橋本 秋人の不動産投資コラム

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

SDGsの広がりが不動産投資に与える影響 ~賃貸オーナーが意識すべきESG経営とは~

COP26が10月31日から11月13日にかけてイギリスで開催され、その様子が連日報道されました。近年、ESG投資やSDGsというワードをひんぱんに見聞きするようになりました。日本でもすでに多くの企業が様々な取組みを公表し具体的な行動を始めています。
今回は、徐々に社会に根づいてきたSDGsが今後賃貸経営に対して与える影響と賃貸オーナーの対応について考えます。

SDGsのおさらい

SDGsの意味については、すでにご存じの人の多いと思いますが、簡単におさらいをします。SDGsとは2015年9月の国連サミットで採択された、『2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す』国際目標のことです。
SDGsを構成する17のゴール(その中に169のターゲットとさら232の指標がある)では、世界を取り巻く問題をさまざまな視点でとらえ、問題解決のための行動を促しています。また発展途上国、先進国を問わず全ての国が行動し、地球上の「誰一人取り残さない」ことを誓っています。
17のゴールは下のピクトグラムで表されています。

   ※出所:外務省ホームページ「JAPAN SDGs Action Platform」

ハウスメーカーの取組み

賃貸住宅においてSDGsの取組みをリードしているのは、やはりハウスメーカーでしょう。
SDGsの17の指標のうち、ハウスメーカーが取り組める主な指標としては、
⑦エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
⑨産業と技術革新の基盤をつくろう
⑪住み続けられるまちづくりを
⑫つくる責任、つかう責任
⑬気候変動に具体的な対策を
⑮陸の豊かさも守ろう
あたりと思われますが、住宅の脱炭素化の目標や実績を分かりやすく示すことができる行動のひとつにZEH賃貸住宅の促進があります。

ZEHとはネット・ゼロ・エネルギーハウスの略語で、「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅(国土交通省による定義)」のことを言います。簡潔に言うと「使うエネルギーと創り出すエネルギーがプラスマイナスゼロの住宅」です。当然、地球環境に対して優しい建物になります。

ハウスメーカーの中でもZEHの普及をけん引しているのが積水ハウスです。もともと同社のZEHへの取組は早く、一戸建て住宅のZEH率はすでに90%を超えています。
さらに集合住宅でもZEH化の取組みは先行し、その勢いも加速しています。2021年度の受注は上半期だけで3,486戸と前期1年間の2,976戸を大幅に上回り、累計の受注実績も7,200戸を超えました。
大東建託も2017年の日本初のZEH基準の賃貸住宅供給から2021年9月までに784戸を供給していますが、11月には木造賃貸住宅については今後ZEHの提案を標準化すると発表しました。
また旭化成ホームズも、2020年度までに90棟(戸数は不明)のZEH賃貸住宅を竣工していますが、同社グループの電力事業と連携した独自のZEH賃貸住宅を促進するとしています。
今後も多くのハウスメーカーは賃貸住宅のZEH標準化を目指して供給拡大を図っていくと予測します。

不動産投資でもSDGsを意識しなければいけない理由

このようなハウスメーカーの動向については、既存の賃貸オーナーや不動産投資を考えている人も注視することをおすすめします。
その理由は二つあります。
ひとつは、ZEH賃貸住宅の入居者も次のような経済的、精神的なメリットが得られることです。
・光熱費が抑えられる
・断熱性が高いため快適な暮らしができる
・太陽光売電収入が得られるケースもある
・地球環境保護に寄与しているという満足感を感じられる

もうひとつは、ハウスメーカーが供給する賃貸住宅のシェアは無視できないほどに高く、今後ZEH賃貸は賃貸市場の中で一定の割合を占めると予測されることです。
ZEH賃貸の認知度が高まれば、入居者の物件選びに際しても、いずれZEHの有無が選択の基準のひとつになり、賃貸オーナーの経営にも少なからず影響を与えるでしょう。

賃貸オーナーができるSDGsの取組み

不動産投資を検討している人はSDGsやESG経営を意識しながら物件取得をすることができます。
一方、既存の賃貸オーナーが所有する賃貸住宅をZEH水準にグレードアップすることは難しいですが、それ以外にもSDGsの視点に立ったさまざまな対応ができます。
・高断熱化リフォーム(断熱材の充填、Low-Eガラスの採用)
・太陽光発電搭載
・バリアフリー、ユニバーサルデザインへの改修(高齢者や障がい者への対応)
・新しい生活様式に対応した間取りの変更や設備の導入

賃貸経営は、ビジネスであるということが前提ですが、賃貸オーナーも社会に貢献する意識を持つことが、結果的に賃貸経営の成功につながるでしょう。

【このコラムの著者】

橋本 秋人

FPオフィス ノーサイド代表
CFP®認定者、1級FP技能士、終活アドバイザー
公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

1961年東京都出身
早稲田大学商学部卒業後、住宅メーカーに入社。
長年、顧客の相続対策や資産運用として賃貸住宅建築などによる不動産活用を担当。
また、自らも在職中より投資物件購入や土地購入新築など不動産投資を始め、
早期退職を実現した元サラリーマン大家でもある。
現在は、FP、不動産コンサルタントとしてコンサルティング、セミナー、執筆等の活動を行っている。

NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)副理事長
埼玉県定期借地借家権推進機構 理事
東京電子専門学校 非常勤理事

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