橋本 秋人の不動産投資コラム

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

3つの最新データから見る今後の不動産投資

国や公的機関はさまざまな調査結果を適宜公表していますが、3月、4月は不動産市場にも関係の深いデータが次々に公表されました。
今回公表された以下の3つの調査結果は、不動産投資を検討するにあたっても重要なファクターとなります。

◎地価公示(3月19日・国土交通省)
◎人口推計(4月12日・総務省)
◎世帯数の将来予測(4月19日・国立社会保障・人口問題研究所)

今回は、不動産投資においてこれら調査結果をどうとらえ、どのように活かすかについて考えます。

地価公示

今回公表された地価公示は、地価の回復・上昇基調が強調されたものになりました。
国土交通省が3月19日に発表した報道資料でも、
「地方圏でも住宅地が27年ぶりの上昇に~全国的に地価の回復傾向が広がる」
と冒頭に地価回復・上昇が大きくうたわれています。
さらに概要では、
・全国平均で全用途(住宅地・商業地・工業地)が4年連続で上昇し上昇幅も3年連続で拡大
・三大都市圏(東京圏・名古屋圏・大阪圏)でも全用途平均・住宅地・商業地の上昇が継続
・地方圏の住宅地が27年ぶりに上昇に転じる
などと上昇というワードが繰り返され、反対に下落というワードの記載は全くありませんでした。

地価上昇の背景として、景気回復、雇用・所得環境の改善、低金利政策の下、以下を挙げています。
①交通利便性等に優れた地域を中心に、住宅需要が堅調
②オフィス市場の活況、外国人観光客増加による店舗・ホテル需要の高まりや再開発事業の進展を背景 に需要が拡大

実は背景に関する今年のコメントは、昨年とほぼ同じでした。地価上昇を導いている環境が引き続き継
続していることが分かります。

このように全体として地価の上昇傾向が強調された結果となった地価公示ですが、実はここにはあまり語られていない事実があります。
それは、住宅地の地価は、地域による「二極化」がさらに進んでいたということです。
地価公示のデータには、圏域別、都道府県別、さらに三大都市圏では市町村別などの詳細な調査結果も公表されています。
これらのうち、都道府県別の住宅地の変動率を見てみると、全国平均では0.3%の上昇ですが、そのうち上昇した都道府県は18、変わらず1、下落28と、実に約6割の県が下落しています。
上昇率の1位は沖縄県でなんと8.5%、2位宮城県3.5%、3位東京都2.9%と高い上昇率が続きます。
一方、最下位の46位は秋田県と和歌山県▲1.3%、45位が福井県▲1.1%と続き、20位の山形、富山、香川▲0.1%までが下落しています。

この結果から、実は地価は二極化しており、上昇した都道府県の高い上昇率が下落した県の下落率を打ち消していたことが分かります。
同様に、都道府県の中でも市町村によって二極化が見られます。

まさに、国土交通省のコメントにある「利便性等に優れた地域を中心に上昇」通りで、そうでない地域はいまだに下落が続いているということになります。

特に住宅地の地価動向は、住みたい人がいるかどうかによって決まります。賃貸市場にあてはめると、地価が下落している地域は住みたい人が少ない地域、つまり入居者の少ない地域と重なります。
今後不動産投資においてエリア戦略を立てる際にも、地価公示の詳細データをチェックすることは重要です。

人口推計

2018年10月1日現在の総人口は1億2644.3万人で、前年に比べ26.3万人の減少(減少率0.21%)となりました。
そのうち日本人の人口は1憶2421.8万人で、前年に比べ43万人も減少しています。43万人というと、東京都町田市、神奈川県藤沢市の人口が約43万人なので、1年で町田市、藤沢市クラスの人口がいなくなったということになります。減少の幅は今後より拡大すると予測されていますので、人口減少の問題は深刻です。
4月に施行された改正出入国管理法でも、今後受け入れる外国人労働者は5年で最大約34.5万人と見込んでおり、人口減少に全く追いつきません。
その中で、人口が増えた都道府県は、増加率が高い順に東京、沖縄、埼玉、神奈川、愛知、千葉、福岡の1都6県で、他は全て減少しており、最下位から秋田、青森、岩手、和歌山、高知、山形までが1%以上減少しています。人口の増減においても公示地価と同様、地域による二極化が進んでいます。
不動産投資においても、地域別の人口増減は押さえておきたい要素です。

日本の世帯数の将来推計

今回の将来推計では、全国の世帯総数は2023年をピークに減少に転じると予測しています。
実は、世帯数のピークは、2017年には2019年と予測されていました。その後修正され、今回の推計では2023年とピークの年が4年延びています。
人口はすでに2008年をピークに減少が続いてるにも関わらず、世帯数のピークが伸びている主な理由は二つあります。
ひとつは核家族化がさらに進み、単独世帯が増加していることです。なお、単独世帯はこの先もしばらく増加を続け、2032年をピークに減少に転じると予測されています。
もうひとつの理由は外国人の増加です。外国人居住者は16万人以上増加しており、世帯数の増加に寄与しています。
投資戦略としては、地域毎に入居ターゲットとなる世帯類型を把握することがポイントとなります。

まとめ

「地価」「人口」「世帯数」は不動産投資にも大きな影響を与えます。
ご紹介した3つの調査結果については、全体の結果が大きく報道されていますが、併せて詳細のデータも公表されており、それらの中には不動産投資のヒントになるものも数多く含まれています。
不動産投資を考えている方は、公的な調査結果もチェックしながら、戦略・戦術づくりに役立ててください。

【このコラムの著者】

橋本 秋人

ファイナンシャル・プランナー 不動産コンサルタント
1961年東京都出身
早稲田大学商学部卒業後、住宅メーカーに入社。

長年、顧客の相続対策や資産運用として賃貸住宅建築などによる不動産活用を担当。
また、自らも在職中より投資物件購入や土地購入新築など不動産投資を始め、早期退職を実現した元サラリーマン大家でもある。

現在は、FPオフィス ノーサイド代表としてライフプラン・住宅取得・不動産活用・相続などを中心に相談、セミナー、執筆などを行っている。

保有資格:
・ファイナンシャル・プランナー(CFP®認定者・1級FP技能士)
・公認不動産コンサルティングマスター 
・宅地建物取引士
・住宅ローンアドバイザー
・福祉住環境コーディネーター2級
・終活アドバイザー(終活アドバイザー協会)

平成27年度日本FP協会「住宅活用相談」相談員
平成29年度日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員

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