鈴木 学の不動産投資コラム

シリーズ連載: かしこい海外不動産投資

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

フィリピン融資トラブル発生

今回は「海外不動産こわい話」をひとつ…

フィリピン・マニラの大手デベロッパーが開発した某コンドミニアムで、「銀行融資がつかない」トラブル(?)が発生しました。

この物件、私および投資仲間20数名が、2011年に「プレビルド」(完成前販売)で買いました。完成予定は2015年3月。それまで、月々の積立等で物件価格の約30~35%の頭金を払い、残りの65~70%は完成時に銀行ローンが引けるはず、という前提で購入に踏み切りましたし、仲介業者からもそういう説明を何度も受けてきました。

もちろん、業者の話を鵜呑みにはできませんが、同じデベロッパーが開発し、2012年、14年に完成した物件の場合、フィリピンの銀行による融資づけは特に問題なかったので、私も何となく安心していました。でも今回は違った。

実際に完成してみないと、その時点で融資がつくかどうか分からない!

ことを痛感したのです。

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内幕についてはよく分かりませんが、私たち購入者が体験した限りでいえば、

・物件完成時、デベロッパーに残金全額の支払をしなければなりませんが、その期限から逆算して、3ヶ月前とか半年前に融資機関がアナウンスされていれば、十分な審査期間がとれるわけですが、今回の物件の場合、アナウンスのタイミングが極めて遅く、期限1か月前を切っていた。

・アナウンスされた金融機関は二行(いずれもフィリピンの銀行)ですが、審査に最低1ヶ月半~2か月かかるといわれ、支払期限前の融資実行が不可能であることが判明。

・デベロッパーも、これまでに完成した物件と比べて、支払に対する態度を硬化させており、「支払期限に一日でも遅れるとペナルティを課す」、「支払が相当遅れたら物件を没収する」と言ってきている。

・仲介業者に文句言っても、彼らもデベロッパーに対して何もできない。

まさに八方塞がり。残金支払期限を間近に控え、購入者の多くが金策に奔走しているのが現状です。

教訓:新興国のプレビルドと、日本のマンション予約販売とは、似て非なるものです。日本の場合は、すでに融資承認を得た物件を、融資特約付きの契約で取引するのが普通ですが、

多くの新興国プレビルドは、まだ融資承認が下りていない物件を、融資特約つけずに買うのです!

したがって、

融資がつかなくて支払期限に間に合わなかった場合、リスクは購入者が負う。
最悪の場合、これまで支払った頭金を全額放棄することになる。

なお、フィリピンの場合は、バイヤー保護の法律があって、不動産取引が成立しなかった場合、デベロッパーは頭金の半額を返還することになっています。支払ができずに(或いは、他の用途に資金を回すため)フィリピンでの不動産購入をあきらめた日本人の仲間もいますが、「半額」からもろもろ引かれて、結局あまり手元に残らないと言っていました。

フィリピン現地で金融業を営む友人によれば、この種の融資づけトラブルは、同国ではこれまでも何度か起こってきたとのこと。これはプレビルドを買う上で、間違いなく、メジャーなリスクの一つだと思います。

この種のトラブルを回避する方法ですが、フィリピンなど新興国の場合、「これをやれば必ずうまくいく」という方法は多分ありません。新興国の不動産融資の仕組み自体が確立途上の段階にあり、あやふやな面が多い。「専門家に聞いても、皆、違うことを言う」ような世界もあるので、経験の浅い日本人の仲介業者では十分な確認ができないことも多いでしょう。

新興国の不動産を買う場合、基本、「現地国の融資はあてにならない」と考えた方が賢明だと思います。

1)全額、現金で購入する。
2)融資をひく必要があるなら、(より仕組みの整った)日本のフリーローンなどを検討する。

とはいえ、すでに現地銀行から融資内諾が出た状態で物件買えるなら話は別です。そこまでいかなくとも、完成から半年以上前に、すでに仲介業者から現地金融機関のアナウンスがあるなら、十分な準備期間はあるといえるでしょう。

逆に、完成3ヶ月前になっても、金融機関のアナウンスが来ない場合は要注意。仲介業者が「使いものにならない」可能性も高いので、現地の金融機関か同国の不動産投資経験者に問い合わせるなどして、融資の可能性を探ってみた方が良いと思います。

なお、上記はあくまで現時点の話です。フィリピンを含め、どの新興国も年々進化していますので、数年後には融資環境が一変して、使いやすくて条件の良いローンが選べるようになるかもしれません。

【このコラムの著者】

鈴木 学

アジア太平洋大家の会 会長
1968年千葉県生まれ。一橋大学社会学部卒業。
卒業後、ITエンジニア・マネジャーとして、日本、豪州、中国、米国、インドの5ヶ国で勤務経験あり。海外在住経験は8年間。 2002年、豪州シドニーで不動産を買い賃貸に出し、日本から遠隔管理して自信をつけたことを皮切りに、現在では、日本、オーストラリア、米国、タイ、英国、ドイツに、計21室を所有・経営するグローバル大家。

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