橋本 秋人の不動産投資コラム

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

改正入管法は賃貸オーナーにとって朗報となるか

2018年12月8日、出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)が成立し、2019年4月から施行されます。深刻な働き手不足を解消するために、今後5年間で最大約34万人の外国人労働者を受け入れることになります。受け入れる業種については、介護、建築、外食、宿泊、農業など14業種が対象となります。
労働者不足に悩んできた業界にとっては朗報となりそうですが、今回の改正が不動産賃貸オーナーにとって、どのような影響があるのか整理してみました。

入管法の改正によるメリット

(1)入居率のアップ
外国人労働者の受入れにより、新たな入居需要が生まれ、入居率の低下に歯止めがかかることが期待されます。
外国人労働者を受け入れるためには、住宅の確保が必要になります。住宅の確保に当たり多くの受け入れ企業では、コスト面から社有の社宅・寮を用意するのではなく、民間の賃貸住宅を借上げて労働者に住まわせることになるでしょう。
そうなれば、これまで人口、世帯数の減少によって入居率の低下に悩まされてきた賃貸オーナーにとっては、空室が解消し入居率アップにつながることが期待されます。

(2)法人借上げによる安心感
賃貸契約は多くの場合、受け入れ企業との法人契約になると思われます。それにより滞納不安の解消や、緊急時の連絡先の明確化ができ、オーナーは安心して賃貸契約を結ぶことができるでしょう。

入管法の改正によるリスク

(1)地域による入居需要の格差
今回の改正により、多くの外国人労働者が在住するとは言っても、全国に400万室以上あると言われる賃貸物件の空室数から見ると10%にも満たないものです。さらに全国には300万戸以上の空き家もあり競合物件となり得ます。改正入管法の対象となる業種の受け入れ企業がある地域、たとえば介護施設、外食店舗、建設現場などが多い地域では、外国人労働者の増加が期待できますが、そうでないエリアではほとんど期待できません。
入居需要についても働き場の有無や多寡により地域格差が生じることが予測されます。
政府は外国人労働者の東京など都市部への集中を避け、地方への分散を図りたいようですが、今後どのような施策が講じられるか注目したいところです。

(2)入居トラブル、近隣苦情
法人契約による安心感があるとは言え、生活習慣が異なる外国人が入居することにより、さまざまなトラブルが発生することも考えられます。
現在でも生活習慣や食事の違いから、ごみ捨てや臭い、騒音などが原因で、他の入居者や近隣から苦情が出ることがあります。
特に、日本人と外国人が混在するアパートでは、日本人と外国人との間でトラブルになるケースも多くあり、今後外国人入居者とのトラブルにより、日本人入居者が退去してしまうケースも考えられます。
一方で、日本の生活習慣を理解し、馴染もうとしている外国人も増えていますし、日本人以上にマナーの良い外国人もいます。
今後増加する外国人入居者に対して、日本の生活習慣や生活情報をきちんと伝えることと入居後のフォローが重要な課題になります。

(3)オーナーの外国人入居者への拒否反応
外国人入居者に対してネガティブな考えを持っているオーナーも少なくありません。それは、外国人に対するイメージや過去の経験からくるものと思われます。
それでも、今後、国内の外国人居住者の割合はますます増えることは予測されており、外国人の入居を避けて賃貸経営を行うことは難しくなるかもしれません。
そのためオーナーも外国人入居者を拒否するのでなく、リスクを下げるための工夫をしながら、外国人入居者も許容できる耐性を持つことが必要になるでしょう。

入管法の改正は賃貸オーナーのビジネスチャンス

結論として今回の入管法改正は、全体的には賃貸オーナーにとってビジネスチャンスの拡大につながると考えられます。

ただし、外国人入居者の受け入れ態勢や生活環境の整備などについて受け入れ企業や管理会社とも十分に打合せをしながら、少しでもリスクを下げることが重要です。
上手にリスクを下げながら、今後増加する外国人入居者をうまく取り込むことが、生き残る賃貸経営のひとつのポイントになるでしょう。

【このコラムの著者】

橋本 秋人

ファイナンシャル・プランナー 不動産コンサルタント
1961年東京都出身
早稲田大学商学部卒業後、住宅メーカーに入社。

長年、顧客の相続対策や資産運用として賃貸住宅建築などによる不動産活用を担当。
また、自らも在職中より投資物件購入や土地購入新築など不動産投資を始め、早期退職を実現した元サラリーマン大家でもある。

現在は、FPオフィス ノーサイド代表としてライフプラン・住宅取得・不動産活用・相続などを中心に相談、セミナー、執筆などを行っている。

保有資格:
・ファイナンシャル・プランナー(CFP®認定者・1級FP技能士)
・公認不動産コンサルティングマスター 
・宅地建物取引士
・住宅ローンアドバイザー
・福祉住環境コーディネーター2級
・終活アドバイザー(終活アドバイザー協会)

平成27年度日本FP協会「住宅活用相談」相談員
平成29年度日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員

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