橋本 秋人の不動産投資コラム

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

「住みたい街ランキング」は不動産投資の指標になる?

今年も都道府県魅力度ランキングが発表されました。昨年8年ぶりに最下位から脱した茨城県が再び最下位に沈んだり、前年の40位から44位へ順位を下げた群馬県の知事が法的手段も辞さないと息巻いたりと話題が尽きません。一方、北海道、京都府、沖縄県のトップ3は昨年と変わらず安泰でした。
ところで不動産投資においても、このようなランキングは参考になるのでしょうか。今回は街のランキングの見方と不動産投資への活かし方について考えます。

魅力のある街が住みたい街とは限らない?

都道府県魅力度ランキングは、ブランド総合研究所が2006年から毎年実施しており、あわせて市区町村別のランキングも公表しています。
ランキング作成のための調査項目には居住希望もありますが、各地のイメージ、観光や特産品の人気、旅番組の情報量など、尋ねてみたい場所としての指標となる項目も多く、ランキングの上位には多くの離島や観光地が顔を並べています。

この魅力度ランキングで埼玉県はワースト3の45位、市区町村別で50位以内にランクインした自治体もありませんが、実は昨年の転入超過数は東京都・神奈川県に次いで3番目に多く、不動産市場としての人気と魅力度ランキングは相反する結果となっています。
このように、魅力度ランキングは不動産投資における立地選択の判断材料としては利用できません。

住みたい人気の街とは

不動産投資の判断材料としてチェックしておきたいのは、やはり「住みたい街(駅)」でしょう。

ところで、住みたい街としてまず頭に浮かぶのは、関東圏では横浜、恵比寿、目黒、吉祥寺などのいわゆる「おしゃれ」で「便利」な街ではないでしょうか。
ある大手不動産サイトのランキング結果でも、上位3駅は次の通りでした。
1位 横浜
2位 恵比寿
3位 吉祥寺
このようなランキングの結果がメディアで紹介されると、住みたい街のイメージが刷り込まれていきます。

しかし、街のランキングについては毎年数多くの会社からさまざまなランキングが発表されており、それぞれ結果も違っています。

LIFULL HOME’Sでも毎年「住みたい街ランキング」を発表していますが、このランキングでは「買って住みたい街ランキング」と「借りて住みたい街ランキング」に分けて調査しています。
ちなみに2021年のランキングのベスト10は以下の通りでした。
■住みたい街ランキング

住みたい街ランキング
※出所:LIFULL HOME’S「住みたい街ランキング(首都圏版)」

上の表の「借りて住みたい」を見ると、前述の横浜、恵比寿、吉祥寺はベスト3どころか10位にも入っていません。横浜はなんと75位、恵比寿は47位、吉祥寺がやっと18位です。ちなみに「買って住みたい」では横浜が23位、恵比寿が9位、吉祥寺が85位と恵比寿以外は上位に入っていません。
このように、ランキングは調査・発表の主体によって結果が違ったり、同じ「住みたい」街でも「借りて」住みたいのか「買って」住みたいのかで人気も変わります。

ランキングによって人気の街も違ってくる

他にもいくつかのサイトのランキングを比べてみましょう。
■さまざまな「街のランキング」

※出所:各社ホームページより作成

ここで取り上げた6つのランキングはどれも「街のランキング」ですが、結果は違っています。それどころか他と結果がかけ離れているようなランキングもあります。

これは、各ランキングのテーマと調査方法が異なるからですが、次にそれぞれのランキングのテーマと調査方法についてまとめました。
■「街のランキング」の調査方法
「街のランキング」の調査方法
※出所:各社が公表しているホームページから作成

特に調査方法、調査対象者には違いがあります。
たとえば、調査方法を見ると、LIFULL HOME’Sの「借りて住みたい街ランキング」は、実際に賃貸物件を探しているユーザーの検索数・問合せ数を集計していますが、他のランキングには、アンケート調査もあれば、専門家(と言ってもゲストタレントも含まれる)や編集部が選定しているものもあります。
また、調査対象者も、実際に賃貸物件を探している人だったり、現在すでにそのエリアに住んでいる人だったりします。

このようにさまざまなランキングがありますが、たまたま見たランキングによって街や駅のイメージが異なり一喜一憂することにもなります。

不動産投資で使えるランキングはあるのか?

さて、今回のテーマに戻りますが、不動産投資における立地選択の際に、これらのランキングは参考になるのでしょうか。
結論から言うと、調査の目的と内容をきちんと理解した上で利用するのであれば使えるランキングもあると思われます。

例えば、漠然と「住みたい街」といっても、「買って住みたい街」と「借りて住みたい街」があり、ただ「住みたい街」だけでは投資エリアとして判断しきれません。
その点、LIFULL HOME’Sのランキングでは「買いたい」と「借りたい」が区別されているので、不動産投資という目的に照らして「借りたい街」のランキングを見ることができます。
忖度しているわけではありませんが、調査方法や対象者から見ても投資判断の参考になるランキングと言っていいでしょう。
さらに立地判断の精度を上げるためには、ランキングを複合的に活用することが効果的です。
「借りて住みたい街」のランキングでは、現時点での入居希望者の意向が掴めます。しかし、実際に住んでいる人の評価については分かりません。
その場合、他のランキングで実際に住んでいる人の住みやすさの評価や居住環境の指標もあわせてチェックし、中長期的な入居需要も予測することができれば、投資先のエリアとして有望かどうかを判断する強い材料になります。
また各社では、今回ご紹介した以外にもさまざまな視点でのランキングを作成しています。
例えば、LIFULL HOME’Sでは、住みたい駅以外に、住みたい行政区(自治体)のランキングも公表しています。
まずは、ランキングにはさまざまなものがあり、目的によって使えるランキングは違うということを認識することが大切です。

なお、都道府県魅力度ランキングに関しては、今後の旅行先の参考にしたり、下位争いの都道府県のリアクションを見たりして楽しむくらいが良いかも知れません。

【このコラムの著者】

橋本 秋人

FPオフィス ノーサイド代表
CFP®認定者、1級FP技能士、終活アドバイザー
公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

1961年東京都出身
早稲田大学商学部卒業後、住宅メーカーに入社。
長年、顧客の相続対策や資産運用として賃貸住宅建築などによる不動産活用を担当。
また、自らも在職中より投資物件購入や土地購入新築など不動産投資を始め、
早期退職を実現した元サラリーマン大家でもある。
現在は、FP、不動産コンサルタントとしてコンサルティング、セミナー、執筆等の活動を行っている。

NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)副理事長
埼玉県定期借地借家権推進機構 理事
東京電子専門学校 非常勤理事

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