鈴木 学の不動産投資コラム

シリーズ連載: 海外物件の管理

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

第二回「海外物件選びの失敗例(1)入居づけの難しい物件を買ってしまった」

前回のコラムで、「海外不動産は利回り云々より管理しやすい物件を選ぶのが鉄則」と書きましたが、そうでない物件を買ってしまうとどんな悲惨(もとい大変)なことになるのか、これから3回に分けて書きます。まず今回は、「入居づけの難しい海外物件を買ってしまった事例」について書きます。

なぜ入居つかないのか、私の見聞の範囲で言うと、アジア諸国の場合は日本と同様、「物件の過剰供給」が主な原因となることが多いです。

東南アジアや中国の都市に行くと、東京湾岸あたりの高層マンション開発の規模をはるかに上回る、1プロジェクト10,000戸規模の超巨大住宅開発が行われたりします。日本人も結構たくさん買っています。

大規模開発ならではの良さも確かにあるので一概に否定はしませんが、引き渡し後すぐに入居つくことは期待しない方が良いでしょう。全部で10,000戸あるうちの1戸や2戸持ったところで、他の数千戸がライバルなわけですから、実際問題かなりの空室期間を覚悟した方がよく、ぶっちゃけ「貸さずに塩漬けでもいい、将来値上がりすれば御の字」という割り切りが必要かと思います。

それでも首都クラスの都市で立地が良ければ待てば入居がつく期待が持てますが、難しいのは、そこまで賃貸需要がない都市でガンガン建て過ぎてしまったケース。マレーシアのジョホールバルなどが有名ですが、エリアによっては完成後数年経っても入居率がぱっと見5%程度(95%空室)の幽霊マンションが珍しくありません。空室だらけで住民が少ないと商業店舗も成り立たず、賃貸収入もなければ転売も難しいです。

あと、新興国の集合住宅にありがちなのは、居室を引き渡した時点で共用部分が完成していなかったり、携帯電話の電波が入らない等、住みやすい環境が整備されていないがゆえに入居がつかないケース。こういうの買ったら気長に待つしかありません。

一方、欧米先進国の場合、入居つかない主な理由が「治安や学区の悪さ」だったりします。

アメリカの都市に典型的ですが、とにかく安全なエリアと治安最悪なエリアの差が極端で、ストリート一本隔てただけで雰囲気がガラッと変わったりします。悪いエリアの物件を掴んでしまうと、場所によっては地元の管理会社も取り扱いできず放置プレイせざる得ないケースもあります。銃社会ゆえエージェントが物件確認するだけで命がけというエリアもあるようです。

また、入居者属性が悪いと、よしんば賃貸がついても物件ボコボコにされて出ていくとか、上下水道の配管まで盗まれるとか、放火されるとか、日本の不良入居者どころではないワイルドな被害に悩まされることも。

あと気をつけたいのは、アジア圏と欧米圏の住居不動産における「商業施設」の評価が真逆なこと。日本を含めアジア圏では利便性が大事で、商業施設そばの立地は概してプラス評価になりますが、アメリカはじめ欧米圏では商業施設そばの立地は治安に懸念があるためマイナス評価になることが多い。そういう立地の物件は避けるようにしましょう。

アメリカでは、trulia.comなど、治安や学区を詳しく調べられるサイトがあるので、活用してみましょう。

【このコラムの著者】

鈴木 学

アジア太平洋大家の会 会長
1968年千葉県生まれ。一橋大学社会学部卒業。
卒業後、ITエンジニア・マネジャーとして、日本、豪州、中国、米国、インドの5ヶ国で勤務経験あり。海外在住経験は8年間。 2002年、豪州シドニーで不動産を買い賃貸に出し、日本から遠隔管理して自信をつけたことを皮切りに、現在では、日本、オーストラリア、米国、タイ、英国、ドイツに、計21室を所有・経営するグローバル大家。

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