橋本 秋人の不動産投資コラム

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

2021年・新型コロナとの共生時代の不動産投資を展望する

2020年1月16日に厚生労働省が国内初の新型コロナ感染を発表してから1年が経ちました。その後感染は収まるどころかまたたく間に拡大し、結局昨年は新型コロナに明け暮れた1年になってしまいました。
さらに分かってきたのは、当初期待されていた早期の収束はもはや期待できず、新型コロナと共生しなければならない時代がやって来たということです。
2021年初回の本コラムでは、新型コロナ共生時代のなかで見えてきた今後の不動産投資について展望します。

新型コロナ感染発生から1年で分かってきたこと

まず覚悟しておかなければならないことは、「コロナはすぐには終わらない」という現実です。わが国でもワクチン投与が始まりますが、その一方で新たな変異種も出現し、すでに市中感染拡大の兆しを見せています。もちろん新型コロナも数年以内には収束すると考えられますが、しばらくはこのようなイタチごっこが続くのでしょう。

次に言えることは、たとえ新型コロナが収束しても、生活スタイルは以前のようには戻らないということです。
コロナ禍のなかで生まれた新しい生活様式は、仮の生活様式ではなく、コロナが収束した後も引き続き残り、根付いていくものと考えられます。
例えば、在宅ワークなどのリモートワークは、当初出勤停止の代替手段として始まりましたが、いざ始めてみると意外に便利でメリットが大きいことが分かってきました。
リモートワークが一般的な働き方になると、企業は都心に広いオフィスを構える必要性が薄れます。最近では、電通の本社売却のニュースが話題になりましたが、企業はオフィスを縮小することにより経費節減を図ることができます。
また、働く人たちも毎朝の満員電車での通勤から解放され、そこから生まれた余暇の時間を、家族と過ごしたり、趣味に充てたりすることができるようになります。
このようにして、ライフスタイルは急速に大きな変化を遂げます。

コロナとの共生時代に抑えておきたい入居ニーズのポイント

不動産投資・賃貸経営においても、新しい生活スタイルが生まれ価値観が変わることにより、入居者の物件選択のポイントも変わると考えられます。
不動産投資のキーワードとして押さえておきたいのは、立地の選択では「快適なまち」、物件のハード面では「おうち時間の充実」です。

立地の選択は「快適なまち」であること

新型コロナ以前の物件選びでは、通勤・通学時間や駅までのアクセスの良さがストロングポイントとされてきました。例えば東京では、山手線の主要駅から沿線で15分以内の駅、さらに駅から5分以内がテッパンの賃貸適地と言われています。
もちろんこのようなエリアは引き続き強い立地であると言えますが、リモートワークが常態化すると、入居者の立地選択の基準も多様化し、今までのテッパン以外の立地にもチャンスが広がります。

在宅ワークを行う入居者は自宅と自宅周辺の比較的狭いエリアで過ごす時間が長くなります。そのため、入居者にとって「快適なまち」は重要なニーズのひとつになります。
「快適なまち」とは、入居者がそれぞれの生活の質を高めるために求める条件が揃っている地域のことを指します。
例えば

・ジョギングが楽しめる公園がある
・素敵な図書館がある
・景色の良いサイクリングロードがある
・シネコンがある
・古い街並みに癒される・・・

以前の「不動産の立地選択には、「森」も「木」も見ることが大切」でも紹介していますが、これからの立地選択では、通勤時間、駅からのアクセスだけではなく、「快適なまち」としての魅力があるかどうかのリサーチも行うことが必要になるでしょう。

おうち時間の充実

ハード面でのキーワードは「おうち時間」の充実です。
都心の物件よりも家賃が安く間取りが広い郊外の物件は、「おうち時間」を大切にしたい入居者には魅力的です。
毎日通勤する必要がなければ、通勤時間は重視すべきポイントから除外されます。
一方、仕事以外にも自宅で過ごす時間は大幅に増えます。
独立したワーキングスペースと通信環境の整備は大前提となりますが、さらに、生活を楽しむためのプラスアルファの魅力を備えておくことは重要です。

・ゆったりと映画鑑賞ができる広いリビングがある
・広い庭で家庭菜園ができる
・複数のペットと過ごせる
・アートに親しむアトリエがある
・手の込んだ料理がつくれるキッチンスペースがある
・周りに気を遣わずに楽器の演奏ができる・・・

空き家を活用した不動産投資にも注目

立地と物件ハードの両面を活かせる不動産投資の手法として、古い空き家を活用した賃貸住宅に注目しています。
わが国には、約848万戸の空き家があり、そのうち約387万戸が、いわゆる実家の空き家です(※総務省「平成30年住宅・土地統計調査」)。
実家の空き家のなかには、売却されるものもあり、そのなかには、間取りも広く、庭付きの住宅も少なくありません。そこで、割安の空き家を購入し、手を加えて戸建賃貸住宅にしたり、シェアハウス・コワーキングスペースにしたりする活用が考えられます。
大きなレバレッジ効果が狙えるような投資手法ではありませんが、これからの入居ニーズに対応した投資手法のひとつとして検討の価値はあるでしょう。
ただし、注意点として、耐震基準はクリアしていること、リノベーションに過大な費用がかからないことなどを見極める必要はあります。

オンライン仲介に対応した不動産会社を選ぶ

コロナ禍の中、不動産仲介においてもオンライン業務が広がってきました。入居募集に関しても、従前からの対面営業だけではなく、オンライン内見・面談などが今後ますます広がると考えられます。
このような入居者のアパート探しに対応できる管理会社に募集・管理を依頼することも、賃貸経営において重要なポイントとなるでしょう。

まとめ

長期間の賃貸経営の間には、どのような不測の事態が生じるか分かりません。
今回のコロナ禍が去ったとしても、第二、第三の新型コロナが出現する可能性は十分にあります。そのため、ニーズの変化を的確に読み、対応する力が不動産投資には求められます。

【このコラムの著者】

橋本 秋人

FPオフィス ノーサイド代表
CFP®認定者、1級FP技能士、終活アドバイザー
公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

1961年東京都出身
早稲田大学商学部卒業後、住宅メーカーに入社。
長年、顧客の相続対策や資産運用として賃貸住宅建築などによる不動産活用を担当。
また、自らも在職中より投資物件購入や土地購入新築など不動産投資を始め、
早期退職を実現した元サラリーマン大家でもある。
現在は、FP、不動産コンサルタントとしてコンサルティング、セミナー、執筆等の活動を行っている。

NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)副理事長
埼玉県定期借地借家権推進機構 理事
東京電子専門学校 非常勤理事

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