橋本 秋人の不動産投資コラム

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

不動産投資の処方箋「決めない症候群」

前回は、「買いたい病」について解説をしましたが、「買いたい病」とは真反対の人たちもいます。
不動産投資をしたい気持ちはあるけれど、具体的な計画段階に入ると二の足を踏んでしまい、あと一歩足を進めることができません。そのような人は「買えない病」というよりも「決めない症候群」と呼べるのではないでしょうか。
今回も事例を紹介しながら、不動産投資をうまく始められるコツについて解説をします。

「決めない症候群」の特徴

実は、「決めない症候群」は、不動産投資に限りません。住宅の購入や、不動産活用など、不動産全般に見られるようです。このような人は、客観的に見て良い物件や事業計画があっても、そこからわずかな欠点を見つけ出し、決めない理由にします。求めるレベルが高すぎるのかもしれませんが、勧める側から見ると、断る理由を一生懸命探しているようにも感じます。

はじめに、住宅の事例を紹介しましょう。

ケース1 マイホームを決めない症候群

Aさんは妻、子ども2人の4人家族。初めてお会いした時にお聞きしたのは、3年以上前からマイホームを探しているが、これはという物件が見つからないとのこと。予算はあるので、土地を購入して自由設計でマイホームを建築したい、とのご希望でした。
さっそく住宅の営業担当者のB君を紹介しました。B君は、Aさんの条件に合う土地を探しては紹介をしていましたが、Aさんにはなかなか満足がいかず、あっという間に1年が経ちました。その後もB君は土地の紹介を続けていましたが、2年後にようやく立地・環境などの条件が充分に満たせる土地が見つかり、Aさんもたいへん気に入ったので購入に向け打合せを重ね、ついに購入が決まりました。
ところが、契約の前日、Aさんから連絡があり、今回の土地は見合わせたいとのこと。驚いたB君が理由を尋ねると、ほとんど満足のいく物件だったが、「成田まで2時間以上かかる」ことが気になり買うのをやめたとのこと。実はAさんは海外出張に定期的に出かけますが、それは年1回のこと。結局B君が説得してもAさんはその物件を購入しませんでした。その後もしばらくは土地の紹介を続けましたが、ついにB君もさじを投げてしまいました。

ケース2 土地活用を決めない症候群

Cさんは、自宅の隣に父から相続したアパートを所有していました。初めてお会いした時には、アパートはすでに築30年以上が経ち、6部屋の入居者もゼロ。この機会に新築のアパートに建替えたいというご希望でした。Cさんの自宅は、ターミナル駅から徒歩で約5分、アパートの敷地は広くはありませんが、賃貸住宅としての立地は素晴らしく、事業計画を立てても収益性が高くリスクも低い経営が期待できるという結果になりました。しかし結局Cさんは結論が出せず、建替えは保留ということになりました。その後、数年おきに今度こそ建替えをしたいということで相談に見えるのですが、毎回結論が出ず。その後営業担当者も数人変わりましたが、やはり建て替えには至らず、初めてお会いした時から20数年が経ちました。先日、久しぶりにCさんのお宅の前を通ることがありましたが、隣のアパートは朽ち果てながらも以前と同じたたずまいを見せていました。今でも数年ごとに建築会社に相談をし続けているのかもしれません。

ケース3 不動産投資を決めない症候群

今回は不動産投資の話です。Dさんは妻と子1人の会社員。以前から不動産投資への関心が高く、不動産セミナーにも積極的に参加、多くの不動産投資本も読み漁り、すでに専門家ばりの知識を備えています。その方が不動産投資のポイントを教えてほしいと相談に見えたのは、今から3年前。すでに物件を探し始めて10年近く経っているとのこと。今まで投資物件を買わなかった理由を尋ねると、研究しすぎて何が良いのか分からなくなったとのこと。ご相談いただいた時も、結局物件購入には至りませんでしたが、15年を超えるDさんの投資物件探しは、まだまだ続くかもしれません。

不動産投資を決めるポイントとは?

今までご紹介した「決めない症候群」の人たちに共通しているのは、わずかなリスクでも許せないことです。実は、経験上、このような人たちは少なくありません。

不動産投資も、投資である以上、リターンと同様リスクは存在します。リスクがゼロの投資はありません。元本保証の金融商品でさえ、インフレリスクが存在します。
おそらく、頭では分かっていても、いざ物件を目の前にすると、やはりリスクへの心配が出てしまうのでしょうか。

さまざまな不動産投資法があった時には、まず自分の投資目的が何か、その目的に見合った投資手法か、実現可能性が高いのか、をきちんと確認・判断すれば、それぞれに適した投資方法も絞られます。
なかには、不動産投資自体がご自分には適していない投資手法だったという結論が出ることもあるかも知れません。
また、物件探しにおいても、リスクをゼロにしなければと考えるよりも、リスクコントロール・リスクヘッジができるかを検討することが大切です。
もちろんカバーできないリスク、致命的なリスクは避けるべきですが、リターンでカバーできるリスクについてはある程度許容することも、不動産投資を進めるためのポイントになるのではないでしょうか。

一昨年からの融資の引き締めの影響や今後の需要予測から、投資物件の価格も高止まりから下落の方向に進むと予測されています。

もしかしたら「買いたい病」の人たちに比べると損害を被る可能性は少ないと思いますが、機会損失によって資産形成ができないという意味では残念なケースです。

【このコラムの著者】

橋本 秋人

ファイナンシャル・プランナー 不動産コンサルタント
1961年東京都出身
早稲田大学商学部卒業後、住宅メーカーに入社。

長年、顧客の相続対策や資産運用として賃貸住宅建築などによる不動産活用を担当。
また、自らも在職中より投資物件購入や土地購入新築など不動産投資を始め、早期退職を実現した元サラリーマン大家でもある。

現在は、FPオフィス ノーサイド代表としてライフプラン・住宅取得・不動産活用・相続などを中心に相談、セミナー、執筆などを行っている。

保有資格:
・ファイナンシャル・プランナー(CFP®認定者・1級FP技能士)
・公認不動産コンサルティングマスター 
・宅地建物取引士
・住宅ローンアドバイザー
・福祉住環境コーディネーター2級
・終活アドバイザー(終活アドバイザー協会)

平成27年度日本FP協会「住宅活用相談」相談員
平成29年度日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員

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