佐藤益弘の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

中古マンションが新築マンションを供給数で逆転! 変化し出したマンション市場

いまさら聞けない、不動産投資のキホン

2月になり、昨年の年間データが出そろう時期です。
毎年、この時期には昨年の動向を確認し、今後の展開を予想すると良いでしょう。

そのような中で新しい流れが確認できました。

公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が発表した(1)「首都圏不動産流通市場の動向(2016年) 」と株式会社不動産経済研究所が発表した(2)「首都圏マンション市場動向2016年(年間のまとめ)」 によると、2016年に首都圏で販売された(1)中古マンションの成約件数=37,189件に対して、(2)新築マンション戸数=35,772戸。

統計以来、初めて中古マンションの成約件数が新築マンションの供給戸数をわずかですが(1417戸)上回りました(以下、図表参照)。

(単位:戸数)2012年2013年2014年2015年2016年
(1)中古マンション31,39736,43233,79834,77637,189
(2)新築マンション45,60256,47844,91340,44935,772

ここ数年、行政も空き家問題の対策もあり、中古住宅の流通に注力する政策を掲げていましたから、個人的にも予想はしていました。ただ、予想よりもかなり早かったというのが正直な感想です。
人口減少社会の下、恐らくこの傾向は、今後も大きく変わることはないでしょう。
今回は、このテーマで進めていきましょう。

中古マンションの成約件数 ~首都圏不動産流通市場の動向(2016年)について

まずは中古マンションの統計の話に入っていきましょう。
公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が発表した(1)「首都圏不動産流通市場の動向(2016年) 」によると、「中古マンション」の概要は以下の通りです。

・取引件数は37,189件(前年比6.9%増)で、2年連続で前年を上回り、2013年(36,432件)を超えて過去最高。調査対象とする全てのエリアで前年を上回り、特に、東京都区部では2ケタの増加率。

・1㎡当たり単価は首都圏平均で47.92万円(前年比5.9%上昇)で、4年連続の上昇。

・成約物件価格も3,049万円(前年比5.4%上昇)で、4年連続で上昇し、1994年以来、22年ぶりに3,000万円台となった。

中古マンションは4年連続で平均価格が上昇し、一昔前の新築マンションと同じくらいの価格(3,000万円台)になっています。
ただ、値上がりはしていますが、「3,049万円」と平均年収の6倍以内※となっており、昨今の住宅ローンの超低金利下で、節約などに励めば、十分、30~40歳代の現役世代でも購入できる価格帯です。

(※「総務省・家計調査(家計収支編)―平成28年(2016年)平均速報結果の概要―」、二人以上の世帯のうち勤労者世帯の家計収支:可処分所得:428,697円/月 からの倍率。以下の文章も同水準で計算)

平均価格を押し上げたり、平均専有面積がわずかながら縮小したりしている理由は、東京都区部など比較的成約価格が高く、床面積の少ないエリアの件数が増加したことが影響しているからでしょう。

新築マンションの成約件数 ~首都圏マンション市場動向2016年(年間のまとめ)について

続いて、新築マンションの動向を見てみましょう。
株式会社不動産経済研究所が発表した(2)「首都圏マンション市場動向2016年(年間のまとめ)」によると、「新築マンション」の概要は以下の通りです。

・年間供給は35,772戸(前年比11.6%減;2015年40,449戸)。東京都区部や都下は20%超の大幅な減少。2017年の供給予測は、38,000戸程度(対2016年比6.2%増)。

・契約率(初月)は68.8%(前年比5.7%減)で2009年以来の70%割れ。累積契約率は83.5%前年(前年比3.4%減)。

・平均価格は5,490万円(前年比0.5%減)で4年ぶりの下落。東京都区部6,629万円、都下4,985万円、神奈川県5,039万円、埼玉県4,255万円、千葉県4,085万円。

・1m2単価は79.3万円(前年比1.8%上昇)。全てのエリアで上昇。

中古マンション同様、ここ数年、価格が上昇していた新築マンションですが、市況の善し悪しの判断材料である契約率(初月)が70%を割ったことからもそろそろ頭打ち感が出ています。

その理由のとしては供給サイドの問題があります。
マンション用地として最適な土地が少なく買収額も高額になっていること、また、建築費や原材料費の高騰により、販売価格が高騰してしまい、売りづらい環境になっています。特に東京都では顕著だったはずです。
ただ、今年2017年の供給は38,000戸程度と昨年より増える予定ですから、販売時期を調整したケースも少なくないでしょう。

また、「平均価格」が減少したにもかかわらず、「1m2単価」は上昇したことを考えると、1戸あたりの床面積をできるだけ小さくし、販売価格を抑えたことがうかがえます。

購入サイドの問題もあります。
平均価格「5,490万円」は、平均年収の11倍弱となっています。超低金利下といえども、先行きが不透明な経済状況の下、購入層のメインである30~40歳代の現役世代にはかなり無理のある価格帯です。

変化を感じる、最近のご相談

事実、数年前から、マンション購入に関するご相談は、好立地の新築マンションだと・・・

○居住用としても購入価格が高過ぎて購入できない 
○投資用物件としても価格高騰で投資利回りがとても合わず、交渉のテーブルにすら乗らない

という状況です。

立地重視で居住用マンション購入を検討する場合、前述の通り、新築マンションを購入したくとも、現在の30~40歳=現役世代にとって現状の価格は高嶺の花で、かなり難しい状況です。
ですから、必然的にご相談内容も、新築マンション中心から中古マンション(+リノベーション)中心に移っています。
この点は、投資用マンションでも同様で、良い立地で値頃感のある投資対象になり得る中古マンションは非常に少なくなってきています。

ご相談をお受けして感じるのは、現在の30~40歳=現役世代のみなさんは、気持ちの上でも、現在の50~70代の方たちが持っている「新築偏重」という発想は少なくなっていることです。
むしろ、オーダーメイド感のある「自分らしい家を持ちたい」とか、「特徴のある投資物件で勝負したい」という価値観を大切にしているケースが多いです。

最近のこのような相談の傾向から、政府の施策もあいまって、今後は、中古・・・否、既存住宅が、居住用としても投資用としても主流になっていくのは間違いないことでしょう。
そのための制度改正や様々な業務スキームの変更等が、今後進んでいくモノと思われます。

また、今後、中古物件を視野に入れて投資する際には、少なくとも、上記データ(首都圏不動産流通市場の動向や首都圏マンション市場動向)など主要な統計に関して最新情報をキャッチして下さい。

【このコラムの著者】

佐藤益弘

東洋精糖(株)の不動産部門にてマンション開発・販売統括・管理支援などの主任を務める中、CFP®資格(FP)を取得。
オールアバウト・不動産投資(現土地活用)ガイドとして10年以上活動する中、延べ1000名以上の不動産投資家と触れ合い、成功事例&失敗事例を蓄積。

現在、お客さまサイドに立ったシンの独立系実務家FPとして、そのネットワーク確立のため、「マイアドバイザー®」を運営。
数少ない 金融商品販売を伴わない コンサルティング業務をメインとした~ お金の家庭教師≒教科書通りのFP として活動中。

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