菅井敏之の不動産投資コラム

シリーズ連載: 誰も教えてくれなかった「銀行」~その傾向と対策~

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

【第三回】不動産投資家は“スピード”を求められる

不動産投資家は小手先のことばかりに気をとられて、意外と基本的なことをご存じない方が多いような印象を受けます。
皆さん、勉強家が多くて知識は豊富ですが、頭でっかちになり過ぎてしまって、むしろマイナスになっている気がします。

ROI(投資収益率)やADS (年間元利返済額)といった難しい指標を勉強するより、もっと背骨に当たる基本的なことがあります。

それは、“スピード”です。

銀行員はとてもハードな職業です。
1日に30件以上の仕事をこなさなければなりません。
そんな状況で融資を受け付けて、もし書類に不足があったらどうなるでしょうか?
その銀行員のテンションはたちまち落ちます。

彼らにとっては、返答のファックスやメールも、すぐに来るとありがたいものなのです。
それを3日も4日も放っておいた挙げ句、「面倒くさい!」と平気でいう人までいます。
自分のことなのに……。

銀行の担当者は“貴方の代表者”です。
担当者は貴方の融資を通すため、6~7人の銀行員と対峙しなければならない“唯一の味方”なのです。
その担当者が「武器(書類)を持ってきてください」と要求しているのに「面倒くさい」なんて言われたら、やる気を無くしてしまうのも当然です。

ところで担当者にやる気があるのか、ないのか……その見分け方をご存じでしょうか。
それは“質問”です。
優秀な担当者はどんどん質問してきます。
とくに融資審査で質問をしてくる時「この人はどうやって稼いでいるのか?」と考えながらしゃべっています。

そのときに求められるのも“スピード”です。

たとえ、通りにくい稟議でも、追加の資料で何とかいけそうだと判断すれば、「○○の書類を出してください!」と新しい書類を求めてきます。
それに対して貴方がリズムよく返せなければ、ガクッとテンションが落ちてしまうのです。
なにせ銀行員は一日に30件の仕事をこなさないとならないのですから。
その時は「はい!」「はい!」と餅つきのようにリズミカルに対応すべきです。

実際のところ、仕事が出来る担当者ほどせっかちです。
貴方にはよくわからない事業計画、いろんな書類を出してきては、担当者がどんどん動き出すのです。
そこまでいけば大船に乗ったも同然です。
それを「面倒くさい、最初に言ってくれよ」なんて思ってはいけません。
本気を出した担当者だからこそ、「なんとか審査を通してあげたい!」と追加資料を求めてくるのです。

むしろ担当者が何も言ってこないときは、他の書類が溜まって貴方の案件まで手が回らない、案件を握られている(案件を見ていない)ケースが考えられます。
待っている方はすぐに見てもらえると思っていますが、銀行員はとにかくたくさんの仕事を抱えていて忙しいのです。

しかし、あきらめてはいけません。

そんな状況で、いかに自分の案件を早くやってもらえるかを確認するには、“期限を切ること”が大切です。
必ず貴方から「仲介会社にも報告したいので、来週の水曜くらいまでに方向性だけでもご回答いただけますでしょうか?」と期限を切ってください。
その上で当日なり前日なり確認の電話をいれる。
それを必ずしないとズルズルと延びてしまいます。

また、優秀な人にありがちなのは、自分で手作りした書類を持参しておきながら、銀行から渡された所定の書式をしっかり埋めていないケースがあります。
忙しい銀行員にとって、手作りした書類はあくまで参考資料です。
必ず銀行には所定の書式がありますから、これを一項目の空欄もなく完璧に埋めることが先決です。

さらに、お金を借りようと思っている銀行に「本人属性や企業概要をすぐ提出したいので、あらかじめ書類をいただけませんか?」と申し込むのもいいでしょう。
そんな人に対しては、担当者もやる気が湧くというものです。

こういった積み重ねは、稟議書の人物評にも反映します。
「マジメ」「熱心」「事業意欲が十分」と書いてもらうことができます。
銀行員は貴方の行動、対応を見ています。数値化できない部分こそ、行動で測られるものです。
「審査で熱っぽく語ればいいのか」ではなく、すぐ行動で表すことが重要なのです。

その大原則を知っているか知らないかで、貴方の不動産投資は大きく変わっていくことでしょう。

【このコラムの著者】

菅井敏之

株式会社TSネッツ代表取締役
ファイナンシャルアカデミー ファイナンシャル戦略ゼミ 講師


1960年生まれ
メガバンク支店長として東京・横浜2ケ店を経験後、独立。
6棟78室の賃貸不動産・トランクルーム・太陽光発電・
カフェ(田園調布SUGER COFFEE)を経営。

銀行員としてお金を「貸す側」不動産投資家としてお金を
「借りる側」双方の視点を織り交ぜた講演やセミナーも行っている。

著書「お金が貯まるのはどっち!?」(アスコム)

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