菅井敏之の不動産投資コラム

シリーズ連載: 誰も教えてくれなかった「銀行」~その傾向と対策~

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

【第四回】必ず行っておきたい、銀行との「コミュニケーション」

顔も覚えていないような人から突然「1億円を貸してください!」など、融資を求められても銀行は身構えてしまいます。
銀行からお金を借りたいのであれば、銀行と仲良くなっておくことです。
そのためには銀行との定期的なコミュニケーションをとりましょう。

まず、関係をつくるためには「積立預金をする」「給与振込を口座に集める」「ガス・水道・電気の振込み手続きをする」など、とにかく定期的に銀行へ足を運ぶことに尽きます。
そうしてコツコツと信用を積みあげていくことで、銀行との関係が深まっていきます。

さて、ここではいちから銀行を開拓するのではなく、すでに取引のある銀行とより深く付き合う方法をお伝えします。

わたしの場合、すでに借入をしている銀行に対して、定期的に挨拶へ行くようにしています。
まずは4月後半の確定申告、決算報告と10月後半の中間報告です。
これは銀行の“期”が変わった後です。
銀行は定期的に転勤がありますから、人の移動……課長や副支店長、支店長が代わるタイミングで顔つなぎをしておく必要があります。

あとはお正月に「明けましておめでとうございます!」と支店長に挨拶します。
日ごろの決算報告に、支店長は出てくることはありません。
このように普段なかなか会えない支店長にも、お正月というタイミングを利用することで、顔を知ってもらえるのです。

そこで「○年前に○千万円をお借りした◎◎ですが、今年ももう1棟買いたいのでよろしくお願いします!」と顔をアピールしておくわけです。
顔がわかっているかどうか、これはとても意味があります。
銀行だって生身の人間が営んでいます。書類だけで100%精査しきれません。

支店長も稟議書が回ってきた時「おっ、正月に挨拶へ来てくれた◎◎さんか!」と顔が思い浮かび、「丁寧な人だったな」という印象が思い出されたらどうでしょう。
印象だけで融資審査は通りませんが、“あとちょっと”の後押しにはなります。

このように、すでに借入を行っている銀行であれば、とにかく定期的に顔つなぎしておきます。
借りている金額の大小に関わらず「今後もこの銀行で借りたい!」という気持ちがあれば、たとえ数百万円の取引でも、顔を出しておいた方が賢明です。
また、そうしなければ銀行とのつながりもできません。
銀行が決算書の内容を把握して、貴方の事業について知ってもらうということが大事です。
そうやって顔つなぎを繰り返していると、そのうち銀行の方から「もう1棟所有しませんか?」と提案されることもあります。
そうなれば、しめたものです。

銀行とのリレーション(関係)があるというのは、不動産会社に対しても強力なアピールとなります。
不動産会社に「○○銀行から“もう1棟どうですか?”と勧められたのですが」と伝えるのです。すると彼らは目の色を変えます。
不動産業者は日ごろから「この人は銀行からお金が借りられる属性かな?」と探っているものです。
「借りられる!」と判断すれば、彼らからいい話がやってくる可能性が、ぐんとあがります。
これこそが川上情報です。

わたしは年3回ですが、会社によっては毎月ごとに資産表を持参して「今こうなっています!」と報告してくる会社もあります。
報告の時に重要なのが、良いことも悪いことも全て話すことです。

「このところ空室が埋まらないんです」
「今月は修繕費が○○円ほどかかりました」

このように、悪い話からするといいと思います。
悪い情報のあとに、良い情報をしっかり伝えれば、しっかり経営している印象が残せます。

ここで注意したいのは、確定申告書(決算書)をきちんと持って行かない方についてです。
確定申告書は、言われなくても毎年、取引銀行へ持っていくものです。
その毎年一度を面倒くさがる。
2回も3回も催促され、ようやく出す……なんて論外です。
その時点で経営者の資質がないと言えるでしょう。
経営者として失格です。
「銀行とまともに付き合う気などないんだな」と見られます。

とくに確定申告は、担当者から催促される前に、貴方の方から「30分でもご説明に伺いたいのですがいかがでしょうか」とアポをとるべきです。
最終的に銀行へ書類を出さなければいけないのですから、催促されて出すのと、催促される前に自分から進んで出すのとでは印象が大きく違ってきます。

ちょっとしたことで圧倒的に差がついて、しっかり相手の立場になって考えられる人と見られます。

銀行の担当者は転勤で代わるものですが、必ず「顧客履歴」というもの引継ぎ書が作られます。その際に「だらしのない客」と申し送りされてしまいます。

「お金を借りる」というのは大変なこと。
そして「お金を貸す」のも大変なことなのです。

その点を不動産投資家は甘く考えている人が多過ぎるように感じます。
他の業界ではそんなこと絶対にありえません。
しっかりした会社ほど、社長や経理部長が自ら支店長を訪ね、担当者を交えて決算説明しています。
たとえ貴方に客付力があったとしても、決算書の説明ができなければ、銀行からの評価は得られません。

言い換えれば、それを“する”ことで目立ちます。
銀行というのは書類で動いている組織ですから、そこは見られるポイントになります。

面倒だと思わずに、「自分を知ってもらえるチャンス」「顔を覚えてもらえるチャンス」と考えて、しっかり信頼関係をつくっていきましょう。

【このコラムの著者】

菅井敏之

株式会社TSネッツ代表取締役
ファイナンシャルアカデミー ファイナンシャル戦略ゼミ 講師


1960年生まれ
メガバンク支店長として東京・横浜2ケ店を経験後、独立。
6棟78室の賃貸不動産・トランクルーム・太陽光発電・
カフェ(田園調布SUGER COFFEE)を経営。

銀行員としてお金を「貸す側」不動産投資家としてお金を
「借りる側」双方の視点を織り交ぜた講演やセミナーも行っている。

著書「お金が貯まるのはどっち!?」(アスコム)

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