橋本 秋人の不動産投資コラム

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

マイホームを「不動産投資」の対象として考える ~リバースモーゲージによる「住宅資産活用」という発想~

金融機関の融資引き締めにより、サラリーマンの不動産投資の壁が高くなりました。特に1棟ものについては、金融機関が投資家に高い属性と一定額以上の自己資金を要求するようになり、不動産投資をあきらめたり延期したりする人も散見します。
しかし、最近急増しているリバースモーゲージを将来上手に活用できれば、老後の生活が豊かになるという点で不動産投資と同様の効果が期待できます。今回はマイホームを資産として活用する手法に焦点をあてます。

マイホームは「資産」から「負債」に

かつてマイホームは価値のある「資産」とされていました。しかし今世紀に入ってから、マイホームは実は「資産」どころか「負債」であると主張する人たちが現れ始めました。
きっかけの一つは、日本でも400万部超えのベストセラーとなった「金持ち父さん貧乏父さん」ですが、人口減少や都市部の人口集中などによる「実家の空き家」の増加の問題もクローズアップされ、「住宅は負債」という考え方が一般にも広がってきている印象があります。

しかし、最近みられるリバースモーゲージの増加は、マイホームが持つ資産価値について見直すきっかけになるかも知れません。

急増するリバースモーゲージとは

このところリバースモーゲージのCMや記事をよく目にするようになりました。
住宅金融支援機構が取り扱うリバースモーゲージ「リ・バース60」の2020年度の利用実績は、2016年にはわずか戸数16戸、利用金額1.5億円でしたが、2020年度には戸数1,006戸、利用金額141.6億円と飛躍的に伸びています。

リバースモーゲージとは、自宅を担保にして老後の生活資金や住宅資金などを借入れした上で自宅に住み続け、亡くなったあとに自宅を売却するなどして借入金を一括返済する高齢者向けのローンをいいます。
元金は亡くなった後に一括返済するので、毎月の支払いは利息だけですみます。なかには利息もまとめて死亡後の支払とし、生存中は毎月の支払いが一切ない商品もあります。

借入金の使いみちは、生活費や旅行など自由だったり、住宅購入・リフォームなど住宅関連に限られていたりと金融機関によって決められています。ただし不動産投資などの投資資金や投機資金には使えません。

リバースモーゲージの大きなメリット

リバースモーゲージの大きなメリットは、毎月少額の支払で、まとまった資金を手にすることができることです。
例えば、「リ・バース60」では、借入可能額は自宅の担保評価額の50~60%となっています。仮に自宅の担保評価額が4,000万円、借入限度額が担保評価額の50%の場合、2,000万円の借入れができます。
毎月利息のみ支払えばよいので、2,000万円を変動金利2.5%で借り入れた場合、支払額は41,666円です。
つまり、毎月約42,000円を支払えば、2,000万円のお金を手に入れることができるのです。もちろんその資金は目的のために使わなければいけませんが、その分手元の預貯金を使わずにストックしておくことができます。

マイホームも広い意味での不動産投資

そもそも不動産投資の目的は何でしょうか。筆者も以前本コラムで不動産投資の目的について確認しています。(くわしくは下記をお読みください。)
「FP的不動産投資の考え方~不動産投資を考える前にライフプランの確認を~」
不動産投資もリバースモーゲージも金融資産運用と同様、「延びている老後時間」を豊かに過ごすための資金づくりという目的は共通です。

また、不動産投資ができない人でもマイホームを購入することは可能です。
そしてマイホームの資産価値を活かして将来リバースモーゲージを利用すれば、豊かな老後を過ごせる可能性が広がります。
このように考えると、マイホームを購入することも、広い意味での不動産投資と考えられるのではないでしょうか。

リバースモーゲージのデメリット・リスクも押さえておく

ただし、リバースモーゲージにはデメリットもあります。
まず、対象物件が限られています。融資対象地域からはずれている立地ではリバースモーゲージは利用できません。
対象物件も一戸建てが原則で、一部の金融機関を除いてマンションは融資対象外です。
次に、リバースモーゲージは死亡後の自宅売却が前提のため、子どものいない夫婦や自宅を残す必要がいない人には適していますが、自宅を引き継がせたい子がいる場合は検討外となります。
また、リバースモーゲージには、「金利上昇」「不動産価格の下落」「長生き」の3大リスクがあると言われています。このようなリスクについてもきちんと理解し、対応が可能かを検討することが必要です。

大切なことは、マイホーム購入の段階から、将来のリバースモーゲージの利用の可能性も考慮しながら、立地や物件の種類についても検討することです。

マイホームに「住宅資産活用」の視点を

資産価値のあるマイホームであれば、リバースモーゲージ以外にも
(1)マイホームを高く売却し安いマイホームに買い替える(ダウンサイジング)
(2)住まいを高い家賃で賃貸し、安い家賃の住まいに引っ越す(賃料の差額が収益)
(3)賃貸併用住宅に建て替える(収益物件所有)
などさまざまな選択肢があります。
リバースモーゲージも含め、このような活用を「住宅資産活用」と言います。

「住宅資産活用」の視点を持っておくと、マイホームの捉え方も変わってくるでしょう。

【このコラムの著者】

橋本 秋人

FPオフィス ノーサイド代表
CFP®認定者、1級FP技能士、終活アドバイザー
公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

1961年東京都出身
早稲田大学商学部卒業後、住宅メーカーに入社。
長年、顧客の相続対策や資産運用として賃貸住宅建築などによる不動産活用を担当。
また、自らも在職中より投資物件購入や土地購入新築など不動産投資を始め、
早期退職を実現した元サラリーマン大家でもある。
現在は、FP、不動産コンサルタントとしてコンサルティング、セミナー、執筆等の活動を行っている。

NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)副理事長
埼玉県定期借地借家権推進機構 理事
東京電子専門学校 非常勤理事

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