佐藤益弘の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

空室率(空き家率)の不思議

いまさら聞けない、不動産投資のキホン

不動産賃貸経営をする際に、収入の源泉となるのが、賃料です。
ただ、空き室になってしまった場合、一銭も収入が入らない状況になるため、死活問題となります。

ですから、一棟アパマンで行うにしても、ワンルームマンションなどで行うにしても不動産賃貸経営を検討したり、行っている場合、この「空家率(空き家率)」は、常に確認すべき指標になります。

ただ、最近、発表される「空室率」ですが、数値が10%台の時もあれば30%台の時もあります。

ご相談や講演をしていてもお客さまから「一体どちらが正しいのか?」あるいは「間違っているのか?」教えて欲しいという問い合わせを頂きます。

今回はこのテーマで進めたいと思います。

ニュースから見える2つの空き家率・・・

ニュース1
総務省統計局が5年に1度調査&公表している「住宅・土地統計調査」 によると・・・

1)空き家数は820万戸と、5年前に比べ、63万戸(8.3%)増加
2)空室率(総住宅数に占める割合)は、13.5%と0.4ポイント上昇し、過去最高
となっています。

出典:総務省統計局「住宅・土地統計調査」(2013年・平成25年)

出典:総務省統計局「住宅・土地統計調査」(2013年・平成25年)

それに対して・・・

ニュース2
日本銀行が半年に1回発表している「金融システムレポート」 (2016年10月号)によると・・・

1)地域金融機関で高い伸びが続いている貸家業向け貸出については、このところ一部の地域で賃貸住宅市場の空室率が高まっている
ということ。

その根拠となる「空室率」に、トヨタ自動車のグループ企業である株式会社タスが公表している「タス空室インデックス(空室率TVI)」が 採用されています。

出典:日本銀行「金融システムレポート」(2016年10月号)P39より抜粋

さて、どちらが、正しいのでしょうか? また、どちらが間違っているのでしょうか?

例えば、ニュース1の場合・・・
此処に20軒(全て4部屋ずつ)の単身者用住宅(マンションやアパート)があったとします。
つまり、全部住めても80部屋80人分の住宅です。
このうち5軒で2部屋ずつの空き部屋、つまり、10部屋10人分の空室があったとします。

ニュース1:総務省統計局が公表している「住宅・土地統計調査」 の空室率は、賃貸物件だけでなく、いわゆる実家の空き家(その他空き家)等も含めた“全体から見た”空室率です。

つまり、例の場合、全体の部屋数である80部屋のうち空き部屋がどれくらいあるか?という割合を示したモノです。

空き部屋数:10部屋 ÷ 全体の部屋数:80部屋 =12.5%となります。

恐らく、「空室率」といえば、こちらをイメージされる方が多いと思います。

では、ニュース2の場合は・・・
みなさんが大家さんになった気持ちで考えましょう。
手持ちの物件に空きができれば、当然、すぐに募集をしますよね?

その時、気になるのが、他の物件との兼ね合い≒募集状況です。

なぜなら、周辺の物件でどれくらい募集募集しているか?=空室がどれくらいあるか?という状況を知ることは、どれくらいのライバル物件があるのか?を知ることになりますから、とても気になることです。

つまり、ニュース2:株式会社タスが公表している「タス空室インデックス(空室率TVI)」は、当事者の“競争率”を意識した空室率になります。

例えば、先程のケースで、募集している物件数は10部屋ですが、この募集している物件5軒の総部屋数は20部屋です。

この募集しているライバルの物件を基準に空室がどれくらいあるか?という割合を示した方が、競争するという観点からは「空室率」が明確ということになります。

空き部屋数:10部屋 ÷ 募集している物件の部屋数:20部屋 =50%となります。

賃貸物件でも、“満室になっている物件を除いた”「空室率」になりますから、ニュース1に比べ分母が小さくなるので、算出される空室率も高くなります。

では、どちらが正しいのでしょうか?

同じ事例でも「12.5%」と「50%」では、数値が4倍も違い、イメージも大分違ってきます。

では、どちらが正しいのでしょうか?

実は、どちらも正しい=間違っていないわけです。

お伝えしたように、視点=基準を何処に置くか?によって、見え方が分かってくるということです。

ですから、情報を発信する宅建業者や建築業者などが空室率を低く見せ、大家さんを安心させようと思えば、ニュース1の全体から見た空室率を伝えるでしょう。

逆に、空室率を高く見せ、大家さんを不安にしようと思えば、ニュース2の競争率から見た空室率を伝えるでしょう。

要は、提供する宅建業者や建築業者のスタンスにより、使い分けできる指数なのです。

注意すべきコト

この様に間違った情報ではないのですが、情報提供している側が自分たちにとって都合の良い情報のみを意図的に提供しているケースは後を絶ちません。

私たちは、情報提供している人・会社がどのような立場でどのような状況で情報提供しているのか?意識しながら、フィルターを掛けるように理論武装する必要があります。

この様な細工に騙されないようにしましょうね。

例えば、ライフプランなど揺るぎない自分自身の基準を持っていると、混乱したり、フェイクに惑わされることはなくなるでしょう。

【このコラムの著者】

佐藤益弘

東洋精糖(株)の不動産部門にてマンション開発・販売統括・管理支援などの主任を務める中、CFP®資格(FP)を取得。
オールアバウト・不動産投資(現土地活用)ガイドとして10年以上活動する中、延べ1000名以上の不動産投資家と触れ合い、成功事例&失敗事例を蓄積。

現在、お客さまサイドに立ったシンの独立系実務家FPとして、そのネットワーク確立のため、「マイアドバイザー®」を運営。
数少ない 金融商品販売を伴わない コンサルティング業務をメインとした~ お金の家庭教師≒教科書通りのFP として活動中。

他のコラム著者も見てみる

不動産投資家によっても違いは様々。
LIFULL HOME'Sが厳選した不動産投資家や専門家のコラムから色々な不動産投資スタイルを吸収してライバルに差をつけよう!

金井規雄

シリーズ連載: アメリカ不動産投資のすべて

最新コラム: その他地域

橋本秋人

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

最新コラム: データから読み取る今後の不動産市場・その2

LIFULL HOME'S PRESS

シリーズ連載: HOME'S PRESS編集部

最新コラム: 新たに始まる「住宅ストック循環支援事業」は特色のある制度に

田中圭介

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

最新コラム: 【No.20】 各国の不動産投資の現状 〜ベトナム編 その 4 ホーチミンの不動産で狙うべき場所は?

菅井敏之

シリーズ連載: 誰も教えてくれなかった「銀行」~その傾向と対策~

最新コラム: 【第四回】必ず行っておきたい、銀行との「コミュニケーション」

LIFULL HOME'S不動産投資フェア

シリーズ連載: 2017/9/23 LIFULL HOME'S不動産投資フェア出展企業インタビュー

各出展企業インタビュー記事はこちら

LIFULL HOME'S マーケティング部 データ編集担当

シリーズ連載: ユーザーの本音から探る不動産投資

最新コラム: 将来性を秘めた街 『都心』エリア

鈴木 学

シリーズ連載: 海外物件の管理

最新コラム: 第六回「海外管理会社の選び方、換え方」

石渡 浩

シリーズ連載: 不動産投資に有益な融資を受けるための知識

最新コラム: 第4回 税引後キャッシュフロー偏重の盲点 銀行は決算書のここを見る(後編)

北野 琴奈

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

最新コラム: REIT、昨年からの価格低迷脱却なるか?!

猪俣淳

シリーズ連載: 猪俣淳の「不動産投資の正体」

最新コラム: かぼちゃの馬車問題の処方箋

右手 康登

シリーズ連載: CPM®流「相続・不動産経営 実践術」 右手 康登のコンサル「みぎからひだりへ」

最新コラム: 島国の中での常識 VS グローバルスタンダードを知ることの重要性

末永 照雄

シリーズ連載: 失敗しない不動産投資の法則

最新コラム: アジア新興国での不動産投資~タイ~

寺尾 恵介

シリーズ連載: 悩める投資家への「目からウロコが落ちる」アドバイス 誌上チャレンジ面談

最新コラム: 12.中古アパートはこれからの主役になるか?

伊藤 英昭

シリーズ連載: 伊東英昭氏の不動産投資コラム

最新コラム: vol.13 マンションと高級車

不動産投資・収益物件を検索するなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】賃貸経営[マンション経営・アパート経営]をお考えなら、まずは掲載中の投資物件[投資用マンション・売りアパート・一棟売りマンション]を地域や価格帯、会社で検索して、価格や想定利回りで絞り込み!気になる投資物件を見つけたら物件の周辺情報を調べたり、収益シミュレーションを使って実際の運用をイメージ出来ます。不動産会社へはメールか電話でお問い合わせ・相談が可能です(無料)。不動産投資による資産運用をお考えなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】

ページトップへ