鈴木 学の不動産投資コラム

シリーズ連載: かしこい海外不動産投資

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

東南アジア、コンドミニアム過剰供給に注意

私の主宰する海外不動産勉強会「アジア太平洋大家の会」で、10月9日に、「海外不動産の失敗談共有セミナー・アジア編」なるセミナーを都内で実施しました。東南アジアのプレビルド(予約販売物件)購入経験者4名によるパネルディスカッション形式で行われた同セミナー、30名超の来場者があり、たいへん盛り上がりました。

セミナー宣伝文

貸せない、売れない、融資つかない、現地人働かない…2011~13年頃、東南アジアの不動産購入にチャレンジした我々が、体験した苦難の数々。新興国不動産には一体どんなリスクがあるのか?リカバリーはできるのか?諸先輩方の「失敗」に学んで、賢く投資していこう。

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アジア太平洋大家の会では、私を含めて百名を超える会員が、東南アジアのプレビルドを買っています。我々は「投資家の駆け込み寺」として、会員から各種の「お悩み相談」を受けてきました。2014~15年になると、2011年頃に購入したプレビルドが続々と完成時期を迎えましたが、その頃から「切実な相談」が増えてきました。

お悩み相談1)融資関連

 ・ 業者からの融資銀行の紹介が、完成直前に来た。引き渡し前に融資審査の時間がとれない。
 ・ 現地銀行に融資審査に出したが、何か月経っても結果が出ない。
 ・ 現地の金融機関は、サラリーマンの給与所得は評価できても、法人の事業所得を評価する術を持っていない。

お悩み相談2)賃貸づけ関連

 ・ 業者の説明した想定賃料の半分くらいの家賃しかとれない。
 ・ 賃貸に出したが、ライバル多すぎて、半年以上客がつかない。
 ・ 現地の賃貸管理チームが全然働かない。メールのレスさえ寄越さない。
 ・ 内装の仕上がりが悪く、補修依頼を出したがいつまでも直らない。
 ・ 引渡しから数か月建つのに、プールやジムが工事中で、まともに住める環境にならない。この状態で、入居づけはできない。

お悩み相談3)転売関係

 ・ 仲介業者は完成前でも転売可能だと言っていたが、実際は損切りしないと売れない。
 ・ 完成後に、仲介業者に転売を頼んだが、経験がないため、全然結果が出ない。
 ・ デベロッパーの転売部門に依頼しても、使えない奴らばかり出てくる。
 ・ ウェブ上で、安い値段での投げ売りが多く、まともな値がつきそうにない。

特に、多くの投資家が驚いているのが、東南アジア新興国における「コンドミニアム過剰供給」と、それが引き起こす「貸せない」、「売れない」問題です。

プレビルドを買った当時は、現地は何もない更地でした。その3~4年後に、建物が予定通り完成します。その時点ですでに、周囲には高層コンドミニアムが建ちまくり、何千戸、下手したら万を超える戸数が、一気に供給されたりします。東南アジア各地で、デベロッパー各社が、売上と営業利益を求めて、需要を上回る供給をしているのです。

東南アジア新興国は、首都といえども、東京のような購買力はありません。都市人口が多くても新築コンドミニアムに住める人の割合は低く、住民の入居が終わるまで、平気で半年~1年の時間がかかります。その間はほぼ「貸せない」し、「売れない」。入居が一段落ついても、今度は「過剰供給との闘い」が待っています。

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ある地域で、不動産の過剰供給が一旦起こったら、需要と供給がバランスするまで最低数年の歳月がかかります。地域にいくら空室が増えても、建物はその場所に、ずっとあり続けるからです。その間、オーナーは空室や賃料低下に悩まされ、収支計算が狂ってしまいます。

私見ですが、これから東南アジアの物件選びは、「マクロ」から「ミクロ」の時代に入るはずです。国の経済成長率や発展ポテンシャルよりも、個別物件の見極めを重視すべきなのです。そこで失敗しない基本は、「過剰供給のなかで、それでも勝てる物件選び」でしょう。たとえば、

 ・ オンリーワン立地(ショッピングセンター直結、ビーチ目の前など)
 ・ オンリーワン企画(ブランド、独自性)
 ・ 優秀な管理(ホテルやサービスアパートの場合は特に重要)

将来は、東南アジア新興国でも、駅力、駅・エリア毎の相場、入居率など、投資判断に役立つデータが整備されてくるでしょう。そうなれば日本と同様、「需要のあるエリアや間取りの物件を、地域相場より安く買う」戦略が有効になってくると思います。

【このコラムの著者】

鈴木 学

アジア太平洋大家の会 会長
1968年千葉県生まれ。一橋大学社会学部卒業。
卒業後、ITエンジニア・マネジャーとして、日本、豪州、中国、米国、インドの5ヶ国で勤務経験あり。海外在住経験は8年間。 2002年、豪州シドニーで不動産を買い賃貸に出し、日本から遠隔管理して自信をつけたことを皮切りに、現在では、日本、オーストラリア、米国、タイ、英国、ドイツに、計21室を所有・経営するグローバル大家。

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