります。

「3 ローン」でも説明しましたが、たとえば勤務年数が2年未満では、銀行から借りられないのです。もしこの借り手が新しい会社に移ったばかりであれば、2年後にはこの借り手は銀行からの低金利のローンが借りられますので、必ず借り換え(リファイナンス)をします。これで、3年を待たず2年後に全額返ってきます。つまり、借り手の状況・クレジットなどを十分に把握すれば、貸し出せるのです。

この方法で資金を効率良く増やしている投資家もいます。頭金も収入も十分あり、物件も優良物件で、クレジット的に些細なこと(上述のように勤務年数が満たない、クレジット・レポートに誤ったマイナスの情報が掲載されているなど)だけで、銀行からローンが出ない借入れ人は、意外といるものです。

(2)ディスカウント買取
これは、不動産担保付債権である手形(Promissory Note)を割引して買い取る方法です。たとえば、金利8%の30万ドルの債権・手形を28万ドルで買い取れば、元本は93.3%だけになります。買い取り後、仮に残存期間が2年とすれば、金利が4万8000ドル、元本2万ドルの合計6万8000ドルが利益になり、年利12%以上の投資ということになります。

実は、アメリカではこのDeed of TrustのNoteが売買されている市場があるのです。このビジネスはライセンスが不要ですので、誰でもできますが、すべて英語でのやり取りになります。

こぼれ話8 クレジット・レポート
アメリカでは、個人信用調査に「クレジット・レポート」という個人のローンの返済記録などの内容が盛り込まれたレポートがあります。あらゆるローンを申し込む際や、アパートを借りるときも、このクレジット・レポートが利用されます。今までや現在のローンの返済記録が克明に記載されており、その内容を点数(スコアー)で表しています。信用度が高いとスコアーも高く、トップは890点ぐらいで、低いと500点以下になります。たとえば、住宅ローンを組む場合、680点は最低必要になりますが、通常通常720点以上を要求されます。620点でもローンを取り組む銀行もありますが、その分金利が高くなります。このレポートを出している信用会社は3社あり、スコアーも若干違います。銀行などは、この3社からレポートを取り内容をチェック。3つ違うスコアーの真ん中の点数を基準にします。
アパートを賃貸する場合もこのレポートが参考にされます。以前に家賃滞納でアパート退去させられたことも、信用履歴に記載されますので、アパートは借りられないことになります。このため、家賃滞納は生じにくい遠因となっています。
【このコラムの著者】

金井規雄

立命館大学経済学部卒、カリフォルニア大学院統計学修士号。
三菱東京UFJ銀行(為替資金部資金課および企業融資担当)入行ロスアンジェルス支店勤務後、Bank of the West日本企業部を経て、2004年コスモ・インベスメント(不動産仲介・コンサルティング)を設立、現在に至る。

カリフォルニア州不動産仲介ライセンス、カリフォルニア州保険ライセンス保有。米国での仲介実績多数。
現地銀行、会計士、弁護士、保険業者、管理会社などとの幅広いネットワークを持つ。

著書に「アメリカ不動産投資の実態。」「アメリカ西海岸で不動産投資 7年で1億円!」「安全!確実!アメリカ不動産投資のすべて」「ドル資産を持て! 世界最強の通貨によるアメリカ不動産投資戦略」がある。

HP: https://www.cosmoinvestusa.com/

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