鈴木 学の不動産投資コラム

シリーズ連載: 海外不動産融資事情

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

第十回:民泊でも融資ひけるの?

民泊、ホリデーホーム、カーシェア、ライドシェア、オフィスシェア…所謂「シェアエコノミー」は日本だけでなく世界的な趨勢です。だからどの国でも不動産界隈では、高収益化、有休資産活用などの文脈で「民泊運営」の話が出てきます。

私は仕事柄、いろんな国に出張して現地の不動産投資雑誌を読みますが、オーストラリアやマレーシア、台湾で、民泊運営の記事を見たことがあります。いまの日本と似ていますね。

オーストラリア人オーナーが東京の民泊運営で成功した話

オーストラリア人オーナーが東京の民泊運営で成功した話

民間住宅の民泊運用は、スマホやタブレットが世界的に普及し、AirBnBや自在家などポータルサイトが躍進したここ数年の現象ですので、どの国でも法律整備は後手にまわります。ホテル•旅館業という既存産業との兼ね合い、民泊事業者からの税金徴収、消防、伝染病拡散防止や犯罪者追跡等の諸課題をクリアすることを求められますので、法制度の設計、国会審議、施行まで数年かかる仕事になります。それまでの期間、民泊の法的な位置付けは必然的にグレーゾーンになります。

法律面のみならず、近隣との関係が民泊運営リスクになりえるのも世界共通の現象です。東京など日本の都市部で、家族の住まいとして買った分譲マンションの一部が民泊になって、日々知らない人が出入りするのが問題視され、管理組合権限で民泊禁止という状況が時々起こりますが、タイのバンコクで私が民泊運営していたマンションでも同じことが起こりました(いまは通常賃貸に切り替えて運用しています)。

また、民泊は参入障壁が非常に低いので、場所によっては短期宿泊客に対して客室数が過剰になり賃料相場が下がる状況が起こります。日本国内では大阪市内の民泊値崩れが知られていますね。これも世界共通の現象です。例えばハワイでは、AirBnB出現以前から旅行会社の運営するバケーションレンタル(旅行者向け短期貸し)が確立していましたが、AirBnBが普及したここ数年、参入する事業者が増えて、一部エリアで賃料や稼働率が下がる現象が起こっています。

さて、「民泊でも融資ひけるのか?」というメインの話題に移りますが、結論から先にいうと、民泊運営の高利回りを前提に融資を受けるのは、どの国でも難しいと思います。まだ法律面で民泊の扱いがグレーゾーンな国だとそれが融資審査で嫌われますし、また近隣関係トラブル含めて「民泊運営ができなくなるリスク」がどうしても意識されます。

したがってどの国でも、銀行の常識的な判断は、「通常の不動産担保融資」か、もし旅館業許可を取って本格的に運営するなら「事業性融資」、そのいずれかになると思います。前者の場合は、「(民泊ではなく)通常賃貸した場合の想定家賃収入に掛け目を入れて、給与収入などと合算して総合的に判断」という話になるでしょう。

私自身、アメリカとタイでオーナーとして民泊運営してますが、いずれも融資は受けていません。近い将来、事情が変わって民泊運営できなくなるリスクがあるし、そうなったら遠隔地にある以上、国内と同じレベルの対応ができない。また手放したくなっても抵当権解除が面倒…等々のリスクを考えて、現時点では「現金勝負できる範囲内」でチャレンジしています。

今後、ブロックチェーン技術が不動産取引や権利付与の世界に応用され、国内外の民泊物件に不特定多数が共同投資できるような時代になれば、投資家にとって可能性が大きく広がりそうな気がします。

【このコラムの著者】

鈴木 学

アジア太平洋大家の会 会長
1968年千葉県生まれ。一橋大学社会学部卒業。
卒業後、ITエンジニア・マネジャーとして、日本、豪州、中国、米国、インドの5ヶ国で勤務経験あり。海外在住経験は8年間。 2002年、豪州シドニーで不動産を買い賃貸に出し、日本から遠隔管理して自信をつけたことを皮切りに、現在では、日本、オーストラリア、米国、タイ、英国、ドイツに、計21室を所有・経営するグローバル大家。

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