鈴木 学の不動産投資コラム

シリーズ連載: 海外不動産融資事情

HOME'S不動産投資コラム

第四回:サラリーマンvs自営、個人v法人、どちらが有利?

不動産購入に切っても切れない「銀行融資」…日本国内の不動産投資においては、サラリーマン等の属性を活かして個人で融資を受けることも、あるいは所得税の節税や相続対策の文脈から法人をつくって融資を受けることも、いずれも広く行われています。また融資審査にあたっては、個人で融資を受ける際は一般論として、サラリーマンの方が自営業種よりも有利になりやすい傾向があります。

その点、海外の不動産購入に際する融資はどうなのか?読者の大多数が日本在住の日本国籍者という前提で言うと、結局「外国人」「非居住者」の立場で物件買うことになるので、まず融資そのものの選択肢が限られます。

その限られた選択肢のなかで、「個人か法人、サラリーマンと自営のどちらが有利?」と聞かれれば、「圧倒的に個人が有利、サラリーマンとして融資をひく方が有利」という回答になります。理由としては、

・洋の東西を問わず、融資は銀行員というサラリーマンが審査する以上、どうしてもサラリーマンが高い評価を受けやすい。
・法人になると、サラリーマンより収入審査の項目が増える。それに加えて、国によって所得申告の書式や記載項目が違い、さらに言語も違うため、海外の法人事業所得を評価するのは銀行にとって大変な作業になる。

あと、たとえ「個人」で融資申請をしても、「自分自身が法人代表者」である場合、源泉徴収票をつくってもそれがサラリーマンの所得だとみなされず、結局、法人の確定申告書2~3期分の提出を求められることがあります。日本語の確定申告書を英訳して、その内容を海外の融資担当者と確認するのは大変な作業です。

私はこれまで、日本を除けばオーストラリア、マレーシア、カナダで、融資審査を受けた経験があります。サラリーマン時代は比較的ラクでしたが、2013年に脱サラ起業して以来、海外の融資審査ではより多くの書類提出を求められ、苦労が続いています。個人で融資申請しても、銀行側から「実質的に自営とみなされ、法人として融資審査を受けている」からです。

昨年から、オーストラリアでは、融資申請しても「自営業主」というだけで門前払いを食らうケースが相次いでいます。その背景には、海外の法人経営者に対して煩雑な所得審査で時間を使いたくないという銀行側の事情があるのでしょう。

私自身も、自営業主ゆえ悔しい経験を何度もしてきました。詳しくは拙文参照「オーストラリア融資付けピンチ」(2016/10/8)。

ですので、海外不動産を現地金融機関から融資受けて買いたければ、私のアドバイスは、「日本でサラリーマンやってるうちに借りた方が良いよ」…身も蓋もない話ですが、それが現実です。

なお昨年後半からは、政策金融公庫やノンバンクなど、日本国内の金融機関が海外不動産取得に対して融資を出す流れになってきたので、そちらを使われる方が増えてきました。この種のローンは、日本国内に担保余力のある土地・建物を持っていると有利ですね。

最後に、不利だと分かっていても、法人・自営業主として、海外の現地金融機関から融資を受けたい場合、どうすればいいか?

「現地のローン・コンサルタントを上手に使う」のが良策です。

オーストラリア、カナダ、アメリカなど、英米圏諸国では、銀行から独立した融資サポート業が発達しており、彼らは「ローンコンサルタント」と呼ばれます。その多くは自営業主で、融資成約に至った場合のコミッションで生計を立てています。

「ローンコンサルタント」には、それぞれ得意、不得意があります。例えば大手金融機関に強い、ノンバンクに強い、信金信組(Credit Union)に強い、法人や外国人の所得審査に強い等々…それぞれ持ち味があるので、本気で融資を引きたいなら2~3社同時に競わせるのが良いでしょう。

私は昨年10月、オーストラリア物件取得にあたってローンづけがピンチに陥り、一時は撤退(手付放棄)も考えた際、ローンコンサルタント3社と連絡を取り、うち1社が良い条件で融資審査を通してくれたことで、苦境を乗り切りました。何事も、為せばなる!

【海外でローン承認が出る瞬間、やはり嬉しいものですね】

【このコラムの著者】

鈴木 学

アジア太平洋大家の会 会長
1968年千葉県生まれ。一橋大学社会学部卒業。
卒業後、ITエンジニア・マネジャーとして、日本、豪州、中国、米国、インドの5ヶ国で勤務経験あり。海外在住経験は8年間。 2002年、豪州シドニーで不動産を買い賃貸に出し、日本から遠隔管理して自信をつけたことを皮切りに、現在では、日本、フィリピン、オーストラリア、米国、タイ、マレーシアに、計22室を所有・経営するグローバル大家。

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