今回は不動産の売買契約におけるチェックポイントについて説明します。
| 売買契約書に一旦サインをすると、すべての約束事は売買契約書にもとづいて処理、実行されます。 契約書は売主、買主間の不動産売買における約束事を書面にし、互いの意思確認の意味で当事者が記名・押印します。売買契約書には売買代金や引渡しの時期などのように最低限記載しなければいけない事項に加え、契約違反した場合の約束事を書面に記載します。 売主買主ともに不動産の売買に伴う約束を実行できれば特に問題ありません。また誰しも、約束を破るという前提で契約はしません。しかしながら故意・過失を問わず、約束が守られないことも、少なからず発生する可能性があります。その時になって売買契約書が大きな意味をなすのです。 売買契約書は「互いの約束を守る」という確認の意味よりも、「万一、約束が守られなかった場合どうするか」ということに重点を置いてチェックすべきです。 売買契約書でチェックするのは概ね以下の項目です。 ![]() |
売買対象物件の表示、面積など |
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| 売買契約書には売買の対象となる不動産の表示を記載しなくてはなりません。
物件を特定するために、土地建物ともに不動産登記簿に記載された事項を記載します。 |
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| ●チェックポイント |
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また、土地の面積については不動産登記簿上の面積(公簿面積)と実際に測量をした場合の面積(実測面積)と異なる場合がありますので、公簿面積で契約するか実測面積で契約するか、また公簿面積で契約した上で引渡しまでの間に測量を実施し、面積の増減が出た場合には実測面積で代金の精算をするのか、面積の増減があっても一切精算しないのか、などを契約書において明確にしておくことが望ましいといえるでしょう。 |
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売買代金の額、支払い時期などの定め |
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| 対象不動産の売買代金の総額、売買代金の内訳と支払い方法についても契約書にて明記します。内訳は土地、建物、建物にかかる消費税になります。
建物の価格は、消費税の額や不動産所得を計算する上での税務上のコストである減価償却費の額に影響をおよぼします。 売買代金の支払い時期は、一般的に売買契約締結時に手付金を支払い、物件の引渡しおよび所有権移転と同時に売買代金から手付金を差し引いた残額を支払う、というように2回に分けるのが一般的です。手付金の額に特に定めはありませんが、売買代金の5~10%前後が一般的のようです。 |
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しかし、多額の現金を用意すること、持ち歩くことは危険を伴いますので、金額が大きくなる場合は現金と同じ取り扱いとなる「銀行振り出し小切手」(預金小切手)にて支払います。 預金小切手は振出人(小切手を発行し現金に換える最終責任者)が銀行ですので、どこの銀行に持ち込んでもすぐに現金に換えることが可能です。(「銀行渡り」の線が引かれている場合は受取人の取引銀行) 同じ小切手でも個人や企業が振出人となる小切手(パーソナル小切手)と預金小切手とは異なりますので確認が必要です。 |
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契約解除の定めと違約金の額の定め |
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不動産取引においては個々の事情により損害の額を算定することが困難であるため、通常は売買代金の20%以内で違約金を定めます。(不動産会社が売主の場合は違約金の額は売買代金の20%を超えてはならないものとされています) この場合、仮に相手方の損害が20%を超えるような場合でも、逆に20%を下回る場合でも損害の程度に関係なく違約金の額は売買代金の20%となります。 |
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危険負担 |
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一般的には「売主がその危険を負担する」ことが契約書でうたわれていますが、明確にしておかないと万一の場合トラブルになりかねませんので注意が必要です。(契約書に明記しなければ買主がその危険を負担することとなります) |
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瑕疵担保責任 |
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| 購入した不動産に欠陥(これを瑕疵とよびます)が見つかった場合、その責任を誰が負うのか、というのが「瑕疵担保責任」です。
瑕疵担保責任の取り決めを明確にしなければ後日、欠陥が見つかった場合にトラブルになりかねませんので注意が必要です。 個人間のルールを定めた民法では、買主が瑕疵を発見した日から1年間は売主に対して損害賠償を請求できることとなっておりますが、不動産の場合、売買契約書によって原則、当事者間で自由に取り決めをすることができます。 しかし、売主、買主の属性によって以下のように扱いが異なりますので注意が必要です。 |
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抵当権等の負担の除去抹消 |
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抵当権を抹消するためには原則、借入金の全額を返済しなければいけませんので、通常は売買代金を充当して、売買代金の受領と同時に抹消してもらう事を契約書に明記することが必要です。 また、抵当権以外でも、不動産を運用する上で支障がでるような権利がその物件にある場合はすべて解消してもらうよう、併せて契約書にて約束します。 |
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地位の承継、各種負担金や精算金の定めなど |
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不動産の場合は固定資産税、都市計画税などの税金や管理費、光熱費、賃料、敷金や保証金などを精算します。 精算の取り決めは契約書により明記し、当事者間で自由に決めて構いませんが、通常は物件の引渡しの日を境に、前日までの分は売主の負担または収入とし、引渡し日以降の分は買主の負担または収入とするのが一般的です。 |
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今回は不動産売買契約における留意点をご説明しましたが、不動産の売買契約は常に「万一の場合どうするか」ということを念頭において入念にチェックする心構えが必要です。
不安な要素がある場合は契約書に明記し、納得するまで契約書を何度でも修正する必要があります。
これまで26回にわたり不動産投資の基礎からさまざまなリスク、そして購入にいたるまでご説明してまいりましたが、不動産投資は自助努力により多くのリターンが望める可能性がある反面、非常に高額なリスク商品であり、投資の最終責任は自分です。
不動産投資、不動産取引について少しでも多くの事を学び、研究し、後悔しない資産運用ができるよう、自分ごととして努力することが投資成功の鍵となります。今回の連載が少しでも皆様の参考になりましたら幸いです。
略歴
- 昭和44年
- 青森県出身
- 平成6年
- 公認会計士・税理士、山田淳一郎事務所(現税理士法人山田&パートナーズ)入所後、グループ会社である株式会社ユーマック(現TFP不動産コンサルティング)に出向。
おもに土地資産家に対する相続対策、底地借地の権利調整、物納、不動産投資、収用に伴う行政との交渉、買換え、土地活用、空室相談、固定資産税の軽減など、土地資産家の持つ、ありとあらゆる問題解決のコンサルティングを行う。また日本特有の借地、底地の問題に着目し、底地専門に投資する私募ファンドの組成に携わり、ファンドマネージャーの一員として1年間に13%の高配当を実現。 コンサルティング業務の傍ら、中立公正な不動産知識情報を配信するサイト「ホームナレッジ」を作成、運営し、コンテンツの内容が評価され多くのポータルサイトにコンテンツを提供する。 実務経験を生かし、FPの講師や金融機関・不動産会社などに対するコンサルティングセミナーや勉強会を数多くこなした。 平成14年同社取締役就任、平成16年8月同社退社平成16年11月ナレッジバンク株式会社を設立、代表取締役に就任
講演
りそな銀行、埼玉りそな銀行、三井住友銀行、野村證券、いちよし証券、東京海上火災保険、積水ハウス、兵庫県宅建協会、日税不動産、NPO法人日本地主家主協会 など
著書
大和證券資産管理読本、税会計法務の羅針盤(大蔵財務協会)共著、FPマニュアル96~98年(きんざい)共著 など






