鈴木 学の不動産投資コラム

シリーズ連載: 海外不動産融資事情

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

十二回:融資使って資産殖やすのにベストな国はどこ?

海外融資事情コラム、今回が最終回になります。

魅力あふれる海外不動産、できれば全額現金出さずに、融資受けて買いたいものですね。まず一般論として、我々日本の居住者が、海外で物件所在国の金融機関から融資引けるかどうかは、

1)融資出す国と、出さない国がある。

2)融資出す国も、それぞれの国の金融当局の規制を受ける。最近の傾向は外国人に対してどんどん厳しくなっている。

後者の例…英米圏だと、例えばオーストラリア、カナダ、ニュージーランドの金融機関が、もともと外国人(日本居住者を含む)に対して、物件価格の6~7割くらい、年利4~5%で23~30年程度の融資を出し、まあまあ使い勝手良かったのです。

でも近年、それぞれの国で都市部の不動産価格が高騰し、地元の人々が買いにくくなりました。そんな時、各国政府や与党は、地元民向けに住宅補助金を出して買いやすくする一方で、外国人や投資家向けの銀行融資を厳格化します(そういう政策は、選挙民ウケが良いんです)。

2016年4月頃、オーストラリアで外国人投資家が一気に融資から締め出される事態になりました。当時、私は同国ブリスベンの収益不動産購入のため融資チャレンジ中でしたが、それ以前に得ていた融資内諾が全て反故にされました。

幸い私は同国の永住権を持っているので、四方八方手を尽くしてなんとかリカバリーしましたが、同時期に融資チャレンジしていた日本在住の仲間はほぼ全員が断念。現金買いか日本で融資ひくか、撤退かの、つらい三者択一を迫られました。

ニュージーランドも、間もなくオーストラリアに追随して、外国人を融資から締め出したと聞きます。カナダはまだ大丈夫そうですが厳しくなる傾向にあります。一方、アメリカは逆の動きで、リーマンショック以降は融資が厳しい国として知られていましたが、トランプ大統領になってから若干緩くなりつつあるようです。

東南アジア方面では、マレーシアが外国人向けに融資出やすい国として知られています。2012年頃には日本人向けに物件価格の90%貸すみたいな、フルローンに近い融資が出た時期もありました。今では出てもせいぜい50~60%でしょう(それで良いのでしょう。マレーシアみたいな賃貸マーケット確立途上かつ過剰供給問題のある国で、フルローン近い融資を引いて物件買うのはリスキーだと思いますので)。

あと、シンガポールやタイなどを除いて、ASEAN圏の国ではローンの利率が非常に高い(年利8~10%以上)ので融資使いやすくないですね。

海外各国で融資受けにくくなっていることを受け、ここ1~2年、日本国内の金融機関から円で融資を受ける方が増えています。いまカネ余りで低金利の日本ですので、政策金融公庫やノンバンク系で、1~2%台の金利で10~20年借りて、海外の不動産購入資金に充てることは属性次第で可能です。

なお、これは海外物件を担保にとる融資ではなく、日本国内に保有する物件の担保価値や給与収入等が問われます。

本題に戻りましょう。「融資使って資産殖やすのにベストな国はどこ?」かと問われれば、難しいですね。つい2年前なら、「現地の金融機関から不動産担保融資を受けられるオーストラリア、カナダ、ニュージーランド」と答えていたのでしょうが、今ではそうも言えなくなってますし…

どの国でも融資はタイミング次第なので、融資使えるタイミングでちゃんと算盤の合う投資物件が出れば、融資使って買いたいものですね。

最後に、1年間の長きにわたって、「海外不動産融資事情」という、マニアックな話題に付き合っていただきありがとうございます。篤く御礼申し上げます。

次回号からは新連載「海外物件の管理」がはじまります。引き続きご愛読いただければ幸甚です。

【このコラムの著者】

鈴木 学

アジア太平洋大家の会 会長
1968年千葉県生まれ。一橋大学社会学部卒業。
卒業後、ITエンジニア・マネジャーとして、日本、豪州、中国、米国、インドの5ヶ国で勤務経験あり。海外在住経験は8年間。 2002年、豪州シドニーで不動産を買い賃貸に出し、日本から遠隔管理して自信をつけたことを皮切りに、現在では、日本、オーストラリア、米国、タイ、英国、ドイツに、計21室を所有・経営するグローバル大家。

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