利回り1%の攻防とエンドユーザー、儲けのヒント
不動産価格は永遠に下がらないと皆が信じて疑わなかった1980年代後半。そして、不動産バブルが崩壊し、不動産投資は今やキャピタルゲイン(不動産の値上り益)ではなく家賃などの安定収入に重きを置いたインカムゲイン(不動産の場合、おもに賃料収入)重視であるといわれている。
確かにいわれればそのとおり、ウソではない。かつてのように不動産は値上がりするなどと、根拠のないことをいわなくても、安定した家賃が入ってくるという事は、一般投資家に説明するのにはウソのない便利な言葉である。
しかし本当のプロは違う。確かにインカムゲインに着目した利回りが不動産投資の1つの指標となっているが、プロはこの利回りをベースに常に出口(転売)を考えているのである。この物件は利回り何%だったら一般投資家が購入するか? だったらいくらでこの物件を購入して転売しよう、という発想である。
現にインカムゲイン重視の不動産投資が一般投資家に注目されるまでの、ここ数年、不動産投資はプロの主戦場だった。プロからプロへ物件のキャッチボールが行われ、やっとエンドユーザーに回ってきたといってもおかしくない。
利回りに着目すると、地価が下落しようとしまいと、その不動産価格にはあまり影響しない。極端に言えば、利回りを少し低く設定するだけで物件価格は驚くほど上昇してしまうのだ。この仕組みを使ってプロはキャピタルゲインを得てきたのである。例えば年間家賃収入1,000万円の不動産がプロからプロへのキャッチボールを経て短期間に物件価格が倍になってしまう例も珍しくない。
このように、年間家賃収入が変わらなくても利回りが1%変わるだけで物件価格は驚くほど変化するのである。不動産投資の場合はたかが1%と侮ってはいけない。
しかし、不動産のプロがこのように利回りをちょっと低くして短期的に利益を出し、最終的には長期保有目的のエンドユーザーが購入することで落ち着いているこの現実に複雑な思いがする。確かに安定収入は得られるのだろうが……。
最終消費者だからエンドと呼ぶのだが、やはりエンドはプロには勝てないのか?
そんなことはないだろう。プロとエンドの違いを考えると何か儲けのヒントが隠れているかもしれない。