橋本 秋人の不動産投資コラム

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

人気アパートのつくり方(4)~不動産投資のもうひとつのリスク~

不動産投資のリスクには、一般的に空室、滞納、賃料下落、修繕費、金利上昇のリスクなどがありますが、もうひとつ忘れてはいけないのが自然災害リスクです。

昨年は日本をさまざまな天災が襲いました。大阪と北海道で強い地震があり、また台風や豪雨により各地で浸水、土砂災害、大規模停電など大きな被害が相次ぎました。それらを象徴するように、昨年の「今年の漢字」には「災」が選ばれています。

自然災害では、賃貸住宅が被害を受けるケースも少なからずあり、2016年の熊本地震における学生アパートの倒壊や2014年に広島県のアパートを襲った土石流で尊い命が失われたという報道は記憶に新しいところです。

自然災害がもたらすオーナーのリスク

投資物件が自然災害に襲われた場合、オーナーにとってどのようなリスクが想定されるのでしょうか。

■物件の倒壊、損傷
建物が倒壊すると賃貸を継続することはできなくなります。
賃貸が継続できる場合でも修復費用がかかり、被害の程度によっては修復費用が莫大になる可能性もあります。また、修復期間中は部屋の賃貸ができなくなったり、家賃の値下げをするケースもあります。

■入居者に対する損害賠償責任
建物の倒壊等によって入居者が被害を受けた場合でも、自然災害の場合、通常オーナーは損害賠償責任を負いません。しかし施工自体の不備により建築当時の設計基準を満たしていないとされた場合は、オーナーが損害賠償責任を負うことになります。阪神淡路大震災では、亡くなった入居者の遺族に対してオーナーの損害賠償責任を認めた判決もでています。(判例時報1716号・神戸地裁平成11年9月20日判決)

■ローン返済が不能に
ローン返済がある場合は、賃料収入が途切れ返済が滞ってしまう可能性があります。
返済猶予や減免などの救済措置を受けられる可能性もありますが、リスクは認識しておきましょう。

■精神的ショックや入居への影響
所有しているアパートの入居者が亡くなることは、仮にオーナーに法的責任がなくても精神的には大きな痛手となるでしょう。また死傷者が出た物件になると、他の部屋の入居にも影響が出る可能性があります。

建物条件と立地条件

もちろん、地震保険への加入などのリスクヘッジは必要ですが、やはり入口の段階で災害リスクが低い物件を選ぶことが重要だと思います。
物件選びには、建物立地の2つの条件チェックがポイントになります。

■建物条件=地震に強い建物を選ぶ
建築年によって建物の耐震性はある程度分かります。1981年に耐震基準が改正されました。また木造建築については2000年に再び耐震基準の改正がありました。
地震による倒壊リスクを軽減するためには、新耐震基準の建物、または旧耐震でも耐震改修を実施している建物を選択することをお勧めします。
単に利回りが高いという理由だけで、旧耐震の建物を購入することは、同時に大きなリスクも背負うことを覚悟する必要があります。

■立地条件=災害リスクの低い立地を選ぶこと
建物自体の耐震性だけでなく、災害リスクの低い立地を選択することも重要です。
土地には、災害に強い土地と弱い土地があります。軟弱地盤、洪水や浸水が起こりやすい地域、土砂災害警戒区域などは自然災害により被害を受けやすいため、避けたい立地です。立地をよく見極めて購入することが大切です。

災害リスクサイトを利用する

各自治体は、自然災害のリスクや避難経路などを表示したハザードマップを作成しており、ホームページで閲覧することができます。閲覧できる自然災害のリスクは自治体により異なりますが、主に次のような種類があります。
・土砂災害
・地震による建物倒壊予測
・液状化
・洪水
・内水
・高潮
・津波
・火山

各自治体のホームページ以外にも、自然災害リスクを確認できるいくつかのサイトがあります。

■国土交通省の「ハザードマップポータルサイト
このサイトでは、全国の自治体が公開しているハザードマップを簡単に検索することができます。また地図上に複数の災害リスクを重ねて表示できる機能もあり、理解しやすい構成になっています。

■地盤調査大手のジャパンホームシールド株式会社が公開している「地盤サポートマップ
同社が行った地盤調査のデータを元に、地盤の強さが地図上に4色のポイントで比較的詳細に表示されます。アプリもあります。

■朝日新聞デジタルの「揺れやすい地盤
住所を入力すると周辺の地盤が揺れやすいかどうか、つまり強固な地盤か軟弱な地盤かの目安が分かるシンプルで分かりやすい構成です。

ただし購入検討の際、立地条件については、土地を個別に確認することが大切です。地盤の強さは、新築や築浅物件では、地耐力調査の結果や基礎の仕様書・図面があるので確認して下さい。
また現地確認をする際には、物件以外にも塀や隣接建物の観察や近隣住民からのヒアリングも参考になります。

災害リスクの低い物件は、入居競争においてもアピールポイントになります。競合物件と比較された場合でも、この場所は地盤が固い、浸水被害がない、などとアピールができれば入居の決定要因のひとつにもなり得ます。
成功するアパート経営のためにも、災害リスクの低い投資物件の取得を心がけてください。

【このコラムの著者】

橋本 秋人

ファイナンシャル・プランナー 不動産コンサルタント
1961年東京都出身
早稲田大学商学部卒業後、住宅メーカーに入社。

長年、顧客の相続対策や資産運用として賃貸住宅建築などによる不動産活用を担当。
また、自らも在職中より投資物件購入や土地購入新築など不動産投資を始め、早期退職を実現した元サラリーマン大家でもある。

現在は、FPオフィス ノーサイド代表としてライフプラン・住宅取得・不動産活用・相続などを中心に相談、セミナー、執筆などを行っている。

保有資格:
・ファイナンシャル・プランナー(CFP®認定者・1級FP技能士)
・公認不動産コンサルティングマスター 
・宅地建物取引士
・住宅ローンアドバイザー
・福祉住環境コーディネーター2級
・終活アドバイザー(終活アドバイザー協会)

平成27年度日本FP協会「住宅活用相談」相談員
平成29年度日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員

他のコラム著者も見てみる

不動産投資家によっても違いは様々。
LIFULL HOME'Sが厳選した不動産投資家や専門家のコラムから色々な不動産投資スタイルを吸収してライバルに差をつけよう!

石川 和寿

シリーズ連載: 不動産会社のプロの意見

最新コラム: 賃貸のプロが教える入居者募集の6つのコツ

藤田 博司

シリーズ連載: 不動産投資家が次に着目している民泊投資とは

最新コラム: 民泊の準備で困ったこと

樗木 裕伸

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

最新コラム: 不動産投資ローンと住宅ローンの違いと5つの金融機関の特徴

逆瀬川 勇造

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

最新コラム: 不動産投資は常に融資との戦い?ローンの基礎知識や流れを解説

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

最新コラム: 不動産投資の鍵「経費」を理解しよう!経費の種類・範囲は?

風戸 裕樹

シリーズ連載: 初心者のための東南アジア投資ガイド

最新コラム: 第2章 日本の不動産市場と海外投資(3)

金井 規雄

シリーズ連載: アメリカ・ロサンゼルスで不動産投資 7年で1億円

最新コラム: あとがき

LIFULL HOME'S PRESS

シリーズ連載: HOME'S PRESS編集部

最新コラム: 新たに始まる「住宅ストック循環支援事業」は特色のある制度に

田中 圭介

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

最新コラム: No.41インドネシア不動産投資のチャンス その2

佐藤 益弘

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

最新コラム: 高齢化と不動産投資(2)~「簡易生命表」を見て、人生100年時代を理解する

菅井 敏之

シリーズ連載: 誰も教えてくれなかった「銀行」~その傾向と対策~

最新コラム: 【第四回】必ず行っておきたい、銀行との「コミュニケーション」

LIFULL HOME'S不動産投資フェア

シリーズ連載: 2018/9/15+16 投資EXPO出展企業インタビュー

各出展企業インタビュー記事はこちら

LIFULL HOME'S マーケティング部 データ編集担当

シリーズ連載: ユーザーの本音から探る不動産投資

最新コラム: 将来性を秘めた街 『都心』エリア

鈴木 学

シリーズ連載: ヨーロッパの不動産事情

最新コラム: 経済苦境続くギリシャ不動産のいま

石渡 浩

シリーズ連載: 不動産投資に有益な融資を受けるための知識

最新コラム: 第4回 税引後キャッシュフロー偏重の盲点 銀行は決算書のここを見る(後編)

北野 琴奈

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

最新コラム: 利下げと不動産投資

猪俣 淳

シリーズ連載: 猪俣淳の「不動産投資の正体」

最新コラム: フィッシャー・ハドソン・ウィルソン・モデル

右手 康登

シリーズ連載: CPM®流「相続・不動産経営 実践術」 右手 康登のコンサル「みぎからひだりへ」

最新コラム: 島国の中での常識 VS グローバルスタンダードを知ることの重要性

末永 照雄

シリーズ連載: 失敗しない不動産投資の法則

最新コラム: 米国不動産投資(2) ― サンディエゴ編

寺尾 恵介

シリーズ連載: 悩める投資家への「目からウロコが落ちる」アドバイス 誌上チャレンジ面談

最新コラム: 27.「決算書思考」で不動産投資が変わる(前編)

伊藤 英昭

シリーズ連載: 伊東英昭氏の不動産投資コラム

最新コラム: vol.13 マンションと高級車

不動産投資・収益物件を検索するなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】賃貸経営[マンション経営・アパート経営]をお考えなら、まずは掲載中の投資物件[投資用マンション・売りアパート・一棟売りマンション]を地域や価格帯、会社で検索して、価格や想定利回りで絞り込み!気になる投資物件を見つけたら物件の周辺情報を調べたり、収益シミュレーションを使って実際の運用をイメージ出来ます。不動産会社へはメールか電話でお問い合わせ・相談が可能です(無料)。不動産投資による資産運用をお考えなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】

ページトップへ

情報セキュリティマネジメントシステム国際規格

株式会社LIFULLは、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC 27001」および国内規格「JIS Q 27001」の認証を取得しています。