橋本秋人の不動産投資コラム

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

人気アパートのつくり方①少しの工夫が入居率を上げる

しばらくマクロ的なテーマを中心に取り上げてきましたので、今回からは久しぶりに、不動産投資家+FPの立場から、「成功する賃貸経営」について、具体例もご紹介しながら筆者なりの考え方をお伝えしていきたいと思います。
特にこれから不動産投資を考えている皆さん、すでに賃貸経営をしているけれど経営状況を見直したい方にとってヒントになれば幸いです。

本コラムの初回でご披露しましたが、筆者はサラリーマン時代に不動産投資を始め、早期退職でサラリーマンを卒業した今でもアパートオーナーを続けています。
メガ大家さんと言える規模のアパートオーナーではありませんが、それでも賃貸経営だけでそれなりにゆとりのある生活を営める程度のキャッシュフローは確保しており、現在は実務経験を活かしながらセミナーや執筆、不動産の相談、実行支援をしています。

ハウスメーカーでお客様の不動産活用のお手伝いを30数年、自らも賃貸経営を始めてから12年が経ちます。
その間、マクロでは大きな社会の波や経済情勢の変化、ミクロでも周辺環境の変化や物件自体の老朽化などさまざまな事象に対応しながら現在に至っています。
初めてお客様に建築していただいたアパートは築後33年を経過しましたが、今も元気に稼働しています。
このように長く不動産投資に関わっている経験から得た、賃貸経営で成功するポイントがあります。

成功のポイントは3つです。

◎投資判断の原則を守る
◎入居率を維持するための工夫をする
◎管理のツボを押さえる

3つのポイントのうち、「投資判断の原則を守る」ことについては、これまでのコラム「FP的不動産投資の考え方①~④」でもお伝えしていますので補足に留め、「入居率を維持するための工夫をする」「管理のツボを押さえる」についてお伝えしていきます。

■入居があっての賃貸経営
賃貸経営において最も重要なポイントは何といっても入居率です。
なぜなら、賃貸経営の源は収入だからです。いくら魅力的な事業計画を立て、賃貸経営をスタートしても、肝心の入居者がいなければ、その計画は絵に描いた餅になってしまいます。
アパートオーナーにとって、どのように魅力的なアパートをつくり、どうしたら入居者に選んでもらえるかを真剣に考えることはとても重要です。

■「人気の高いエリア」が必ずしも良い立地とは限らない
まず始めに立地について触れておきます。
賃貸経営に立地は重要と言われていますが、もちろんその通りです。
不動産投資セミナーなどでも、「今後生き残るアパートは、山手線の駅まで15分以内の駅で駅から徒歩7分以内の立地」というような話を聞きますし、インターネットや雑誌などでは「住みたい駅ランキング」の特集も目にします。
当然一理あるのですが、実は世の中で言われている人気の高いエリアには、多くの不動産投資家が注目するために競合物件もたくさん存在しますし、新規の供給も多いため競合も増えます。また、同エリア内でも立地条件の優劣があり、条件の劣る物件は不利になります。
つまり、人気の高いエリアにある物件でも勝ち組と負け組があるということです。
さらに、一般的に人気の高いエリアは物件価格も割高になりがちで、利回りが低くなる傾向があります。

一方、地方の不動産投資で成功しているアパートオーナーも数多くいます。
筆者が所有する物件の多くも、地方ではありませんが、いわゆる「人気エリア」ではありません。
それでも高い入居率が維持できているのは、入居に重要なのは立地だけではないということです。
肝心なのは、エリア内での入居競争に勝つことです。
今後人口減少により、現在の入居需要が70%に減ってしまうかも知れません。それでも70%に減少した入居者の中で選ばれる物件に自己の所有物件が入っていれば良いのです。
そのために重要なのは、いかに魅力のある物件づくりをするかです。

■プラン・レイアウト・設備仕様の工夫
ポイントは「物件の差別化」と「第一印象」です。
例えば、筆者の所有物件では、次のようなプラン・設備仕様を採用してきました。

ちょっとしたことでも入居者の目を引くことができ、あまり予算をかけずにできることもたくさんあります。
これらは特に新築物件では採用しやすいですが、もちろん中古物件でできることもあります。(次回ご紹介します)

なぜ差別化と第一印象が大切なのでしょうか?
ほとんどの入居者は、入居を決める際に、複数の候補の中から最も気に入った部屋を決めます。
そのためいくつもの物件を内覧しますが、多くの部屋を見ているうちに、どれがどの物件だったか分からなくなってしまうことも少なくなりません。
しかし、強い印象が残っている物件のことは覚えています
筆者も入居を決めてくれた不動産会社の営業の人から、
「他社でも内覧をしたけれど、やっぱりあの丸いお風呂のアパートが良い、と戻ってきてくれた」
「浴室テレビがあるので、入浴が楽しそう、という理由で決めてくれた」
などという報告を受けることがあります。
実際には入居者は、ほとんどシャワーだけで丸い浴槽には浸からない人かも知れないし、入浴時にテレビをほとんど見ない人かも知れません。それでも内覧の際には、大きな浴槽でくつろいでいる自分、テレビを見ながらお風呂ライフを楽しんでいる自分の姿を想像したりするのです。

「差別化」は不動産会社の賃貸営業の人たちの「売りのポイント」をつくることでもあります。
不動産会社の賃貸営業の人たちも入居を決めることは重要な仕事なので、頑張ってくれています。しかし、いくら頑張ってもなかなか入居が決まらない部屋もあります。
一方で「売りのポイント」のある部屋は案内時の決定率も高く、結果的に営業担当者にも決めやすい物件として認識してもらえます。そうなると退室しても、次の入居者募集のモチベーションが上がり、結果的に空室期間も短くなる傾向になります。

アパートオーナーにとって大事なことは、「アパートは商品」という考え方です。良い商品を提供しなければ、お客様である借り手は選んでくれません。
不動産投資というと、どうしても立地、予算、利回りに目が行きがちですが、それ以外のことに対しても思考停止に陥ることなく、アパートオーナーとしてお客様に選んでもらえる商品を提供するという気持ちを常に持つことが大切です。

【このコラムの著者】

橋本秋人

ファイナンシャル・プランナー 不動産コンサルタント
1961年東京都出身
早稲田大学商学部卒業後、住宅メーカーに入社。

長年、顧客の相続対策や資産運用として賃貸住宅建築などによる不動産活用を担当。
また、自らも在職中より投資物件購入や土地購入新築など不動産投資を始め、早期退職を実現した元サラリーマン大家でもある。

現在は、FPオフィス ノーサイド代表としてライフプラン・住宅取得・不動産活用・相続などを中心に相談、セミナー、執筆などを行っている。

保有資格:
・ファイナンシャル・プランナー(CFP®認定者・1級FP技能士)
・公認不動産コンサルティングマスター 
・宅地建物取引士
・住宅ローンアドバイザー
・福祉住環境コーディネーター2級
・終活アドバイザー(終活アドバイザー協会)

平成27年度日本FP協会「住宅活用相談」相談員
平成29年度日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員

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