橋本 秋人の不動産投資コラム

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

テレワークに対応した最新の賃貸住宅事例~ウィズ・コロナ時代の入居対策~

春の入居シーズンも大詰めに入りました。
国内で新型コロナウイルス感染が始まって1年あまり、本コラムでも何度か伝えて来ましたが、レジデンス系の賃貸物件の入居状況については、外国人向け、一部学生向けを除いて新築・中古ともおおむね堅調のようです。
それでも新型コロナをきっかけとして起こった入居ニーズの変化への対応は賃貸オーナーとして今後重要になります。
今回は、今春の新築や中古賃貸住宅の「新しい生活様式」への対応事例を紹介しながら、不動産オーナーが今後打つべき手、また不動産投資で押さえておくべき考え方についてお伝えします。

ハウスメーカーの提案は「新しい生活様式」プラスα

3月は大手ハウスメーカー恒例の賃貸住宅の見学会が各地で開催されます。筆者も毎年数社の実例を見学しますが、今年はコロナ禍でなかなか身動きがとれないため積水ハウス1社のみの見学とし、3会場を見て回りました。
今回の注目は、コロナ禍で大手メーカーがどのようなプランを提案しているかということでしたが、やはり全ての物件に「新しい生活様式」を取り入れていました。

【ケース1】キッチン横の書斎コーナー

カウンターデスクや書棚を造作し、ダークグレーの壁紙を施したテレワークスペースは、高級で落ち着いた雰囲気。入居者が一瞬で気に入りそうな空間を演出していました。

(積水ハウス・シャーメゾンフェスタにて筆者撮影)

【ケース2】洋室の一角に設けたテレワークスペース

洋室のアルコーブを利用したコンパクトなスペース。若干圧迫感を感じますが、在宅ワークに集中はできそうです。

(積水ハウス・シャーメゾンフェスタにて筆者撮影)

【ケース3】和テイストの書斎にカウンターを設置

キッチン横にタタミコーナーを配置し、贅沢な和の在宅ワークスペースに。ただし、あぐらや正座での長時間のワークは疲れそうで、別の目的で利用されるような気もします。

(積水ハウス・シャーメゾンフェスタにて筆者撮影)

【ケース4】共用スペースのテレワークスペース

エントランス横に設けたホテルラウンジのような共用スペースにもテレワーク用のカウンターテーブルを設置。オンライン会議はできませんが、パティオ(中庭)を眺めながらのテレワークはリッチな気分を味わえます。

(積水ハウス・シャーメゾンフェスタにて筆者撮影)

大和ハウス、大東建託、パナソニックホームズなど他の大手各社もテレワーク対応の賃貸住宅を投入しています。
ただし、テレワークスペースだけでは今後差別化が図れません。
今回見学した物件もラウンジ、パティオといった共用スペース、ホテルのような内廊下、室内のしつらえや設備の豪華さなど「おうち時間」を大切にする入居者のプライドをくすぐるさまざまな仕掛けをしています。
このようなブランディングされた賃貸住宅は、強気の賃料設定でもかえってワンランク上の入居者を取り込むことが可能で、強い賃貸経営につながっています。

中古賃貸住宅にも「新しい生活様式」を取入れたリフォームの工夫

一方の中古賃貸住宅のコロナ対応はどのような状況でしょうか。
地域の不動産会社のなかでも、積極的にコロナ禍での入居対策に取り組んでいる管理会社もあります。
主な対応としては、①「新しい生活様式」に対応するリフォームと②オンライン営業の強化ですが、今回は中古賃貸住宅の「新しい生活様式」への対応事例を紹介します。

【ケース5】収納を一部テレワークスペースに変更したリフォーム

もともとあった1間の幅の押入を小さくしてテレワークスペースをレイアウトしています。
このリフォームでは、オンライン会議の際に、見せたくない部屋が見えないように配慮し、背中側に壁を配置しています。提案・施工した株式会社住研川越の青常務によると、いくつかの空き室にこのスペースをつくったところ、いずれもすぐに入居申込があったということで、効果は高いようです。

(写真提供:株式会社住研川越)

【ケース6】収納がない部屋の壁面にデスクも備えたシステム収納を設置

収納を作るのではなく、広い壁面を利用して壁面収納を配置した実例。部屋の広さを保ちながら便利に使えるというメリットがあります。

(写真提供:株式会社住研川越)

コロナ禍のなかでの入居促進策として、リフォーム以外にオンライン営業の推進があります。最近では現場を直接見なくてもオンライン内覧で入居を決める入居者も増えています。今後このような傾向はさらに進むと予測されており、多くの不動産会社もすでにオンライン化を進めています。

ウィズ・コロナ時代においては、家賃値下げやフリーレントのような従来の方法だけでは、積極的にコロナ対応をしている競合物件に入居者を奪われていきます。
これからは、有効なリフォームの提案やオンライン化をしっかりと進めている管理会社の選択も賃貸経営の重要な要素になるでしょう。

今後「不動産投資」に求められる「不動産活用」の視点

実は、近年ハウスメーカーの受注傾向に変化が表れています。
もともとハウスメーカーの主な顧客は、いわゆる地主や農家など土地オーナーでしたが、このところ不動産投資家の割合が増加しています。
大東建託やレオパレスは早くからその傾向がありましたが、大和ハウス、積水ハウスなども明らかに受注先が従来の土地オーナー以外に広がっています。
大手ハウスメーカーは投資物件にも不動産活用物件と同様のプランニングを取り入れるため、面積狭小でプランや設備に工夫のない「普通の投資物件」にとっては今後脅威になり得ます。

不動産投資においても、不動産活用の視点を持ち、立地だけではなく物件そのものの魅力で入居を取り組むという思考が必要になるでしょう。

【このコラムの著者】

橋本 秋人

FPオフィス ノーサイド代表
CFP®認定者、1級FP技能士、終活アドバイザー
公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

1961年東京都出身
早稲田大学商学部卒業後、住宅メーカーに入社。
長年、顧客の相続対策や資産運用として賃貸住宅建築などによる不動産活用を担当。
また、自らも在職中より投資物件購入や土地購入新築など不動産投資を始め、
早期退職を実現した元サラリーマン大家でもある。
現在は、FP、不動産コンサルタントとしてコンサルティング、セミナー、執筆等の活動を行っている。

NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)副理事長
埼玉県定期借地借家権推進機構 理事
東京電子専門学校 非常勤理事

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