橋本 秋人の不動産投資コラム

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

新型コロナショックで実感したマルチインカムの重要性

5月25日に、緊急事態宣言が発令以来48日ぶりに全面解除されました。予断を許さない状況はまだしばらく続くと思われますが、ようやく遠くに光が見えてきたような気がします。
今後、社会がどのような方向に向かうのかはまだ分かりませんが、少なくとも今後のライフスタイルに関して多くの気づきがありました。
そのなかでも特に実感したことは、『マルチインカム』がリスクマネジメントにおいても高い役割を果たしたという事実でした。
今回は『ポスト・コロナ』『ウィズ・コロナ』時代に向け、マルチインカムの重要性について考えます。

マルチインカムとしての不動産投資の魅力

マルチインカムとは、ひとりの人が複数の収入源を持つという意味です。もともとは、資産形成を目的として、本業以外に副業や兼業をおこなうことを指していましたが、労働による収入だけでなく、投資や資産運用による利益もマルチインカムになるとされています。会社員の副業については、最近一部の大手企業の副業解禁がニュースになったり、ネットビジネスが話題になったりしています。

不動産投資によるNOI(営業純利益)もマルチインカムのひとつです。
本業以外にアルバイトをすることもマルチインカムの手法ですが、自己の身体(からだ)と時間を使います。身体はひとつしかなく、時間にも限りがあるので、この方法ではインカムにも限りがあるでしょう。
不動産投資の大きな魅力のひとつは、賃貸オーナーの時間コストを費やさないということです。不動産投資の場合、収益物件の取得と経営状態のチェックにさえ注力すれば、収益不動産が毎月家賃を稼いでくれるので、徐々に資産が形成され、さらに投資を広げていくことが可能です。
もちろん、不動産投資のように時間コストが不要のインカムを得るために投資資金を蓄えるまでは、身体や時間を使う時期が必要かもしれません。
しかし、最終的に目指すマルチインカムの理想型としては、時間コストをかけずに『お金を生み出すシステム』を自分なりに作り上げることでしょう。

経済的苦境のなかではマルチインカムがリスクを軽減する

マルチインカムの目的は、資産形成にありますが、今回の新型コロナショックのなかで実感したのは、マルチインカムがリスクコントロールとしても有効に働いたということでした。
新型コロナウイルスは、企業から個人まで深刻な打撃を与えています。営業の自粛や休業、企業業績の悪化や倒産などにともない、多くの人が職を失ったり収入が激減したりしています。
このようなときでも、財布がふたつあれば、片方の財布の中身が減っていても、もうひとつの財布から補うことができます。また、両方の財布の中身が減っていても、合わせればなんとかなる可能性も高くなります。
ふたつの財布、つまり「マルチインカム」の人は、ダメージが軽い、あるいはダメージをほとんど感じていないのではないでしょうか。

FPを生業としている筆者も、新型コロナウイルスによってダメージを受けたひとりです。
セミナーの予定は全てキャンセル、新規のオファーもストップしています。さいわい他のFP業務は維持できていますが、収入は激減しています。
感染が収束すれば、いずれは仕事の量も回復すると見込んでいますが、それがいつになるかが今のところ分かりません。

収入減少の時期をどう乗り切るかが多くの人にとって大きな課題ですが、筆者が経済的な不安を感じなかったのは、賃貸収入というインカムがあるためです。
もともと老後の自分年金づくりのために、サラリーマン時代に不動産投資を始めたので、賃貸収入からのキャッシュフローは運用目的以外に使ったことはありませんでした。今もまだ手をつけずにすんでいますが、いざとなれば不動産のインカムがあることが経済的のみならず、精神的なセーフティネットにもなっています。

もちろん不動産投資に限りませんが、あらためてマルチインカムの強みを感じています。

『強い』賃貸経営が大切

マルチインカムのはずが、今回の新型コロナショックのなかでは、かえって足を引っ張ってしまった収益不動産もありました。
その理由の多くは、今回の新型コロナの影響によるものだったため、賃貸オーナーの責任にすることは酷であり、一刻も早い救済を願うばかりですが、少なくとも教訓として、今後の不動産投資に活かさなければいけません。

住居系の収益物件をみると、新型コロナショックにより大きなダメージを受けた物件と、全く影響がなかった物件の特徴はすでに明らかになっています。
ひとつめの教訓は、収益物件の強さは、入居者の強さに裏付けられているということです。

そのため、属性の高い入居者を入居ターゲットとした物件を提供することが重要です。
今回、住居系収益不動産でダメージが大きかったのは、非正規雇用者・フリーランス・アルバイト・外国人などの入居割合が高い物件です。特にこれらのターゲットに特化している物件はより大きなダメージを受けています。
一方、正規雇用者の割合が高い物件は、現在のところほとんど影響を受けていません。今後の賃貸経営においても、「強い」入居者をターゲットにした賃貸住宅の供給が生き残るポイントになるでしょう。

もうひとつは、損益分岐点が低い経営をおこなうことの重要性です。
まず、不動産投資では、多くの場合、融資を利用しているということを、いま一度肝に銘じておく必要があります。
退室・滞納・賃料下落などが相次ぎ賃貸収入が大きく落ち込み、賃料収入がローン返済額を下回ってしまうと、キャッシュフローがマイナスに陥り、さらに生活を圧迫することになります。そのため、収支がマイナスに陥ることだけは、なんとしても避けなければいけません。
万が一、賃貸収入が大きく減少したとしても、損益分岐点が十分に低ければ、収支がプラスになる可能性は高くなり、少なくともマルチインカムとして成立し、生活を助けることになります。
損益分岐点を下げる方法としては、前回のコラムでDSCRの解説をしているので関心がある方はお読みください。

いずれにしても、今後の不動産投資では、キャピタルゲインよりも、インカムゲインを重視して取り組むことをおすすめします。

いまは将来のマルチインカムのための準備期間

新型コロナウイルスの感染防止のため、在宅勤務や労働時間の短縮などが浸透しつつあるなか、自由時間が増えている人も多いのではないでしょうか。すでに実践している人も多いと思いますが、筆者の周りでも、増えた有効時間を使い、新しいチャレンジを始めたという人が数多くいます。
このような時期こそ、自己啓発や有益な情報のインプットに最適なタイミングといえます。
投資に関していえば、不動産投資も含め、さまざまな種類の投資について学習・研究する時間があります。オンラインセミナーも数多く開催されています。
思うように動けない今だからこそ、マルチインカムのための準備期間として有効に活用することをおすすめします。

【このコラムの著者】

橋本 秋人

ファイナンシャル・プランナー 不動産コンサルタント
1961年東京都出身
早稲田大学商学部卒業後、住宅メーカーに入社。

長年、顧客の相続対策や資産運用として賃貸住宅建築などによる不動産活用を担当。
また、自らも在職中より投資物件購入や土地購入新築など不動産投資を始め、早期退職を実現した元サラリーマン大家でもある。

現在は、FPオフィス ノーサイド代表としてライフプラン・住宅取得・不動産活用・相続などを中心に相談、セミナー、執筆などを行っている。

保有資格:
・ファイナンシャル・プランナー(CFP®認定者・1級FP技能士)
・公認不動産コンサルティングマスター 
・宅地建物取引士
・住宅ローンアドバイザー
・福祉住環境コーディネーター2級
・終活アドバイザー(終活アドバイザー協会)

平成27年度日本FP協会「住宅活用相談」相談員
平成29年度日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員

他のコラム著者も見てみる

不動産投資家によっても違いは様々。
LIFULL HOME'Sが厳選した不動産投資家や専門家のコラムから色々な不動産投資スタイルを吸収してライバルに差をつけよう!

石川 和寿

シリーズ連載: 不動産会社のプロの意見

最新コラム: 賃貸のプロが教える入居者募集の6つのコツ

藤田 博司

シリーズ連載: 不動産投資家が次に着目している民泊投資とは

最新コラム: 民泊の準備で困ったこと

逆瀬川 勇造

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

最新コラム: 不動産投資は常に融資との戦い?ローンの基礎知識や流れを解説

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

最新コラム: 太陽光発電投資の利回りの推移は?利回りを上げる注目のセカンダリー市場

風戸 裕樹

シリーズ連載: 初心者のための東南アジア投資ガイド

最新コラム: 第2章 日本の不動産市場と海外投資(3)

金井 規雄

シリーズ連載: アメリカ・ロサンゼルスで不動産投資 7年で1億円

最新コラム: あとがき

LIFULL HOME'S PRESS

シリーズ連載: HOME'S PRESS編集部

最新コラム: 新たに始まる「住宅ストック循環支援事業」は特色のある制度に

田中 圭介

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

最新コラム: No.54 ASEAN各国の2020年〜2021年の経済成長予測 

佐藤 益弘

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

最新コラム: 新型コロナウイルス感染拡大から考える 大家がすべき対応 No.6 住生活総合調査からわかる 現状と未来の不動産投資2

菅井 敏之

シリーズ連載: 誰も教えてくれなかった「銀行」~その傾向と対策~

最新コラム: 【第四回】必ず行っておきたい、銀行との「コミュニケーション」

LIFULL HOME'S不動産投資フェア

シリーズ連載: 2018/9/15+16 投資EXPO出展企業インタビュー

各出展企業インタビュー記事はこちら

LIFULL HOME'S マーケティング部 データ編集担当

シリーズ連載: ユーザーの本音から探る不動産投資

最新コラム: 将来性を秘めた街 『都心』エリア

鈴木 学

シリーズ連載: Withコロナの新・不動産事情

最新コラム: コロナ影響下のアメリカで激安お値打ち物件がなかなか出ない理由!

石渡 浩

シリーズ連載: 不動産投資に有益な融資を受けるための知識

最新コラム: 第4回 税引後キャッシュフロー偏重の盲点 銀行は決算書のここを見る(後編)

北野 琴奈

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

最新コラム: 地価下落地区増で、不動産投資メリットの享受を改めて考える

猪俣 淳

シリーズ連載: 猪俣淳の「不動産投資の正体」

最新コラム: 売却による資金確保

右手 康登

シリーズ連載: CPM®流「相続・不動産経営 実践術」 右手 康登のコンサル「みぎからひだりへ」

最新コラム: 島国の中での常識 VS グローバルスタンダードを知ることの重要性

末永 照雄

シリーズ連載: 失敗しない不動産投資の法則

最新コラム: 米国不動産投資(2) ― サンディエゴ編

寺尾 恵介

シリーズ連載: 悩める投資家への「目からウロコが落ちる」アドバイス 誌上チャレンジ面談

最新コラム: 36.大家さんと幸せな人生について

伊藤 英昭

シリーズ連載: 伊東英昭氏の不動産投資コラム

最新コラム: vol.13 マンションと高級車

※ No.1表記について:不動産投資ポータルサイトが掲載をする物件数統計 2020年6月時点(フジサンケイビジネスアイ調べ)

※ No.1表記について:不動産投資ポータルサイトが掲載をする物件数統計 2020年6月時点(フジサンケイビジネスアイ調べ)

不動産投資・収益物件を検索するなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】賃貸経営[マンション経営・アパート経営]をお考えなら、まずは掲載中の投資物件[投資用マンション・売りアパート・一棟売りマンション]を地域や価格帯、会社で検索して、価格や想定利回りで絞り込み!気になる投資物件を見つけたら物件の周辺情報を調べたり、収益シミュレーションを使って実際の運用をイメージ出来ます。不動産会社へはメールか電話でお問い合わせ・相談が可能です(無料)。不動産投資による資産運用をお考えなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】

ページトップへ

情報セキュリティマネジメントシステム国際規格

株式会社LIFULLは、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC 27001」および国内規格「JIS Q 27001」の認証を取得しています。