橋本 秋人の不動産投資コラム

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

2022年の賃貸市場の環境とこれからの不動産投資のポイント

コロナ禍のなかで始まった2021年は、感染が収束しないまま終わり、2022年が始まりました。このような状況の中で昨年の賃貸市場の動向はどうだったのかを振り返り、2022年以降の賃貸市場の展望についてお伝えします。これから不動産投資を始めたい方はどのようなポイントを抑えたら良いのかについても解説します。

2021年の賃貸市場の振返り

まず、2021年の東京圏の賃貸市場の動向についてまとめてみました。
■レジデンス系は、外国人専用や一部の学生専用物件を除き、総じて堅調。特に郊外の優良物件の人気は高かった。
■コロナ禍で、テレワークなど「新しい生活様式」に対応した物件の供給が増加。
■東京は、年間では転入超過の見込みも、5月から7ヵ月連続で転出超過。隣県3県(埼玉・千葉・神奈川)の堅調な転入超過により東京圏全体では約8.2万人の転入超過(11月まで)。
■東京のオフィス需要の減退は継続。後半は一部で入居率の改善も見られるが賃料下落は継続(三鬼商事オフィスマーケットデータより)。
■収益物件の価格は総じて上昇傾向。

不動産投資環境は悪化している?

これから不動産投資を検討する方は、まず賃貸経営に影響する2つの状況を認識しておく必要があります。
①物件価格の値上がりによる利回りの低下が進んだ
首都圏の収益物件については、供給物件の不足や建築費の高騰などの要因により、特に新築・中古の区分物件、新築1棟物件を中心に価格の上昇が続いており、数年前と比較して投資利回りが低下しています。
たとえば、会社員などにも融資が出やすいため活発に動いていた中古区分物件も、物件在庫の不足により買取再販業者間の競争が激化し仕入価格が上昇しており、それが物件価格に反映しています。数年前までは東京都内の山手線周辺でも表面利回りが5~6%の物件は珍しくありませんでしたが、現在は軒並み4%台まで下がっています。
物件価格の上昇傾向は、今後しばらくは継続すると予測しています。
②金融機関の融資はますます厳しくなっている
富裕層の投資家向けの融資を除いて、金融機関の融資スタンスは審査が厳格化しています。融資額については、過去のような収益還元法での評価はせず、積算価格評価もしくは土地価格での算出が主流となっています。
そのため、特に中古1棟物件については売買価格と積算価格の乖離が大きく、2~5割程度の自己資金が要求されるため、投資をあきらめざるを得ないケースもしばしばあります。
金融機関は基本的に「属性の高い投資家」が「優良物件」に投資する場合のみ積極的に融資を行うという姿勢がより明確になっています。

これからの不動産投資のポイントは?

物件価格の上昇や金融機関の融資厳格化は、不動産投資の環境としてはマイナスです。このような投資環境の中で不動産投資を始めたい人は、次のポイントを押さえておきたいです。
①利回りの低い物件には無理に手を出さない
いくら立地が良く高グレードの建物でも、たとえば4%程度の利回りが低い物件は選ばないほうが賢明です。特に借入の割合が高い投資ではリスクが大きくおすすめできません。

不動産投資には、インカムゲインとキャピタルゲインがありますが、メインで考えたいのはやはりインカムゲインです。手堅い賃貸経営を行なえば比較的安定したインカムゲインを得ることはできますが、キャピタルゲインを確定するタイミングはプロでもなかなか読めません。そのため、長く所有していても安定したキャッシュフローが得られる物件が望ましいと言えます。

なお、利回りをチェックする際には、表面利回りではなくNOI利回り(総収入から経費等を差し引いた純収益を総投資額で除した利回り)で判断する必要があります。特に区分物件の場合、家賃に対して管理費と修繕積立金の割合が高いと、表面利回りとNOI利回りが大きく乖離するため注意しましょう。
物件選びでは、「実質的な利回り」と「キャッシュフロー」を重視することをお勧めします。

②金融機関の融資引締めをプラスにとらえる
融資の引締めは金融機関が自らを守るためですが、融資額が抑えられることにより返済比率が下がり経営の安全性が高まると言う意味で、結果的に投資家にとってもプラスになります。
また、自己資金を入れることにより、今後の投資拡大や出口戦略などの面でも展開が図りやすくなります。

そもそも不動産投資では、いくらレバレッジ効果が期待できると言っても、自己資金ほぼゼロで安全な賃貸経営などはできないという考え方のほうが健全と言えるでしょう。

2022年は郊外の高利回り物件が狙い目か

都心の物件のメリットが低下している現在、しばらくは郊外エリアにある物件に目を向けたいと考えています。都心の物件と比べると利回りも高いので、エリアの入居需要の持続性、エリア内での競争力、さらに個別の物件調査をしっかりと行えば、安定したキャッシュフローを得られる物件の取得が期待できます。
コロナ禍で広がってきた在宅ワークは今後も根づくと考えられ、いざとなれば都心の勤務先にも通えるエリアであれば検討の対象にしたいところです。
なお、2拠点居住の広がりにより注目されている地方の物件については、長期的な視野で見た場合は大きなトレンドにはなりづらく、慎重になる必要があります。

2022年の不動産投資においては「利回りが高めで」「都心へも通勤可能な郊外の物件」を「自己資金も投入」しながら購入することを検討してみてはいかがでしょうか。

【このコラムの著者】

橋本 秋人

FPオフィス ノーサイド代表
CFP®認定者、1級FP技能士、終活アドバイザー
公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

1961年東京都出身
早稲田大学商学部卒業後、住宅メーカーに入社。
長年、顧客の相続対策や資産運用として賃貸住宅建築などによる不動産活用を担当。
また、自らも在職中より投資物件購入や土地購入新築など不動産投資を始め、
早期退職を実現した元サラリーマン大家でもある。
現在は、FP、不動産コンサルタントとしてコンサルティング、セミナー、執筆等の活動を行っている。

NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)副理事長
埼玉県定期借地借家権推進機構 理事
東京電子専門学校 非常勤理事

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