菅井敏之の不動産投資コラム

シリーズ連載: 誰も教えてくれなかった「銀行」~その傾向と対策~

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

【第二回】 銀行へのタブー“嘘”をつくリスク

不動産投資家の中には、銀行に対して嘘をつく人がいます。

自己資金が100万円しかないのに、さも1000万円あるかのように見せかけるなど、自己資金に対する“嘘”。

具体的にいえば、カードローンでお金を借りてきて普通口座に入れておく……。
あるいは証券会社のステートメンツにおいてある有価証券を、時間差で銀行口座にもってくる……。
一次的に借りてくることができれば、そんなごまかしは簡単に出来ます。

こんな風に自分を大きく見せて、融資の申し込みをしてくる方たちがいます。
バレないと思っていませんか?
そんなことはありません。銀行はしっかり裏をとっています。
どのようにして裏をとるのか、具体的な方法はお伝えしませんが、嘘は必ずバレるものです。
融資審査とは「嘘をついていないか?」の確認でもあります。
そこで嘘をついていることがわかれば、信用は一気になくなります。

仮にあなたが嘘をついて、ありもしない自己資金を1000万円と銀行に言っていたら、どうなるか想像してください。

「自己資金は1000万円ありますよね? 最初の手付金は現金で払ってください」

銀行からそう言われたらアウトです。
銀行との信頼関係を壊してしまえば、もう取り戻すことはできません。

ほかにも不動産業者と結託して嘘の契約を行う人もいます。
銀行は物件の評価額に対して、銀行独自のリスク調整としてある一定割合を掛けて融資額を算出します。
つまり“評価額=融資額”ではありません。
この一定割合で掛ける数値を“掛け目”といい、銀行によってパーセンテージがかわります。
それを見越して、「実際の金額よりも、大きな金額で売買契約を結んだ」という嘘をつく投資家や不動産業者もいます。

実際には売買金額を1億円で契約しているにも関わらず、掛け目を入れられることを想定して、1億2千万円や1億3千万円といった嘘の売買契約書を作ってしまうのです。
それで「残りの差額は自己資金で支払いますから、1億円を貸してください!」と銀行に嘘をつきます。

そんな嘘は、日々融資の申込みを受けている銀行員にはすぐ見破られてしまいます。
その結果、本人はもちろん業者も完全に出入り禁止となります。

「あそこの銀行はなぜかうちの持ち込んだ案件が通らない……」

そんな不動産業者が現実にいます。
どういうことかといえば、「お行儀の悪い会社」として銀行のデータに残ってしまっているのです。
これは申込人の属性ではなく、不動産会社の信用が低いケースです。

また、投資規模が大きい投資家の中には、物件ごとに法人を設立して購入することが横行しています。
法人であれば、個人と違って信用情報(個人の借入状況・返済状況についての詳細が記載されている情報)に載りません。
法人の借入状況について、金融機関同士での情報共有がないということを悪用して、複数の法人つくって融資を受けていくというアンフェアなやり方です。

これも今は分からないだけで、いずれバレる時がきます。
データの世界ですから最終的に名寄せをしたり、銀行が合併でもすれば、たちまち明るみになり“期限の利益が喪失”します。

“期限の利益”とは長期間の借入れをすることによって、月々の返済が少額で抑えられるという利益が借りた側にあるということです。

“期限の利益が喪失”というのは、その利益が無くなることを指します。

簡単に言えば、「20年で貸してあげますよ」と契約した融資契約が破棄されて、「今すぐ返せ!」となるのです。
物件を売却して弁済しようとしても、そうそう買ったときの値段などつきません。
建てたばかりの物件は持ち出しになり、“金持ち父さん”になろうとはじめた不動産投資がとんだ足かせになってしまいます。

「銀行はそこまで調べないから!」
「みんなやっているからOKだよ」

大家さん同士の交流会では“銀行をいかに騙すか?”というテクニックの情報交換が多いと聞きます。
しかし銀行はその投資家の資産の中身をしっかり見ています。
不動産投資家の皆さんは、武勇伝を人に話しても、失敗経験は話さないものです。
じつは表に出てこないだけで、バレてしまって銀行から融資を撤回された人は大勢います。

銀行を甘くみて「あの人がうまくいったから!」「こんな裏技がある!」と得意げに話す一部の不動産投資家もいます。
不動産業者も「これは大丈夫な方法です」と太鼓判を押していることもあります。

しかし真に受けてはいけません。

不動産業者は仲介料をもらったらそれで業務は終わりです。
貴方の不動産投資がうまくいかなくても、それは自己責任です。

まず銀行員は「嘘をついていないか?」を必ず見ることを忘れないでください。

昨今は“見せ金作り”なんてセミナーまである時代ですが、リスクを負うのは全て投資家です。
銀行のいう「頭金を3割入れてください」には根拠があります。
安全性や経営破たんをしないためのスキームとして提示してくるのです。

それを背伸びし過ぎてしまえば破たんします。
フルローンで借りられる方は純資産があるからです。
たとえば著作で「わたしは300万円からスタートしました」と書いている著名投資家も、2000万円の純資産の中から300万円を使っていたりします。

“テクニック”や“裏技”など威勢よく聞こえますが、お金もないのに「ある!」と言い張るのだから、正味の話が「嘘をついている」だけです。

何度も言いますが、“嘘”はいけません。
銀行は「自分の身の丈で生きている正直な方」にお金を貸したいのです。

【このコラムの著者】

菅井敏之

株式会社TSネッツ代表取締役
ファイナンシャルアカデミー ファイナンシャル戦略ゼミ 講師


1960年生まれ
メガバンク支店長として東京・横浜2ケ店を経験後、独立。
6棟78室の賃貸不動産・トランクルーム・太陽光発電・
カフェ(田園調布SUGER COFFEE)を経営。

銀行員としてお金を「貸す側」不動産投資家としてお金を
「借りる側」双方の視点を織り交ぜた講演やセミナーも行っている。

著書「お金が貯まるのはどっち!?」(アスコム)

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