鈴木 学の不動産投資コラム

シリーズ連載: 海外不動産融資事情

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

第五回:海外物件購入、日本で資金調達は可能か?

私の主宰する国際不動産投資コミュニティ「アジア太平洋大家の会」では、過去6年間、世界各国の不動産セミナーをやり続けてきましたが、いつの時代も、海外不動産を融資ひいて購入を希望される方は多いです。

物件が海外にあり、所在国の法律に基づく資産になる以上、その国の金融機関で融資ひければベストですが、一般論として、そう簡単ではありません。

・英米先進国では、ある程度グロスの張る物件(邦貨換算5~6000万円以上)でないと、融資を受けられないケースが多い。
・東南アジア新興国では、一部を除き、非居住の外国人に対する融資制度がまだ整備途上。

「アジア太平洋大家の会」のセミナーに来る投資家の多くは、「現金手出しは1000万円が上限」と考えておられるようです。だから、1000万円以下の価格帯で7%以上の想定利回りが出る物件は、国・地域を問わず、よく売れます。

・東南アジア各国で首都の物件が安かった2011~13年頃は、「クアラルンプール、バンコク、マニラの数百万円のコンドミニアム」が売れ筋だったが、現地価格上昇&円安の影響で1000万円を超えると、途端に売れなくなった。

・2015年頃から、1000万円前後で買える英国の学生寮、介護施設という投資商品が出て、今はそれが一番の売れ筋になっている。

しかし2016年の初頭から、潮目が変わりました。特に「政策金融公庫」が、「日本国内の賃貸経営事業の海外展開」という名目で融資を出しはじめたことが、日本人の海外不動産購入環境を一変させました。

同行は、融資額2000万円以下なら支店決裁だけで承認できる仕組み。金利が1%台後半と安い上に、「女性」や「30歳以下ないし55歳以上の男性」に有利な条件で融資を出す制度もあるため多くの人が利用。その結果、下記のような物件が売れるようになりました。

・東南アジアで、邦貨換算2000~3000万円の物件
(例. バンコク・スクンビット地区の50㎡新築コンドミニアムの価格800万バーツなら、日本円換算すると2600万円)

この種の物件は、政策金融公庫が融資を出さなければ価格帯的に中途半端なので、これまでは「売れない物件」の代表格でした。でも、同行から2000万円の融資をひければ、現金手出しが1000万円以下で買えてしまうので、にわかに売れ行きがよくなりました。

2016年に行われた海外不動産セミナーは、取り扱い業者の他、「政策金融公庫にパイプのある融資コンサルタント」が登場するのが定番フォーマットになり、それに刺激されてオリックス銀行や、いくつかのノンバンクが海外不動産向けの融資商品を出すようになりました。

各行、それぞれ融資審査のポイントが違いますが、一般論として、日本国内に担保余力のある土地・建物を持っていると有利ですね。

しかし、銀行融資は水もの。良い時期がいつまでも続くわけではありません。私の見聞した範囲でいうと、2017年3月現在、政策金融公庫ではすでに、海外不動産に対する融資審査を厳しくする動きがあるようです。

私自身、「日本での融資をアテにして海外不動産購入」というモデルは、早晩行き詰まるとみています。なぜなら、日本の金融機関は海外不動産の担保評価をしない(できない?)し、日本人バイヤーの個人信用(給料や土地建物等)に基づいて融資を出すしかないからです。抵当権をとれない以上、本質的には「フリーローン」と一緒です。これまでは、

・カネ余りの環境
・マイナス金利政策
・融資先が欲しくてたまらない

という状況に支えられて、いくつかの銀行が、海外不動産購入にも担保なしで貸していたわけですが、

・収益性の劣る海外物件にたくさん融資を出した結果、貸し倒れなどの問題が発生する

ような事態が予見できれば、各行とも融資の蛇口を締めはじめるだろうと私は思います。今のタイミングで、どうしても日本で融資をひいて海外物件買いたい方は、早めに融資審査はじめた方が良いでしょう。

物件が海外にある以上、その国の不動産に担保をつけられる現地金融機関から融資ひくのが投資の王道だと思いますし、世界各国で融資ルート開拓に努めていきたいと思います。

【このコラムの著者】

鈴木 学

アジア太平洋大家の会 会長
1968年千葉県生まれ。一橋大学社会学部卒業。
卒業後、ITエンジニア・マネジャーとして、日本、豪州、中国、米国、インドの5ヶ国で勤務経験あり。海外在住経験は8年間。 2002年、豪州シドニーで不動産を買い賃貸に出し、日本から遠隔管理して自信をつけたことを皮切りに、現在では、日本、オーストラリア、米国、タイ、英国、ドイツに、計21室を所有・経営するグローバル大家。

他のコラム著者も見てみる

不動産投資家によっても違いは様々。
LIFULL HOME'Sが厳選した不動産投資家や専門家のコラムから色々な不動産投資スタイルを吸収してライバルに差をつけよう!

金井規雄

シリーズ連載: アメリカ不動産投資のすべて

最新コラム: なぜ、アメリカ不動産投資なのか?

橋本秋人

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

最新コラム: 『2022年問題』はソフトランディングするのか?

LIFULL HOME'S PRESS

シリーズ連載: HOME'S PRESS編集部

最新コラム: 新たに始まる「住宅ストック循環支援事業」は特色のある制度に

田中圭介

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

最新コラム: 【No.20】 各国の不動産投資の現状 〜ベトナム編 その 4 ホーチミンの不動産で狙うべき場所は?

佐藤益弘

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

最新コラム: 未公開物件・掘り出し物件の不思議

菅井敏之

シリーズ連載: 誰も教えてくれなかった「銀行」~その傾向と対策~

最新コラム: 【第四回】必ず行っておきたい、銀行との「コミュニケーション」

LIFULL HOME'S不動産投資フェア

シリーズ連載: 2017/9/23 LIFULL HOME'S不動産投資フェア出展企業インタビュー

各出展企業インタビュー記事はこちら

LIFULL HOME'S マーケティング部 データ編集担当

シリーズ連載: ユーザーの本音から探る不動産投資

最新コラム: 将来性を秘めた街 『都心』エリア

石渡 浩

シリーズ連載: 不動産投資に有益な融資を受けるための知識

最新コラム: 第4回 税引後キャッシュフロー偏重の盲点 銀行は決算書のここを見る(後編)

北野 琴奈

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

最新コラム: 民法改正と賃貸経営、ここに注意!

猪俣淳

シリーズ連載: 猪俣淳の「不動産投資の正体」

最新コラム: 土地値の大型物件は出口で儲かるか?

右手 康登

シリーズ連載: CPM®流「相続・不動産経営 実践術」 右手 康登のコンサル「みぎからひだりへ」

最新コラム: 島国の中での常識 VS グローバルスタンダードを知ることの重要性

末永 照雄

シリーズ連載: 失敗しない不動産投資の法則

最新コラム: 新興国の将来利回りに期待する。ベトナム不動産投資(3)

寺尾 恵介

シリーズ連載: 悩める投資家への「目からウロコが落ちる」アドバイス 誌上チャレンジ面談

最新コラム: 7.不動産投資の「やめどき」はいつ?

伊藤 英昭

シリーズ連載: 伊東英昭氏の不動産投資コラム

最新コラム: vol.13 マンションと高級車

不動産投資・収益物件を検索するなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】賃貸経営[マンション経営・アパート経営]をお考えなら、まずは掲載中の投資物件[投資用マンション・売りアパート・一棟売りマンション]を地域や価格帯、会社で検索して、価格や想定利回りで絞り込み!気になる投資物件を見つけたら物件の周辺情報を調べたり、収益シミュレーションを使って実際の運用をイメージ出来ます。不動産会社へはメールか電話でお問い合わせ・相談が可能です(無料)。不動産投資による資産運用をお考えなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】

ページトップへ