佐藤益弘の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

民法改正と不動産投資(2)~民法改正で変わるポイント

いまさら聞けない、不動産投資のキホン

前回は、「どうして、今、民法改正なのか?」と言うことについてお伝えしました。

そんな中、先日(4月12日)、改正法案が衆院法務委員会で可決し、今国会で成立する運びになりました。

1.ここまでの議論の流れ

前回お伝えした通り、今回の改正は民法の中でも「債権」という部分の改正です。

「債権」とは「特定の人に対して何かしら行為をお願いできる権利」、つまり、「請求権」のことですから、世の中に沢山存在します。

関連したルールも多岐にわたるので、変更した際、私たちの生活に与える影響度も大きくなるのはご理解頂けると思います。

そもそも、この改正議論は民主党政権下、法相の諮問機関「法制審議会」にて2009年(平成21年)から始まり、2015年(平成27年)に改正案要綱が答申されるまで、足かけ6年の歳月が掛かりました。

対象項目も議論開始当時は500近くあったのですが、最終的に200項目超と半分になっています。
ただ、それでも200項目です。この点からも私たちの生活に対する影響度の大きさもご理解頂けると思います。

その後、閣議決定を経て、2015年の通常国会に提出されましたが、継続審議が続き、委員会での議論が始まったのが昨年2016年(平成28)11月からです。

そして、冒頭でお伝えした通り、2017年(平成29年)4月12日に、改正法案が衆院法務委員会で可決し、今国会で成立する流れになったということです。

2.大きな改正点

今回の民法改正で、ニュースで注目されているポイントは「借金」に関する事柄です。

(1)時効
お金を貸した側から見て、借金の返済を請求できる期間=時効は、今まで、ケースバイケースでした。例えば、飲食代≒「つけ払い」や宿泊料は1年、弁護士等専門家への報酬は2年、医師の診療報酬は3年、個人間の借金は10年という具合に1年から10年まで幅がありました。

つまり、一定期間、権利を行使しないとその権利自体を失ってしまうという「消滅時効」は、非常にわかりづらい状況でした。
今回の改正で、この時効の期間は、「請求権があると知ったときから5年(知らなかったときは請求できるようになってから10年)」と統一されます。

(2)利息
個人間で借金をした際、利息について取り決めをしていないことが多いと思います。

その場合は「法定利率」が利用されます。現行は年5%なのですが、長らく続いている低金利によりこの年5%という金利水準が非常に高くなってしまいました。そこで、金利を“年3%”に引き下げ、さらに3年ごとに市場の金利に合わせて見直す変動制にすることになりました。
ある意味、今後は以前の様に5%という金利にはもう出会えないのかもしれなせん。

3.不動産分野の影響は?

さて、いよいよ不動産投資に関係する改正についてお話しを進めていきます。

不動産投資を行う際に関係する改正を、物件を購入したり処分(売却)したりする局面、つまり「売買」をする段階 と投資、つまり「賃貸」をしている段階の2つに分けて、改正ポイントを整理していきたいと思います。

まず、不動産の売買の分野についてですが、今回の民法改正では広い領域で改正が行われます。

特に、不良品を購入した場合の責任関係を規定している「瑕疵担保(カシタンポ)責任」や「契約解除(キャンセル)」に関連する事柄、契約から引渡までの間に不可抗力で売買の対象物が滅失してしまった(≒壊れて使い物にならなくなってしまった)場合の責任関係に関する「危険負担」などが変更されます。

不動産”売買”に関わる改正項目

一方、不動産の賃貸(貸借)の分野については、今まで判例などで積み重ねた事実を法律に定めて整理をしたという改正になります。

賃貸契約時に預ける「敷金」については今まで規定されていませんでしたが、今回、規定されました。また、退去時にトラブルの多い「修繕」や「原状回復」に関する事柄も規定されます。

この中で最も注目すべき改正部分は、「保証」に関する改正です。10年ほど前の貸金業法改正により変更された部分ですが、今回の改正でより一層厳格化されました。

詳細は後日お伝えしますが、この改正により、賃貸借契約時に連帯保証人を取ることは事実上できなくなります。特に借家契約時に大きな影響が出るモノと思われます。

不動産”賃貸”に関わる改正項目

民法が誕生した120年前は、日本人も今ほど権利意識は持っていなかったでしょう。また、法律が何たるか?も理解していない人が多かったはずです。
ですから責任(権利義務)関係についても「法律で定めていた内容を基準」に考えていました。

今回の改正は、法律基準の発想を「個々の契約で定めた責任基準」に変えるという改正になります。

ですから、今後はより一層、契約重視の社会になっていくでしょう。

次回以降、「売買」「賃貸(貸借)」の順番で詳細なお話しを進めていきたいと思います。

【このコラムの著者】

佐藤益弘

東洋精糖(株)の不動産部門にてマンション開発・販売統括・管理支援などの主任を務める中、CFP®資格(FP)を取得。
オールアバウト・不動産投資(現土地活用)ガイドとして10年以上活動する中、延べ1000名以上の不動産投資家と触れ合い、成功事例&失敗事例を蓄積。

現在、お客さまサイドに立ったシンの独立系実務家FPとして、そのネットワーク確立のため、「マイアドバイザー®」を運営。
数少ない 金融商品販売を伴わない コンサルティング業務をメインとした~ お金の家庭教師≒教科書通りのFP として活動中。

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