橋本秋人の不動産投資コラム

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

「かぼちゃの馬車」から学ぶサブリースとの付き合い方

首都圏を中心に女性専用のシェアハウス「かぼちゃの馬車」を展開しているスマートデイズが、今年1月、オーナーに対してサブリース賃料の支払い停止を発表したことが世間を騒がせています。
同社は昨年10月にもオーナーへの賃料改定を行っており、同社のシェアハウスを購入したオーナーが集団訴訟に向けて動き出しているとの報道もあります。

同社が運営しているシェアハウスの入居率の低さ(=市場とのミスマッチ)にも大きな問題がありそうですが、今回は、多くのオーナーが不動産投資をするにあたり、決断を強く後押ししたであろうサブリースについて考えてみたいと思います。

サブリースは詐欺的システムなのか?

サブリースとは、不動産会社が賃貸オーナーから全住戸を一括で借り上げて第三者に転貸するシステムで、一括借上げ家賃保証とも呼ばれています。オーナーは全ての部屋をまとめて不動産会社に貸すわけですから、入居者の有無を心配する必要がありません。入居者がいてもいなくても毎月一定額が不動産業者から支払われるからです。
また入居者からの修理依頼や苦情も、入居者にとっての大家である不動産会社に行くことになり、直接オーナーがクレーム処理等をする必要もありません。

さらに、サブリースが相続税対策として有効なことはよく知られています。
土地の評価において、賃貸の入居率が100%であれば、貸家建付地としての評価減が最大で受けられますが、入居率が下がる割合に応じて評価減は減っていき、入居率が0%になると評価減は全く受けられなくなってしまいます。しかしサブリースを利用すると不動産会社が全ての部屋を借上げるので、たとえ空室があったとしても入居率100%として評価減を受けることができるのです。

ところがサブリースについては、今回の問題だけではなく、以前からトラブルが後を絶ちません。

スマートデイズ以外にも、昨年はレオパレスが同社の賃貸オーナーから複数の訴訟を受けていますし、大東建託も過去に借上賃料の値下げをめぐる裁判で争っています。(大東建託が勝訴)
筆者も、以前、大々的に「永久保証」を謳っていた会社が、結局倒産してしまった事例を目にしています。

このような問題が報道されると、一部にはサブリース自体が詐欺的なシステムと言い切る人たちも出てきます。

サブリースの仕組みと本質を理解する

しかし、そもそもサブリースはそれほど問題のあるシステムなのでしょうか。
筆者は、サブリースは、きちんと理解し、上手に使えば有効なシステムであると考えています。
問題は、マイナスの情報は伝えたがらない営業側と、悪い情報は聞きたくないオーナー側の姿勢にもあるのではと考えています。
オーナー側も、
・サブリースは賃料水準を保証するものではない。
・契約にはさまざまな取り決めや特約があるので注意する。
という基本を理解した上で、慎重な事業計画のもとに不動産投資を検討していただきたいと思います。

私も会社員時代に長くアパートの営業をしてきましたが、お客様に必ず伝えていたのは、「サブリース会社はボランティアではない」ということでした。
つまり、入居者があって初めてオーナーに賃料を支払っても利益が出るわけで、入居の見込めないエリアや、間取りと市場にミスマッチがある場合、サブリースができないのは当たり前のことです。

しかし、中には契約を取らんがために、本来入居の厳しいエリアでも無理に借上げを行ったり、他社との競合に勝つために、賃料を無理に釣り上げる会社も見受けられました。
現に、私がお断りしたお客様の土地に、その後別のメーカーの賃貸住宅が建設されていたことも少なからずありました。(当然それらの物件は空室が目立っていました)

今回も、スマートデイズの説明会に参加し、事業内容に危うさや怪しさを感じ、計画をストップした人もいると思います。
長い期間の経営をするにあたって信頼できる会社を見極める目を養うこともオーナーの重要な素養です。
また、オーナー側もサブリースの提示賃料が相場に照らして本当に適正な金額かを、自ら調べてみることくらいはする必要があると思います。
そのために必要なツールも数多くあります。
(LIFULL HOME’S不動産投資の「見える!賃貸経営」はたいへん充実したツールで、筆者もよく利用しています)

高い金利の融資を使ってまで不動産投資は行なわない

もうひとつ、今回の騒ぎでスマートデイズと同様、非難が集中したのが、オーナーに融資をした銀行でした。
そこで、銀行融資についても少し触れておきますが、原則は「借りたものは返す」という当たり前のことにつきます。
そもそも高い金利でしか融資が受けられないのは、物件やオーナーの属性にも問題があるはずです。私は、この低金利の時代に金利4%以上の融資しか受けられないのであれば、敢えてその投資は進めるべきではないと考えています。(コラム内「借りやすい銀行よりも金利の低い銀行を選ぶ」参照)
返済比率も賃料の50%程度に抑えることが鉄則と考えます。オーバーするのであれば、それは金利が高すぎる、自己資金が少なすぎる、などの理由があり、改善できないのであれば、無理に計画をすすめるべきではありません。
賃貸経営に特別なことはありません。必要なのはオーソドックスな考え方です。
結局、結果の良し悪しも、すべては自分に戻ってくるという気持ちで望むことが、結果的にトラブルを最小限に抑えることに繋がります。

【このコラムの著者】

橋本秋人

ファイナンシャル・プランナー 不動産コンサルタント
1961年東京都出身
早稲田大学商学部卒業後、住宅メーカーに入社。

長年、顧客の相続対策や資産運用として賃貸住宅建築などによる不動産活用を担当。
また、自らも在職中より投資物件購入や土地購入新築など不動産投資を始め、早期退職を実現した元サラリーマン大家でもある。

現在は、FPオフィス ノーサイド代表としてライフプラン・住宅取得・不動産活用・相続などを中心に相談、セミナー、執筆などを行っている。

保有資格:
・ファイナンシャル・プランナー(CFP®認定者・1級FP技能士)
・公認不動産コンサルティングマスター 
・宅地建物取引士
・住宅ローンアドバイザー
・福祉住環境コーディネーター2級
・終活アドバイザー(終活アドバイザー協会)

平成27年度日本FP協会「住宅活用相談」相談員
平成29年度日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員

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